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添乗員3名へのインタビューで体験談を知る【6つの質問と回答を解説】

2020年1月6日

添乗員のインタビュー
  • 「添乗員のインタビューを聞いてみたい」

この記事はそんな方へ向けて書いています。

本記事では『就職・転職ツアーコンダクター』より添乗員3名へのインタビューを引用して、解説します。

 この記事でわかること

添乗員3名の体験談(インタビュー内容)

 本記事の信頼性

  • 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、手配×営業×添乗
  • 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
  • 添乗経験:国内・海外計100本(一般団体・教育旅行・視察旅行)

 引用文献

添乗員3名へインタビューで体験談を知る【6つの質問と回答を解説】

添乗員へのインタビュー

中堅からベテランの添乗員3名へのインタビューを引用します。

添乗員へインタビュー・質問①:ツアーコンダクターを志望した理由

Aさんの回答
海外へ行きたかったということです。単純な理由ですが(笑)
ですから、学校を出てしばらくアルバイトで暮らしているうち、たまたま添乗専門会社の入社試験に合格し、そのまま毎日が添乗員という生活です。
仕事上のトラブルでイヤなこともありますが、あまり苦にすることがない性格なので、続いているのだと思います。
この業界に入って、10年を超えますが、やっぱりこの仕事が好きなのだと思います。

添乗はタダで海外に行けますが、体力的にハードです。

「あまり苦にすることがない性格」はうらやましいです。
小さいなことをクヨクヨと考えてしまうからです。

良い意味で「いい加減」な人は、添乗員向きです。

Bさんの回答
24歳までは、メーカー系の会社のフツーのOLでした。
英語を話すのが好きだったことと海外への夢が動機といえばいえると思います。
この仕事に入る前にも、人並に数回の海外旅行は体験していましたが、特に添乗員の仕事を意識したということはなかったように思えます。
とにかく、トラバーユの一環として試験を受けてみたら、受かってしまったというのが本当のところです。
仕事についてしまうと、一生懸命やれば面白い、面白いから一生懸命やる……という感じで、いつの間にか8年目になってしまいました。

旅行業界は「英語と海外が志望動機」という人は多いです。

面白い仕事は存在しません。
面白くなる仕事のやり方はあります。

そのひとつが「一生懸命」です。

Cさんの回答
この業界に入る前にサラリーマンの経験があります。
実際のところ、他業種での仕事の経験が、現在の業務に役立っていると思うこともたびたびあります。
どんなときに役立つかというと、主として人との折衝の場面です。
添乗員の仕事は、ほとんどが対人関係です。
お客さまとの関係が最大の対人折衝ですし、現地運送宿泊サービスもすべて人の手を経て初めて受けられるわけですから、対人折衝がうまくいくかどうかによってツアーそのものが左右されてきます。
ええ、この仕事についた動機ですか。正直にいうと、生活のためです。

添乗は究極のサービス業です。

 法人営業18年の経験から言えること

  • 添乗のスキルは営業に活かせます
  • 営業のスキルは添乗に活かせます

添乗員から旅行会社の営業マンに転職できます。
添乗での知識・経験が説得力になるからです。

旅行会社の営業マンから添乗員派遣会社に転職できます。
旅行会社での営業の知識・経験が、添乗のお客さまとの信頼構築につながるからです。

お客さま、協力機関とも「人間関係」がすべてです。

添乗員へインタビュー・質問②:どんなツアーを何日くらい、1年間に何日添乗に出ているのか?

Aさん
アメリカ・カナダ方面が多いです。
10日間くらいのパターンで、西海岸のシアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、それにラスベガス、グランドキャニオンとか、東では、ニューヨーク、ワシントンDC、ボストン、ナイアガラ、オーランドあたりをまわります。
ときには、シカゴ、ニューオリンズ、アトランタなどをまわることもあります。
企画旅行、手配旅行を問わず、何でも行きます。
というより、行かされるといったほうが正確かもしれません。
担当するツアーは、四半期(3ヶ月)ごとにおおよそ決められています。
ただし、人数の集まり具合などにより、中止になることもあるわけで1ヶ月でもはっきりしない場合も少なくありません。
去年1年の総添乗日数は216日でした。

アメリカの定番コースです。

「担当するツアーが四半期ごとにだいたい決まる」は、初耳です。

「アメリカに行けて、うらやましい」とちょっと思いました。

Bさんの回答
ヨーロッパ方面がほとんどです。
10日〜14日間ぐらいの周遊コースが多く、3〜6か国程度を案内します。
私の場合、募集型パッケージ・ツアー要員として登録されていますので、1年のうちに同じ日程のツアーを2度添乗するということも起きます。
たとえば「ロンドンーパリーマドリードーバルセロナー東京」「フランクフルトーチューリヒーインターラーケンーミラノーローマー東京」など、いろいろなコースを楽しむこともあります。
ただ以前はツアーごとに感動があったのですが、最近は、行って帰ると過去のものとしてすでに頭の中はカラッポになっていて、次のツアーの準備にとりかかるというような状態です(笑)
ですから、過去1年のツアーを思い出して何か?というような質問をされても、「さあ……」としか答えられません。
総添乗日数だけはわかります。
168日でした。

ヨーロッパは数都市周遊するとなると、期間が長くなります。
募集型ツアーに多いです。

目まぐるしく添乗に行かれている様子が伝わってきます。

添乗員へインタビュー・質問③:過去のツアーの情緒にひったっているようでは半人前?

Cさんの回答
TV(視察旅行)が主となっています。
学会に参加したり、研究所・工場施設などを見学するツアーです。
7〜14にち程度のパターンが多いようです。
参加者は、団体の職員、企業の社員、医師、学術研究院などの専門職がほとんどです。
彼等の見聞するものと同じものに触れるわけですから、ときには、守秘義務が課されることもあります。
常に最先端の研究、最先端の技術を見ているわけで、そういう意味では、ちょっとコワい思いもします。
去年1年で、14回、188日でした。

私の添乗も海外の工場視察が多かったです。
ただお客さまと一緒に工場内部を視察することはありませんでした。

医学学会ツアーにも参加しましたが、お客さまが学会に参加している日中は比較的、自由な時間が多かったです。

添乗員へインタビュー・質問④:ツアー参加者に、添乗員として日ごろ思っていること

Bさんの回答
担当するツアーが比較的高額・高品質なパッケージツアーが中心なので、ハネムーナーの方が多いんです。
気になる点はあまりありませんが、強いてあげるなら、とにかく女性主導型なんです。
レディ・ファーストという意味で良い面もあるのですが、ボーイにチップを渡すような場合には男性が渡すのが普通なのに、新婦がサイフを開けてピッと渡したり、計算はすべて新婦まかせというのも余り見よいものではないと思います。
それから、宿泊ホテルでよくある苦情に、部屋を替えてほしいというのがあるんですが、これをいってくるのは100%新婦のほうですね。
もっとも、たいがいのカップルが、男性は海外旅行初めてか2回程度、女性は海外旅行4、5回以上という感じですから、無理もないのかもしれませんが。

上記内容は経験がないので、なんとも言えません。

チップを渡したり、何かを伝えるのは男性が堂々とやってほしいですね。

Cさんの回答
オーガナイザーものが多いので、その内部的な人間関係や、旅行業者の営業担当者とオーガナイザーの関係に神経を使いますね。
やたらに威張りちらすオーガナイザーに対しては、添乗員も人間ですからムッとくることもあります。
しかし営業担当者の立場に立てば、来年も顧客としてツアーを出してもらいたいという弱みがあります。
ここで、グッと耐えるのも仕事のうちと思えるまで、ちょっと修行ですね。

私は旅行会社の営業マンだったので、添乗はすべてオーガーナイザーものです。

やっとの思いで取ってきた仕事で添乗で、現地で弱みにつけ込んでガンガン、クレームを言ってくるお客さまもいました。

耐えるしかないわけですが、今振り返るとそんなお客さまは切っても良いです。
ガマンしてツアーを継続しても、良いことはないからです。

オーガナイザーもののツアーを担当している方は、クレーマーを担当してしまったら速やかに切りましょう。
過去の自分に伝えたいからこそ、今、ここに書いています。

添乗員を辞めたいと思った話は「添乗員を辞めたいと思ったことは何度もある話【下見で解決できる】」にまとめました。

Aさんの回答
とくに男性客のマナーの悪さに辟易することがあります。
よくマスコミなどで”元気あふれる中高年女性”が取り上げられますが、私にいわせれば可愛いものです。

同意です。

クレーマーに比べれば、”元気あふれる中高年女性”は問題ありません。

ごくたまに陰湿な人もいますが、自分から近づいてコミュニケーションを取っていけば解決です。
»【要注意】添乗員が告白する嫌なお客さま25選【セクハラの対処法】

添乗員へインタビュー・質問⑤:新人ツアーコンダクターの問題点も含めて、望ましいツアーコンダクターとはどんな人か?

Cさんの回答
添乗員である前に「常識人」であれといいたいですね。
言葉づかい、あいさつ、服装、どれをとってもTPOをわきまえない人が多すぎます。
業務知識がいくらあっても、それはスケジュール消化に役立つだけであって、お客さまとのコミュニケーションをはかる手段にはなりません。
お客さまはさまざまな経歴を持ち、それぞれの常識に合わせて旅から何かを吸収しようとしている人々です。
高度なレベルの知識は要求されませんが、話のはしばしで相手の意図をくんであげられるような人が添乗員になってほしいと思いますね。

添乗の仕事は、根本は「人と人との関係」です。

添乗員は人間関係を学んで、人間関係に強くなれる人が良いです。

自分に厳しくしないことも大切です。

人間関係がうまくいかない時は「人間関係がうまくいかない時期に読む本【すべての苦労は世間体から】」をご一読ください。

Aさんの回答
「サービス業」という言葉をはき違えている人が多いように思えますね。
お客さまに向かって、ただ頭を下げれば良いと思っているみたいです。
そうかと思えば、ほとんど友達のようにふるまい、言葉づかいも友達づきあいのような人を見かけます。
こういう人達に限って、ホテルの従業員やローカル・エージェントに対して横柄な口を聞いたり、使ってやっているというような態度をとるようです。
見ていて気持ちの良いものではありませんし、心あるお客さまのひんしゅくを買います。
こういう人には、添乗員になってほしくないです。

「親しき仲にも礼儀あり」です。

お客さまと仲良くなっても、言葉遣いは注意。
すべてのお客さまに公平に接することも大事です。

協力機関に横柄な態度はいけない

バス、航空会社、ホテル、観光地、レストランなどすべての協力があってこそツアーは成り立ちます。

添乗員ひとりでは何もできないのです。

Bさんの回答
この仕事をどうして続けられたかというと、たとえば10日間なら10日間のツアーについたとします。
参加者の皆様とは、誠心誠意おつきあいします。
そして無事、日本へ帰国、成田に到着します。
その時点からまったくの他人の関係に戻るわけなんです。
私の場合、この切り替えによって、また次の仕事への意欲がわいてこれた、というのがその大きな理由だったように思えます。
だから、こうした切り替えのすばやく出来る人が、この仕事に向いているように思います。

「失敗を引きずらない」という意味では、切り替えは大事です。

オーガーナイザーもののツアーだと、成田空港に到着してもお客さまとは他人には戻りません。
引き続き大切なお客さまとして、関係が続きます。

クレーマーにあたると悲惨です。

添乗員へインタビュー・質問⑥:誇りにしていること、おもしろいエピソードは?

Aさんの回答
客と添乗員の立場の違いから起きたスレチガイの話をします。
ついこの間のツアーのことでしたが、ヘルシンキの空港で、もう突然中年の女性に飛びつかれてしまったんです。
「あらら、Aさんでしょう!こんな所で会うなんて…」とかなんとかいわれて。
もう向こうは大感激。
でもこちらは全然思い出せないんです。
といって、知らん顔も出来ませんから、”その節はどうも”なんて適当にいっているうちに、相手が「あの時のハワイツアーは最高でした」なんていったので、ようやくどのツアーの参加者だったのかはわかりました。
でも、どこのどなたかは結局最後までわかりませんでした。
というのも、そのツアーは総勢200名の団体で、添乗員も4名ついていました。
こうしたパターンで、参加者の名前は、まず覚えられないものなんです(笑)
反対に、添乗員が私1人のツアーであれば、たとえ参加者数が40名であろうと50名であろうと全員覚えてしまいます。
お客さまにとってみれば、自分は添乗員の氏名まで知っているし、少しは話も交わした仲だから、当然むこうも私のことを覚えていてくれるだろうと、思い込むわけなんですね。
でもそこには大きな誤解が…(笑)
お客さまにとっては1対1でも、私にとっては1対200なのですからね。
それでも、その場は目一杯明るく「今度は、ニューヨークでお目にかかりましょう」なんていってわかれましたが(笑)

お客さまの名前はなかなか覚えられません。

お客さまの名前を覚えるコツは、お客さまの名前を呼ぶことです。

お客さまの名前を覚えればツアーの半分は成功ですね。

Bさんの回答
文化・習慣の違いからくるスレチガイというか、そして、そのことをフォローしようにもできない場合があるということをお話しします。
ヨーロッパのツアーで、夕食時、あるレストランでのことです。
ツアーは、男性ばかり20名、うち団長さんが1名、そして添乗員が女性の私1名です。
こうしたツアーでは、必ず団長さんから食事のサービスを開始してもらわなければなりませんよね。
それで、まずウェイターを呼んで、あの人がトップだから、必ずあの人からサービスを開始するようにと、しっかりいいつけたんです。
ウェイターは”わかった”といいました。
そしてワインが出てきました。
なんと最初に私のグラスから注ぎ始めたんです。
驚いて、「向こうの方を先にしてください」というと、ウェイターは”わかった”というんです。
そしてお食事の登場です。
今度はだいじょうぶだろうと思っていると、なんと、またまた私の所に第1番目を持ってくるんですね。
それで、「向こうの方を先にしてください」って、今度は少し強い口調でいったんです。
そうしたら今度はウェイターが「ウイマダム」と一言いったきりもうぜったいに順序を変えようとはしないんです(笑)
もう、このときはどうフォローしたらいいのか、本当に困ってしまいました(笑)
それで肝心の団長さんのほうなんですが、この方は、このやりとりを見ていたんです。
一部始終を見ていてわかってはいるでしょうけど、結果として自分が軽んじられていると受け取ってしまったんですね。
御機嫌ナナメのまま部屋へ帰っていってしまいました。
それでいちいち説明して、理解してもらうということでもないだけに、つらいものがありましたね。

かたくなに態度を変えない、おもしろいウェイターです。
私も態度を変えないレストランスタッフに辟易した経験があります。

詳しくは「海外添乗アクシデント:パタヤで貸切レストランが手配できてない地獄」で解説しています。

オーガナイザーものの視察ツアーは、団長様、幹事様はおさえておくべきポイントなので辛い場面です。
添乗員としては困ったシーンですね。

Cさんの回答
「トラブル処理」ということについてお話ししましょう。
あまり大きな声ではいえないのですが、トラブルにはホテルの予約が条件と違うとか、帰りの航空便の予約が2名分まだ取れていないとかいった、いわば事前にわかっているトラブルがまず1つありますよね。
それから今度は事前にわからないトラブル、たとえば現地で起きる盗難とかストライキ、連絡・確認ミスによる乗り遅れなどがありますね。
いずれにしてもまずいえることは、”予防”、つまり未然に防ぐことのほうが重要であるということです。
トラブルが
起きてから、それを処理するには、もの大きな労力と時間が必要なんです。
ですから、現地で起きるトラブルは、起きないようにすれば良いわけなんですが、口でいうのは簡単で、実はこれはもう動物的なカンや経験がモノをいう世界だと思います。
早め早めに手を打つということでしょうか。
よく添乗員の方で、自分の失敗談とその後日談で、災いを転じて云々といった自慢話をする人がいますが、あまりいばれたものではないですね。
なんといっても、予防が1番です。
ところで、トラブルのなかでも、私どもの力がいちばん試されるような気がするのが、出発前にわかっているトラブルです。
手配担当者から、日本サイドでも頑張るから、現地でもプッシュしてみてくれなんていわれて、出発していきますね。
それで現地に着いてホテルにチェックインしようとして、部屋割りの違いに愕然としてしまうなんていうことがあります。
それでもまあ気を取り直してなんとか交渉して、どうにか希望通りの部屋を確保できたときには自分の力で”やり遂げた”という気持ちと同時に、ツアーに参加していただいているお客さまにも喜んでもらえるということで、満足できる一瞬です。
このことが、秘かに誇りにしていることといえないこともないですね。
手配の不備は現地で1つひとつクリアーしていければ良いのですが、なんでもうまくいくとは限りません。
だいたい私の経験では、手配の不備も50%以上は、添乗員のウデで解消することができると思います。
なんだか自慢話のようになりましたが(笑)

事前にトラブルが解決しないまま出発するツアーは辛いです。
不安な気持ちのまま添乗しなくてはならないからです。

上記のとおり、募集型ツアーは手配サイドが完璧でないまま時間切れになり、そのまま添乗員に行ってもらわなければならないケースがあります。

ツアーは事前の段取りで8割が決まります。

予防と確認で、大半は防げます。

具体的な失敗談は、下記にまとめています。

まとめ:添乗員3名へのインタビューの体験談を、添乗に活かそう

添乗員のインタビュー

添乗回数100回ほどでも、インタビューの回答は共感できるものばかりでした。
過去に同じような経験したことがあるからです。

他人の体験談や失敗談を、自分の添乗に置き換えると失敗の予防になります。

添乗員の体験談、失敗談を知ることで、少しでも添乗員のイメージがつかめれば幸いです。

以上です。

P.S. 添乗員の体験談を知ろう。

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