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【書評】『派遣添乗員ヘトヘト日記』でわかる添乗員の苦しさ、面白さ

2020年3月20日

【書評】『派遣添乗員ヘトヘト日記』でわかる添乗員の苦しさ、面白さ
  • 『派遣添乗員ヘトヘト日記』の内容を知りたい

本書は「派遣添乗員の仕事内容を知りたい」という方に最適です。

本記事を書いている私は、旅行会社で19年8ヶ月勤務後、派遣添乗員になりました。

本書は添乗員として共感できる内容が多いです。
加えて、目頭が熱くなるところが2箇所あります。

本記事は「派遣添乗員ヘトヘト日記」のグッときたところ3つを解説した書評です。
この記事を読むことで、派遣添乗員の日常や仕事内容、クレームの辛さ、仕事の苦しさ・面白さなどがわかります。

添乗員は毎日が非日常です。

【書評】『派遣添乗員ヘトヘト日記』でわかる添乗員の苦しさ、面白さ

派遣添乗員

 グッときたところベスト3

  • 1位:リーダーは、学者、医者、易者、役者、芸者の心を持たなければいけない
  • 2位:人の喜ぶ顔を見て、自分もまたうれしい心持となる
  • 3位:自分のせいではない、などと思っていても仕方ないのだ

1位:リーダーは、学者、医者、易者、役者、芸者の心を持たなければいけない

駆け出しの添乗員のころ、お客さまを見ずに行程表ばかり見ていました。

お客さまに対峙すると面倒なことばかり言われるからです。

クレーマーほど面倒なことを言ってきます。

相手にしたくなかったので「行程表ばかり見て」仕事のフリをしていました。
こんな姿勢は仕事はこなせても「役者、芸者」の域に達しません。

お客さまに喜ばれるのは「自分から歩み寄っていく姿勢」です。
添乗員は究極のサービス業です。

肉体的にも精神的にもスーパーハードです。
どんな時も「お客さまを喜ばせ、楽しませ、満足させる」のです。

笑いをとることばかり考えていたツアー

肉体的にも精神的にも余裕のあるツアーでした。
バス車中ではいつも「どうやってお客さまを笑わせようか」と考えていました。

ツアーが終わり、お客さまから「めっちゃ楽しかったです」と言われたときは死ぬほど嬉しかったです。
喜ばせようとする気持ちが通じたのです。

余裕がないと、笑わせるのは難しいです。

段取りと体力で「余裕」を生み出すことが大事です。

2位:人の喜ぶ顔を見て、自分もまたうれしい心持となる

添乗の良いところは「お客さまの反応がダイレクトに返ってくる」です。
お客さまのためにした行動が、跳ね返ってくるのです。

ブログとは違います。
ブログは読者の反応を感じられません。

アナリティクスの数字では、アナログの反応はわからないのです。
あくまでデジタルな数字のみです。
無機質な「ページビューや滞在時間、収益」です。

ブログで高みを目指すのはありですが、気持ちは「これでいいのか」です。
引きこもって、パソコンをカタカタして、生身の人間との触れ合わずに完結してしまうからです。

本書から「ブログだけでいいの?」という言葉が聞こえてきます。

もちろん添乗のサービスがお客さまに手応えがなく「のれんに腕押し」もあります。
それでも本書を読むと「派遣添乗員も捨てたもんじゃない」と思えます。

「これこそ人間味あふれる、人間臭い、感動物語じゃないのか」と著者は教えてくれます。

改めて「素晴らしい職業についた」と感じたのです(もちろん苦しいこともありますが)。

3位:自分のせいではない、などと思っていても仕方ないのだ

著者が身につけた「クレームへの3つの法則」はすぐに試してみたいです。

  • 1つ目:トラブルに際しては、落ち着いた態度を取る
  • 2つ目:自分のせいではなくても不満を受け止め謝る
  • 3つ目:起こった出来事に、迅速に対処する

「自分が悪くなくても、不快感を与えてしまった事実には頭を下げるべき」という考えに賛成です。

「天気が悪くて申し訳ございません」とまでは言わなくていいですが「笑い」が取れそうならアリです。

なんでもかんでも謝ると、つけ込んでくるクレーマーもいますのでさじ加減が難しいです。

忘れられない言葉

  • 気を使えるようになりなさい
  • 決断できるようになりなさい

できないからこそ、刺さりました。

著者の「旅行会社のベテラン担当者に言われた言葉」もできないからこそ刺さったに違いありません。

できていないことや、図星は刺さります。
忘れられない言葉はヒントなのです。

『派遣添乗員ヘトヘト日記』はこんな人におすすめ

まとめ:派遣添乗員ヘトヘト日記は添乗員の日常がわかる本

添乗に興味があり、泣きたい人へ

  • 添乗員
  • 添乗に興味のある人
  • 募集型ツアーに興味のある人

本書には目頭が熱くなるエピソードもあります。
ちょっと泣きたい人にも向いてます。

文章が秀逸

まえがきを読んだ瞬間に、やられました。
文章がおもしろかったからです。

もちろん「派遣添乗員の体験談」も終始惹きつけられます。
しかしそれ以上に途中から「文章」に魅力を感じるようになりました。

「人と違う文章を書く」という姿勢が感じられます。

一語一語、一文一文、入念に言葉を選んでいる気迫が感じられるのです。
「文章」に魅力を感じたのは、村上春樹さんや奥田英郎さん以来です。

「まえがき」か、すでに他と違うのです。
»【村上春樹の文章力】文章は何度も「読み直し、書き直し」でうまくなる

募集型企画旅行の世界が見える

私の仕事は旅行会社の営業マンであり、ときどき添乗に行く添乗員です。

添乗に行くのは、いわゆる社員旅行や修学旅行などの「受注型企画旅行」と呼ばれるもの。
筆者が添乗に行くのは、新聞広告やメディアで参加者を集める「募集型企画旅行」と呼ばれるもの。

受注型と募集型では「添乗員の旅館の部屋や食事にも差がある」と初めて知りました。

添乗員の世界がわかる本です。

5つの章と著者プロフィール

目次

第1章.団体ツアーって、どんな感じ?
第2章.ひとり参加の楽しみ方
第3章.団体ツアーの掟
第4章.旅は道連れ、世は情け
第5章.団体ツアーのお気に入り

書名派遣添乗員ヘトヘト日記
著者梅村 達
単行本204ページ
出版社フォレスト出版
発売日2020/2/20

Twitterの口コミ10個

Amazonの口コミは7つで、約7割が5つ星です(2020年3月19日現在)。
»『派遣添乗員ヘトヘト日記』の口コミを見る

Twitterの口コミ10個を集めました。

まとめ:派遣添乗員ヘトヘト日記は添乗員の日常がわかる本

まとめ:派遣添乗員ヘトヘト日記は添乗員の日常がわかる本

 まとめ:グッときたところベスト3

  • 1位:リーダーは、学者、医者、易者、役者、芸者の心を持たなければいけない
  • 2位:人の喜ぶ顔を見て、自分もまたうれしい心持となる
  • 3位:自分のせいではない、などと思っていても仕方ないのだ

添乗は誇りを持てる仕事

読んで良かったです。
改めて「添乗」の仕事に誇りが生まれました。

「休職期間を終えたら、私も著者のように添乗員をやりつつ、ブログを書き続けたい」

そんな気持ちになれたのです。

今後の人生の方向が、大まかに定まる本でした。
転機に『派遣添乗員ヘトヘト日記』に出会えたことに感謝します。

以上です。

P.S. 続編「旅行業界グラグラ日誌」をAmazonの中古本1円で買いました。

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