- 「バス旅行で添乗するときの「朝の挨拶、帰りの挨拶」を知りたい」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
この記事でわかること
- 添乗員の朝の挨拶
- 帰りの挨拶
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
本記事を書いている私の添乗回数は国内・海外計100本ほど。
一般団体・教育旅行・視察旅行を経験してきました。
添乗の挨拶は、慣れていないと緊張します。
添乗員を印象づける「朝の挨拶」、旅行の締めの「帰りの挨拶」となると、なおさらです。
本記事では 添乗員向けの朝と帰りの挨拶の流れと、挨拶の例文を解説します。
この記事を読むことで、バス旅行の車内の挨拶ができるようになります。
添乗の心配事の一つは「バス車内の挨拶」でした。
事前に何度も挨拶例文を読み直し、声に出して暗記していたものです。
※挨拶でいろいろ試したくなる本
ちなみに、一番参考になった挨拶本は中谷彰宏さんの「なぜあの人は人前で話すのがうまいのか」で7回以上、読みました。具体例がまとめられていて、添乗のたびに試したくなります。10万部突破のロングセラーです。
Contents
【バス旅行】添乗員の「朝と帰りの挨拶」を紹介【挨拶の例文と流れ】
1.【添乗員向け】朝の挨拶の流れ
朝の挨拶の流れは、次のとおり。
- 挨拶
- ツアー参加のお礼
- 自己紹介
- 行程の説明
- 注意事項
- ドライバー、ガイドの紹介
- 締め
笑いが取れればベストです。
私は余裕があるときは、バス移動中に「どうやって笑わせようか、楽しませようか」を考えています。
オーソドックスで堅実な挨拶・案内が大事ですが。
しかし、笑いがあってこその楽しい旅行です。
「朝の挨拶」でお客さまの心をつかんでいきましょう。
朝の挨拶で一番大切なことは「明るさ」です。
第一声の「おはようございます」の明るさでツアーの印象が決まります。
「おはようございます」さえ明るく言うことができれば、あとは滑舌が悪くても、たどたどしくても問題ありません。
天気が悪ければ、挨拶だけでも明るくいきましょう。
2.【添乗員向け】朝の挨拶例文
下記例文を読んで、いきなりスラスラ挨拶ができるようにはなりません。
私は添乗が近くなると、声に出して20回は読んでいました。
読んだ回数が、自信になります。
積み重ねたものが、言葉のキレになります。
「声に出して」ブツブツと読んでみてください。
黙読ではなく、声に出してみるのが良いです。
慣れていない新人添乗員さんは緊張するかもしれませんが、緊張を薄めるためにも事前の反復練習が有効です。
当日の朝、集合場所に向かう途中もサラッと復習しておきましょう。
練習のすべてが「余裕や自信、落ち着き」になり、オーラに変わります。
ベテラン添乗員さんも初心を忘れることなく復習がおすすめです。
私が新人のとき「新人ですが一生懸命頑張ります」と挨拶をしたら、同行の先輩に「新人という言葉は使うな」と注意されました。
お客さまにとって「添乗員が新人かどうか」は関係ないからです。
あくまでお客さまの目の前にいるのは、プロの添乗員なのです。
ゆえに、新人添乗員さんは堂々としていればOKです。
① それでは皆さま、おはようございます。
② この度は株式会社◯◯◯をご利用いただき、誠にありがとございます。
③ 私は本日より2日間、皆さまとご一緒させて頂きます添乗員の◯◯◯◯と申します。(自己紹介では名前を覚えてもらえるような工夫をするのも良いです)
◯◯◯◯と書いて◯◯◯◯と言います。
今日は漢字だけでも覚えてください(明日は顔も覚えてください。違う添乗員についていかないように)
ちなみに出身地は千葉県です(出身地をざっくり話しておくと、同じ出身地のお客さまがツアー中に話しかけてきて有効)
私は添乗員ですので何かお困りごとご不明な点などございましたら、いつでもお申し付けください。
皆さまのご旅行が楽しい思い出になりますよう精一杯努めてまいりますので、2日間どうぞよろしくお願いいたします。(もし拍手があれば◯◯名様とは思えないほどの拍手ありがとうございますと言ったり、窓ガラス割れんばかりの拍手をありがとうございますと言ったり、皆さまお元気で、と言ったりしてお返しします)
④ 本日の行程を簡単にご案内いたします。
これより◯◯インターより高速道路に入りまして、第一回目の休憩は約1時間後を予定しております(具体的なサービスエリア名は確約できないので言わない)。
その後、午前中は一ヶ所◯◯をご見学いただき、昼食は12時30分頃の予定で名物◯◯をお召し上がり頂きます。
午後は二ヶ所、◯◯と◯◯をご見学いただき、本日お泊まりの草津温泉・◯◯旅館には16時30分頃に到着の予定です。
本日の行程は以上です。
詳細につきましては、その都度ご案内いたします。
なお明日の行程については、明日ご案内いたします。
⑤ 皆さまへ5つのご協力のお願いがございます。
(1)シール:当日お渡ししたシールはわかりやすいところ、目立つところに貼ってもらう(ツアー参加の証、入場券の代わりになる、など)
(2)座席について
- 座席指定:座席指定であれば1日このままなのか、座席変更のタイミングをあるのか、案内
- シートベルト:全席にもれなく付いている。お客さまの安全のためにも着用お願いしますとメリットを伝える
- リクライニングシート:禁止であれば、車内平和のために、などで伝える。ボタンは気のせいです、とか
- 携帯電話、ゲーム機:マナーモード(音が出ないように)や通話について控えてもらう、など
- 飲食:食べること(アメ、ガムはOKなど)や飲むこと(アルコールなど)について
- タバコ:車内禁煙かどうか、電子タバコは?サービスエリアや観光地で5本くらいまとめて吸うようにお願いする。バスに灰皿が付いている場合は高級インテリアと言って笑いをとる。高級インテリアにはゴミは入れないように
(3)貴重品・健康の管理(貴重品は自己管理をお願いする。気分がすぐれない方などは申し出るように)
(4)集合時間:時間厳守の協力のお願い(時間を守らないと他のお客さまに迷惑。行程に支障をきたす)
(5)添乗員の連絡先:行程中、迷子になりそうな観光地の解決策として、業務用携帯電話をお伝えする(携帯から発信やメモで控えてもらう)
※バス内のお手洗いがある場合は案内する(走行中のみ利用できることを伝え、休憩時は外のお手洗いを利用して頂く)
⑥ 最後にドライバーさん、ガイドさんを紹介いたします。
ドライバーさんは安全運転に努めて頂く◯◯バス会社の◯◯さんと、ガイドさんは◯◯さんに来ていただいております。(バスの乗り間違えがないようバスの色も説明しておく → 最初の休憩地で案内するのもあり)
⑦ それでは2日間、皆さまの良い思い出となるよう精一杯務めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします(最後にもう一度、自分の名前を繰り返してもOK)
「朝の挨拶の流れ」に沿って、「7ヶ所に杭を打つ」感じで話していきます。
ダラダラと長い話をしても、朝から頭に入らないもの。
「朝の挨拶」で話した内容は、別の場所で繰り返し伝えても問題ありません。
繰り返したほうが「大事なこと」と認識してもらえます。
挨拶は「添乗の本質」ではありません。
添乗の本質は2つ
- 行程を管理する
- 安全を確保する
上記のうえで、挨拶がスパイスになれば理想です。
「この旅行に参加してよかった。楽しかった。また来たい」と思ってもらえるように気持ちを込めていくのです。
なお「朝の挨拶」の自己紹介に、出身地を混ぜるのは効果的です。
自分の出身地の話をされると嬉しいです。
自分の出身地に「遊びに行ってみました」と聞くと嬉しい。
褒められているわけでもないのに、その人に好感を抱いてしまいます。
その人の出身地の話になると盛り上がって、急速に仲良くなることがあります。人間は自分の出身地の話が好きなのですね。
— Koichi (@KoichiBlog) August 15, 2019
朝の挨拶が終わるとホッとします。
3.【添乗員向け】帰りの挨拶の流れ
帰りの挨拶の流れは、次のとおり。
- 到着案内
- ツアー参加、ご協力のお礼
- 旅行の振り返り
- ドライバー、ガイドのお礼
- 締め
「帰りの挨拶」は旅行の締めですので、短くすることがコツです。
ダラダラと長くなると、間延びした印象になります。
大事なことはツアー参加のお礼です。
思い出のシーンを振り返りつつ、感謝の気持ちを話していきます。
感謝さえ伝えることができればOKです。
お客さまと一緒に過ごしたことをネタに、1つでも笑いが取れればカッコいいです。
名残惜しい気持ちになっているお客さまもいらっしゃるかもしれません。
「帰りの挨拶」で楽しい旅行の余韻を残しつつ、バスを到着させます。
4.【添乗員向け】帰りの挨拶例文
① お疲れ様でした。
あと◯◯分ほどで◯◯駅付近(出発地)に到着します。
お忘れ物なさいませんようにそろそろ準備をお願いいたします(車内ゴミの案内)
② それではここで簡単に最後のご挨拶を申し上げます。
この度は株式会社◯◯◯をご利用いただき、誠にありがとございました。
③ ◯日間を振り返ってみて、いががでしたでしょうか?
道中何事もなく無事にここまで来られましたのも皆さまのご協力のおかげで、旅を順調に行程(台本)どおりに無事に終えることができそうで、皆さまに感謝しております。
人数は減りもせず、増えもせず、増えたのはお土産だけで良かったと今、しみじみと感じています。
長時間のバス旅行ですので、知らず知らずのうちに疲れもたまっていると思いますので、ご自宅に着きましたらゆっくりとお風呂に浸かりお休みいただき、明日からの社会復帰に備えていただければと幸いです。
至らない点、行き届かない点が多々あったかと思いますが、これに懲りず今後ともよろしくお願いいたします。
旅はご自宅に着くまでです。
「やっぱり家が落ち着くな〜」と思った時が旅の終わり。
ご自宅でお土産を開けながら、旅の思い出を振り返っていただければと思います。
夜も遅いので、ご自宅に着くまでどうかお気をつけてお帰りください(明日から仕事の場合は、「すぐの社会復帰は難しいと思いますが頑張って下さい」など言うこともあります)
④ 最後になりましたが、この2日間安全第一で運転していただいたドライバーの◯◯さん、ガイドをしていただきました◯◯さん、ありがとうございました。
⑤ 最後に皆さまへ弊社をご利用いただいたことを感謝申し上げます。
ありがとうございました。
「最後の挨拶」の後にお客さまから、拍手をもらえると嬉しいものです。
「この旅行に参加してよかった。楽しかった。また来たい」と思ってもらえるよう、一緒に体験したことや良かった点を振り返りましょう。
トラブルもあったかもしれませんが、良い思い出に変えて「帰りの挨拶」で締めましょう。
挨拶後は添乗の疲れ、安堵感を感じ始めている頃かもしれません。
バスが到着したら最後の仕事「車内の忘れ物確認」です。
「帰りの挨拶」が終わるとガッツポーズなのです。
※募集型ツアーのアンケート配布で笑いを取る方法
アンケート用紙を配るときに「添乗員の評価もございますので、ぜひとも温かい目でよろしくお願いします」と、ひと言そえるようにすると安定した笑いが取れるようです。現役添乗員・梅村達さんの書籍「旅行業界グラグラ日誌」で勉強させていただきました。
まとめ:バス旅行の添乗員の「朝と帰りの挨拶」をマスターしよう
その場の雰囲気やお客さまによって話す内容は変わります。
「添乗員の研修」で挨拶をするときも、おおむねこのような流れで問題ないはず。
なお、挨拶のネタとして、下記確認がおすすめです。
- 天気予報
- 交通情報
- 注意報・警報
- 現地旅行先のニュース
トラブルにも直結するので大事です。
挨拶は勇気がいります
心を奮い立たせて、カッコ良く、かましてやりましょう。
お客さまと会話するような感じで、お客さまの声にならないサイレントの反応を感じ取りながら、その反動を利用して話ができるようになるとラクです。
たくさんの失敗ばかりでしたが、本記事がお役に立てれば幸いです。
挨拶で笑いが取れると病みつきです。
なお施設到着前の挨拶は「【添乗員の到着前の挨拶】旅館・ホテル、見学地、食事場所の例文公開」にまとめています。
以上です。
P.S. 挨拶で笑わせよう。
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