- 「添乗員に求められる条件について知りたい」
- 「自分が添乗員に向いているかどうか知りたい」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
添乗員は人手不足です。
添乗員の定着率の悪さで、職についても辞めてしまう人が多いからです。
旅行や人が好きで添乗員を目指す人は多いですが、厳しい現実があります。
本記事では、添乗員を長く続けるためには、どんな要素が必要なのか。
添乗員としての求められる5つの条件や、基本的な適正について解説していきます。
この記事を読むことで、添乗員に求められる条件がわかり、自己啓発に役立ちます。
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、法人営業×出張手配×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗経験:国内・海外計100本ほどで、一般団体・教育旅行・視察旅行
Contents
添乗員に求められる5つの条件とは?【ツアーコンダクター歴18年の添乗員が解説】
今までの添乗経験から、下記を満たす人が添乗員の共通点です。
添乗員に求められる5つの条件
- 健康である
- 明るく公平なサービス精神がある
- トラブルや事故に対応する処理能力がある
- 旅行を演出する知識と能力がある
- ハッキリと分かりやすい説明や案内ができる
順番に解説していきます。
1.健康である
健康で病気にかかりにくい心身の持ち主であることが条件です。
添乗員の仕事はハードです。
勤務時間も規定では8時〜20時と決められていますが、いつも時間内に行程が終わるとは限りません。
ホテルに到着するのが20時を過ぎたからと言って、ホテルのチェックインをしないわけにはいきません。
お客さまの夕食や翌日の案内をせずに、仕事を終了することはできないのです。
19時スタート、21時終了の宴会があれば、最後までお付き合いするのは当然です。
事前に二次会があれば、二次会が終了するまでは二次会場付近に待機することもあるのです。
場合により同席して一緒に歌うこともあります。
規定の終了時間20時は、あってないようなものです。
どんなに遅い時間でも笑顔で接する仕事ですから、体が元気で丈夫でないと務まりません。
常に最高のコンディションを維持する
添乗員も人間です。
旅行先により、食べ物や水が合わなくて体調を崩したり、高地では高山病になったりすることもあります。
それでも、添乗員が旅行を率先して進める大事な役目を一身に担っていることに変わりありません。
お客さまより先に倒れるわけにはいかないのです。
体調を崩してしまったら、旅行日程に支障をきたし、お客さまに心配をかけたりすれば、旅行会社の信用問題になってしまいます。
体調を崩してしまったら、お客さまに気づかれる前に体調を整え、回復させなくてはなりません。
そのためには、お客さまの夜の遊びなどに無理に付き合い過ぎないことも重要です。
さらにお客さまには色々な人がいます。
- 陰湿なクレーマー
- 心ない言葉で添乗員を傷つける
- わざと無理難題を言ってくる
そのような人もいるのです。
その度にショックを受けて落ち込んでいればキリがありません。
心も強くなくてはいけないのです。
添乗員は心身ともに強靭でなければなりません。
2.明るく公平なサービス精神がある
添乗員は究極のサービス業です。
どんな時でもどんなお客さまでも、いつも明るく笑顔で接するサービス精神が大事です。
- 疲れやイライラが顔に出る
- 人の好き嫌いが表情や態度に出る
上記の人は添乗員に向いていません。
逆にどんな状況下でも、元気で明るい笑顔の添乗員なら、たいていのお客さまは好感を持っていただけるはずです。
添乗員の明るさや笑顔がお客さまに安心感を与えるからです。
安心感を心の余裕につながります。
心に余裕ができると、旅行を楽しめるのです。
そのくらい添乗員の明るさや笑顔は大事なのです。
特定のお客さまと仲良くすることは注意
自分にはそのつもりがなくても、特定のお客さまと仲良くしてはいけません。
- 注文の多いお客さま
- 添乗員に甘えたいお客さま
上記のようなお客さまはどうしても手がかかります。
他のお客さまと比べると気づかないうちに接触回数が増えます。
他のお客さまには「同じ人とばかり仲良くしている」と誤解します。
どんな場合でも常にお客さまには、公平な立場が取れるように配慮する必要があります。
- レストランの座席
- 乗り物の座席
上記などにはお客さまに不公平感を与えないよう、常に目配りをすることも大切です。
基本は公平な気持ちと態度
長い期間を一緒に旅行するので、お客さまとは自然と親しくなります。
悪いことではありません。
大事なことはツアーに参加したお客さまひとりひとりに公平な気持ちと態度で接することです。
公平さを保てないなら、過度に親しくしないほうが無難です。
不公平はお客さまの気分を害します。
なおお客さまと親しくなったとしても言葉遣いには気をつけましょう。
あくまでお客さまです。
きちんとした挨拶、言葉遣いを最後まで貫きましょう。
3.トラブルや事故に対応する処理能力があること
トラブルには、的確に敏速に処理する能力が、添乗員には必要です。
旅行中はどんなことが起こるか見当がつきません。
旅行にトラブルはつきものです。
トラブルが起きた場合、お客さまには添乗員が頼りです。
トラブル処理は添乗員が責任を持ってするのは当然です。
こんなトラブルは初めてだから、どうしたらいいのかわからないでは済みません。
自信を持った態度で臨まなければ、お客さまの信頼を失います。
初めてのトラブルであっても、うろたえずに冷静に対応です。
時には勘、ハッタリで対応することも必要です。
独断でトラブル処理は禁物
独断で対応してはいけない場面もあります。
- 必要に応じて関係者の判断を仰ぐ
- お客さまにご協力をいただく
上記のように柔軟に対応する能力も大事です。
また、トラブルや事故の当事者に、時として1歩も引かない毅然とした態度で臨む必要もあります。
交渉力やある程度の語学力も身につけていなければなりません。
普段でも、添乗員は旅行のリーダーです。
トラブルや事故に遭遇しても、必要に応じて安全でスムーズな旅行ができるようにお客さまを引っ張っていくリーダーシップも必要な要素です。
4.旅行を演出する知識と能力があること
添乗員は、お客さまに旅先の知識を説明します。
- 歴史
- 文化
- 地理
- 習慣
- 観光名所
さらにお客さまの旅心をくすぐり、添乗した国への興味をかきたて、旅行が面白いと思っていただけるよう演出するのが添乗員の腕の見せ所です。
普段から旅行先に関するあらゆる資料を集めて、読み込んでおくことが必要です。
そのうえで、自分なりの説明や案内ができるように準備するのです。
こうした知識をひけらかすことなくお客さまへ提供できれば、評価も高まり、やりがいも生まれます。
興味のある分野を勉強しておく
さらに自分が興味のある分野は、色々と勉強しておくことも苦にならないはずです。
積極的に情報収集して準備しておきましょう。
旅行でも趣味的な要素を持ったツアーもあります。
- 音楽
- スポーツ
- トレッキング
- 植物
- 料理
- 歴史
その分野に精通した添乗員は需要が高まります。
何か得意分野をもち、専門的な知識もある添乗員は活躍の場が広がります。
現地の人々との出会いや交流する演出
現地の人々に溶け込める能力も、旅行を楽しく演出するのに欠かせない要素です。
現地の人々との出会いや交流は、お客さまの印象に残ります。
鍵られた旅行という時間の中だからこそ、少しでも現地の人々とふれあえた時の喜びがあります。
このような機会を作るように配慮し、最初は億しがちなお客さまに代わり、現地の人々の中に率先して入り込むのです。
楽しい雰囲気を作って、お客さまをお誘いするのです。
お客さまの旅行は、さらに思い出深くなります。
5.ハッキリと分かりやすい説明や案内ができること
添乗員の説明や案内が不十分であったり、声が小さくて聞こえなかったりすると、たいていのお客さまは不満に感じます。
- 集合場所
- 集合時間
- 食事の場所
添乗員がお客さまに口頭で案内することは、記憶してもらい、指示に従って行動してもらう必要があります。
案内不足は、お客さまに不安や迷惑をかける原因です。
添乗員の説明や挨拶は重要なのです。
- ハッキリと
- 分かりやすく
- 大きな声で
- 丁寧に
添乗員の大切な心得です。
それでもお客さまに聞いてもらえる状況でない場合もあります。
- 場所により周囲の騒音がある
- お客さまの疲れで注意力散漫
- お客さま同士の話に夢中になっている
- 高齢者の方
それでも何度でも繰り返して説明したり、紙に書いて渡すなどして、臨機応変に対応する必要があります。
案内不足にならないよう、全員に聞いてもらえるよう最善の策を取るべきです。
案内でトラブルを回避できる
説明や案内はハッキリとした大きな声で何度でも繰り返すことが大事です。
- 聞き取り不足
- 聞き間違い
上記が原因で、お客さまが迷子になったり遅刻したりすると行程に支障をきたします。
他のお客さまにも迷惑がかかるのです。
- 「何かおわかりにならない点がありましたか」
- 「大事なことなので、繰り返しご案内します」
こういった心配りも必要なのです。
添乗員に求められる5つの条件のまとめ
添乗員に求められる5つの条件
- 健康である
- 明るく公平なサービス精神がある
- トラブルや事故に対応する処理能力がある
- 旅行を演出する知識と能力がある
- ハッキリと分かりやすい説明や案内ができる
どれも大事なことですが、痛感しているのは「健康」です。
体力、精神ともにタフでなければ務まらないのが添乗員なのです。
67歳の現役添乗員・梅村逹さんの「旅行業界グラグラ日誌」より引用します。
添乗員の仕事というのは、一にも二にも体力勝負である。その体力なるもの、性別や年齢はかかわりない。ひじょうに個人差のあるものである。
私は六十代も終わろうかという年代に差しかかっている。けれども体力だけは、まだまだ自信がある。ただそうは言うものの、疲れが抜け切るのに時間がかかるなど、身体の衰えは確実に現れ始めている。
もうそろそろハードな仕事に、暇乞いをするタイミングかなとも考えている、今日この頃である。
改めて添乗員として過ごして来た歳月を振り返ってみれば、つくづく性にあった仕事であると思わざるを得ない。旅が日常で毎日が刺激的で、ワクワクとした心持ちで過ごしてきた。
とはいってもそうした昂揚感以上に、苦しきこと多かりし世界であることは、本作を読んでいただければ、理解していただけるであろう。
だから体力に加えて、図太い神経も必須条件である。出典:『旅行業界グラグラ日誌』
体が資本です。
「丈夫、元気、健康」であれば、他要素は訓練でカバーできます。
何事も慣れです。
最後に添乗で役立った本を3冊、紹介します。
以上です。
P.S. 添乗員の条件を知り、自分を成長させよう。
参考図書
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