- 「バス旅行で添乗するときの「朝の挨拶、帰りの挨拶」を知りたい」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
この記事でわかること
- 添乗員の朝と帰りの挨拶の流れ
- 挨拶の例文3つ
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗回数:国内・海外計123回(一般団体・教育旅行・視察旅行)
添乗の挨拶は、慣れないと緊張します。
添乗員を印象づける「朝の挨拶」、旅行の締めの「帰りの挨拶」となると、なおさらです。
本記事では 添乗員向けの朝と帰りの挨拶の流れと、挨拶の例文を解説します。
この記事を読むことで、バス旅行の車内の挨拶ができるようになります。
添乗の心配事の1つは「バス車内の挨拶」でした。
事前に何度も挨拶例文を読み直し、声に出して暗記していたものです。
※挨拶でいろいろ試したくなる本
ちなみに1番参考になった挨拶本は中谷彰宏さんの「なぜあの人は人前で話すのがうまいのか」で7回以上、読みました。具体例がまとめられていて、毎回の添乗で試したくなります。10万部突破のロングセラーです。
Contents
【バス旅行】添乗員の「朝と帰りの挨拶」を紹介【挨拶の例文と流れ】
1.朝の挨拶の流れ
朝の挨拶の流れ
- 挨拶
- ツアー参加のお礼
- 自己紹介
- 行程の説明
- 注意事項
- ドライバー、ガイドの紹介
- 締め
笑いが取れればベストです。
余裕があるときは、バス移動中に「どうやって笑わせようか、楽しませようか」を考えています。
オーソドックスで堅実な挨拶・案内が大事です。
しかし笑いがあってこその楽しい旅行です。
「朝の挨拶」でお客さまの心をつかんでいきましょう。
朝の挨拶で1番大切なことは「明るさ」です。
第一声の「おはようございますの明るさ」でツアーの印象が決まります。
「おはようございます」さえ明るく言えれば、あとは滑舌が悪くても、たどたどしくても問題ありません。
天気が悪ければ、挨拶だけでも明るくいきましょう。
2.朝の挨拶例文
下記例文を読んで、いきなりスラスラ挨拶ができるようにはなりません。
私は添乗が近くなると、声に出して20回は読んでいました。
読んだ回数が、自信に変わります。
積み重ねたものが「言葉のキレ」に変わります。
「声に出して」ブツブツと読んでみてください。
黙読ではなく、声に出すのが良いです。
慣れていない新人添乗員さんは緊張するかもしれません。
緊張を薄めるためにも、事前の反復練習が有効です。
朝、集合場所に向かう途中もサラッと復習しておきましょう。
練習のすべてが「余裕や自信、落ち着き」になり、オーラに変わります。
ベテラン添乗員さんも初心を忘れることなく復習がおすすめです。
私が新人のとき「新人ですが一生懸命頑張ります」と挨拶をしたら、同行の先輩に「新人という言葉は使うな」と注意されました。
お客さまには「添乗員が新人かどうか」は関係ないからです。
あくまでお客さまの目の前にいるのは、プロの添乗員なのです。
ゆえに新人添乗員さんは堂々としていればOKです。
① それでは皆さま、おはようございます。
② この度は株式会社◯◯◯をご利用いただき、誠にありがとございます。
③ 私は本日より2日間、皆さまとご一緒させて頂きます添乗員の◯◯◯◯と申します。(自己紹介では名前を覚えてもらう工夫もありです)
◯◯◯◯と書いて◯◯◯◯と言います。
今日は漢字だけでも覚えてください(明日は顔も覚えてください。違う添乗員についていかないように)
ちなみに出身地は◯◯県です(出身地を話しておくと、同じ出身地のお客さまがツアー中に話しかけてきます)
私は添乗員ですので何かお困りごとご不明な点などございましたら、いつでもお申し付けください。
皆さまのご旅行が楽しい思い出になりますよう精一杯努めてまいりますので、2日間どうぞよろしくお願いいたします。(もし拍手があれば◯◯名様とは思えないほどの拍手ありがとうございますと言ったり、窓ガラス割れんばかりの拍手をありがとうございますと言ったり、皆さまお元気で、と言ったりしてお返しします)
④ 本日の行程を簡単にご案内いたします。
これより◯◯インターより高速道路に入りまして、第一回目の休憩は約1時間後を予定しております(具体的なサービスエリア名は確約できないので言わない)。
その後、午前中は一ヶ所◯◯をご見学いただき、昼食は12時30分頃の予定で名物◯◯をお召し上がり頂きます。
午後は二ヶ所、◯◯と◯◯をご見学いただき、本日お泊まりの草津温泉・◯◯旅館には16時30分頃に到着の予定です。
本日の行程は以上です。
詳細につきましては、その都度ご案内いたします。
なお明日の行程については、明日ご案内いたします。
⑤ 皆さまへ5つのご協力のお願いがございます。
(1)シール:当日お渡ししたシールはわかりやすいところ、目立つところに貼ってもらう(ツアー参加の証、入場券の代わりになる、など)
(2)座席について
- 座席指定:座席指定であれば1日このままなのか、座席変更のタイミングをあるのか、案内
- シートベルト:全席にもれなく付いている。お客さまの安全のためにも着用お願いしますとメリットを伝える
- リクライニングシート:禁止であれば、車内平和のために、などで伝える。ボタンは気のせいです、とか
- 携帯電話、ゲーム機:マナーモード(音が出ないように)や通話について控えてもらう、など
- 飲食:食べること(アメ、ガムはOKなど)や飲むこと(アルコールなど)について
- タバコ:車内禁煙かどうか、電子タバコは?サービスエリアや観光地で5本くらいまとめて吸うようにお願いする。バスに灰皿が付いている場合は高級インテリアと言って笑いをとる。高級インテリアにはゴミは入れないように
(3)貴重品・健康の管理(貴重品は自己管理をお願いする。気分がすぐれない方などは申し出るように)
(4)集合時間:時間厳守の協力のお願い(時間を守らないと他のお客さまに迷惑。行程に支障をきたす)
(5)添乗員の連絡先:行程中、迷子になりそうな観光地の解決策として、業務用携帯電話をお伝えする(携帯から発信やメモで控えてもらう)
※バス内のお手洗いがある場合は案内する(走行中のみ利用できることを伝え、休憩時は外のお手洗いを利用して頂く)
⑥ 最後にドライバーさん、ガイドさんを紹介いたします。
ドライバーさんは安全運転に努めて頂く◯◯バス会社の◯◯さんと、ガイドさんは◯◯さんに来ていただいております。(バスの乗り間違えがないようバスの色も説明しておく → 最初の休憩地で案内するのもあり)
⑦ それでは2日間、皆さまの良い思い出となるよう精一杯務めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします(最後にもう一度、自分の名前を繰り返してもOK)
「朝の挨拶の流れ」に沿い、「7ヶ所に杭を打つ」ように話していきます。
朝からダラダラ話しても、頭に入らないもの。
「朝の挨拶」の内容は、別の場所で繰り返し伝えても問題ありません。
繰り返したほうが「大事なんだな」と認識してもらえます。
挨拶は「添乗の本質」ではありません。
添乗の本質は2つ
- 行程を管理する
- 安全を確保する
上記のうえで、挨拶がスパイスになれば理想です。
「この旅行に参加してよかった。楽しかった、また来たい」と思ってもらえるよう気持ちを込めていくのです。
なお「朝の挨拶」の自己紹介に、出身地を混ぜるのは効果的です。
自分の出身地の話をされると嬉しいからです。
自分の出身地に「遊びに行ってみました」と聞くと嬉しいです。
褒められているわけでもないのに好感を抱きます。
出身地の話になると盛り上がり、仲良くなることがあります。
人間は自分の出身地の話が好きなのです。
朝の挨拶が終わるとホッとします。
3.【添乗員向け】帰りの挨拶の流れ
帰りの挨拶の流れ
- 到着案内
- ツアー参加、ご協力のお礼
- 旅行の振り返り
- ドライバー、ガイドのお礼
- 締め
「帰りの挨拶」は旅行の締めですので、短くすることがコツです。
ダラダラと長くなると、間延びした印象です。
大事なのはツアー参加のお礼です。
思い出のシーンを振り返りつつ、感謝の気持ちを話していきます。
感謝さえ伝えられればOKです。
お客さまと一緒に過ごしたことをネタに、1つでも笑いが取れればカッコいいです。
名残惜しい気持ちになっているお客さまもいらっしゃいます。
「帰りの挨拶」で楽しい旅行の余韻を残しつつ、バスを到着させます。
4.【添乗員向け】帰りの挨拶例文
「基本例文と募集型例文」の2つを紹介します。
基本例文
① お疲れ様でした。
あと◯◯分ほどで◯◯駅付近(出発地)に到着します。
お忘れ物なさいませんようにそろそろ準備をお願いいたします(車内ゴミの案内)
② それではここで簡単に最後のご挨拶を申し上げます。
この度は株式会社◯◯◯をご利用いただき、誠にありがとございました。
③ ◯日間を振り返ってみて、いががでしたでしょうか?
道中何事もなく無事にここまで来られましたのも皆さまのご協力のおかげで、旅を順調に行程(台本)どおりに無事に終えることができそうで、皆さまに感謝しております。
人数は減りもせず、増えもせず、増えたのはお土産だけで良かったと今、しみじみと感じています。
長時間のバス旅行ですので、知らず知らずのうちに疲れもたまっていると思いますので、ご自宅に着きましたらゆっくりとお風呂に浸かりお休みいただき、明日からの社会復帰に備えていただければと幸いです。
至らない点、行き届かない点が多々あったかと思いますが、これに懲りず今後ともよろしくお願いいたします。
旅はご自宅に着くまでです。
「やっぱり家が落ち着くな〜」と思った時が旅の終わり。
ご自宅でお土産を開けながら、旅の思い出を振り返っていただければと思います。
夜も遅いので、ご自宅に着くまでどうかお気をつけてお帰りください(明日から仕事の場合は、「すぐの社会復帰は難しいと思いますが頑張って下さい」など言うこともあります)
④ 最後になりましたが、この2日間安全第一で運転していただいたドライバーの◯◯さん、ガイドをしていただきました◯◯さん、ありがとうございました。
⑤ 最後に皆さまへ弊社をご利用いただいたことを感謝申し上げます。
ありがとうございました。
募集型の例文(要点のみ)
皆さま、お疲れさまでございました。
バスはまもなく◯◯へ到着します。
✔︎ 到着後の流れ
- 到着後は流れ解散(バスを降りてから1本締めはしない)
- 集合場所は自転車が多いので轢かれないように
集合場所は通行人も多いので、楽しそうに降りるのがポイント - 忘れ物の注意喚起(携帯、財布、カギ、定期券、イヤリング、電源コードなど)
忘れ物があった場合は、代表者様へ連絡するので10分くらいは電話を気にして
お子さんを忘れない(3日以内に取りに来てもらわないと添乗員になってしまう) - 棚の上の荷物はバスが止まってから取るように(お土産を忘れると私もしくはドライバーへのプレゼントと解釈するシステム)
走行中は危ないので、バスが止まってから焦らずに取る(焦ると忘れ物が増える) - 感染対策のお願い:バス車内のゴミ持ち帰り、ドリンクホルダー、リクライニングシート、カーテンをもとに戻す
- シール:ご自宅までシールをつける方がいる(帰り道、弊社の宣伝はしなくてOK)
シールは今すぐ剥がしてOK(剥がしていいが前の座席にペタペタつけないで)
✔︎ 旅行の振り返り
- 観光地を1つ1つ振り返り、どんなことがあったか
振り返った後で「いかがでしたか?」と聞くと拍手が来るので「あおっているようで、すみませんでした」と笑いをとる - ご協力のお礼(団体旅行の集合時間、感染症対策)
- 健康の管理(バス旅行は意外と疲れる。バスに揺られていると知らず知らずのうちに疲れが溜まるものだから)
- 思い出(お風呂に浸かりながら、お土産を開けながらちょっぴり今日の思い出を振り返っていただければ嬉しく思います。どこの旅行会社だったかなぁと振り返るのがポイント)
✔︎ ドライバーさんへお礼
安全運転に努めていただきました◯◯交通のドライバー、◯◯さん、本日1日ありがとうございました。
※行程を相談してもらっているはずなので、合わせてお礼
✔︎ 最後のお礼
- 最後にみなさまのご健康とご多幸をお祈りして、お礼のご挨拶に代えさせていただきます
- 本日は◯月◯日、皆さまの貴重な1日を◯◯社に費やしていただいたこと感謝申し上げます。
どうもありがとうございました。
ご自宅までお気をつけてお帰りくださいませ。
本日は◯◯(自分の名前)がご案内いたしました。
どうもありがとうございました。
最後の挨拶でいただくお客さまの拍手はうれしいです。
「旅行に参加してよかった。楽しかった。また来たい」と思ってもらえるよう、一緒に体験したことや良かった点を振り返りましょう。
トラブルもあったかもしれませんが、良い思い出に変えて「帰りの挨拶」で締めましょう。
挨拶後は「添乗の疲れや安堵感」を感じているかもしれません。
バス到着後は「車内の忘れ物確認」で終了です。
「帰りの挨拶」が終わるとガッツポーズなのです。
※募集型ツアーのアンケート配布で笑いを取る方法
アンケート配布後にマイクで「添乗員の評価もございますので、ぜひとも温かい目でよろしくお願いします」と、ひと言そえると安定した笑いが取れます。現役添乗員・梅村達さんの「旅行業界グラグラ日誌」で勉強させていただきました。
まとめ:バス旅行の添乗員の「朝と帰りの挨拶」をマスターしよう
その場の雰囲気やお客さまにより、話す内容は変わります。
「添乗員研修」の挨拶も、おおむねこの流れで問題ないはずです。
なお挨拶のネタとして、下記確認がおすすめです。
- 天気予報
- 交通情報
- 注意報・警報
- 現地旅行先のニュース
トラブルにも直結するので大事です。
挨拶は勇気がいります
心を奮い立たせて、カッコ良く、かましてやりましょう。
お客さまと会話するイメージです。
お客さまの声にならないサイレントの反応を感じ取りながら、その反動を利用して話ができるとラクです。
失敗ばかりでしたが、お役に立てれば幸いです。
挨拶で笑いが取れると病みつきです。
なお施設到着前の挨拶は「【添乗員の到着前の挨拶】旅館・ホテル、見学地、食事場所の例文公開」にまとめています。
以上です。
P.S. 理想はジャングルクルーズですね。
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