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旅行会社の5つのトラブル事例と解決策【法人営業18年の体験談】

2020年4月11日

旅行会社の5つのトラブル事例と解決策【法人営業18年の体験談】
  • 「旅行会社のトラブル事例を知っておきたい」
  • 「合わせて具体的な解決策も知りたい」

この記事はそんな方へ向けて書いています。

 この記事でわかること

  • 旅行会社のトラブル事例5つと解決方法

 本記事の信頼性

  • 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配・法人営業・添乗
  • 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
  • 添乗経験:国内海外計100本ほどで、一般団体教育旅行視察旅行

旅行会社のトラブル、クレームと聞くと、対応方に不安になります。
旅行業法、旅行約款を勉強していても「あれ、このケースはどうだったかな」とわからなくなります。

日本旅行業協会(JATA)でも随時、苦情処理セミナーを開催しているくらいトラブルは多いものです。

そこで本記事では、旅行会社のトラブル事例(JATA引用)を解決策とセットで解説します。

旅行会社の5つのトラブル事例と解決策【法人営業18年の体験談】

旅行会社の5つのトラブル事例と解決策【法人営業18年の体験談】

まずは旅行会社の免責事項を見ておきましょう。

 旅行会社が免責となる7つ

① 天災地変、戦乱、暴動または、これらのために生ずる旅行の日程の変更もしくは旅行の中止
② 運送宿泊期間の事故もしくは火災またはこれらのために生ずる旅行の日程の変更もしくは旅行の中止
③ 日本または外国の官公署の命令、外国の出入国規制または伝染病による隔離
④ 自由行動の事故
⑤ 食中毒
⑥ 盗難
⑦ 運送機関の遅延、運送機関の不通またはこれらによって生ずる旅行日程の変更もしくは目的地滞在期間の短縮

トラブル①:乗務員ストライキで旅行中止

航空会社のストライキでチャーター便がフライトキャンセルになり、旅行中止になったケースです。

 お客さまの申し出内容

① 香港4日間の旅行に、北海道からチャーター便で行けるので申し込んだが、乗務員ストライキのため旅行中止。
旅行会社は「1人3万円と空港までの交通費を払う」と言うが拒否しました。
② 民法第54条3項には、契約解禁により被った損害の賠償請求権が認められており、旅行サービスを受けられなかったことについて旅行会社は責任を負う必要がある。
旅行会社は「自社に過失がない」としているが、旅行会社がチャーターした航空会社は「契約により負担した債務(サービス)の履行補助者に当たるもの」と解される。
よって主催旅行契約の不履行について過失が認められる。
③ 顧客都合で当日キャンセルしたときには100%の取消料を払わなくてはならないことを考えると、旅行会社は旅行代金相当額(倍返し)をするのが妥当であると考える。

 旅行会社の説明

① 予測していなかったストライキで旅行中止。
参加者258人には事情を理解してもらえたが、このお客さまだけは理解してもらえず損害賠償を請求されることになったのは心外。
② お客さまは約款の規定を誤解ないし誤認している。
当社は旅行サービスを手配するのであって、自ら提供するのではない。
航空会社は代理取次を行う当社からすれば第三者にすぎず、旅行契約の履行補助者とはとうてい認められない。
よって、当社が債務不履行責任を負う理由にはなりえない。
③ 一律3万円を差し上げたのは賠償金ではなく「お見舞い金」である。

 解決方法

お客さまが旅行業法、主催旅行約款の説明を受けて了解する。

 教訓

航空会社のストライキでは旅行会社は免責です。
法的な見解を求めてくるケースでは、JATAの顧問弁護士に相談するのもあり。

海外の航空会社のストライキは、日常茶飯事です。

トラブル②:合宿の予約をキャンセル

キャンセル料のトラブルは多いです。
今回は合宿を事前にキャンセルしたケース。

 お客さまの申し出内容

① 大学サークルの夏季合宿の宿泊施設の手配依頼をしたが、都合でキャンセルをしたところ取消料として147,000円、その後、173,000円の取消料が追加された。
② 実施まで2ヶ月以上もあるのに計320,000円もの法外な取消料の請求はひどい。
計算の根拠を聞いても明確な説明がない。
第一、自分たちは申込金を払っていないので正式契約をしていない。
③ 大学の法学部の先生に相談したところ『旅行業法』に基づく約款があることを知った。
今回のケースは手配旅行なので、取消料は30,000円前後なのでは?
旅行会社の請求に応じる必要はないと確信している。

 旅行会社の説明

① 手配旅行であることは間違いない。
この場合、申込金の受理がなくても代表者の申込書で契約は成立していると解している。
② お客さまの都合により取り消すのだから、取消料を請求するのは当然である。
宿泊時期が繁忙期なので総額の15%を請求した。

 解決方法

1人500円の60人分である30,000円をお客さまが支払うことで解決した。

 教訓

団体手配旅行契約では、約款第21条で「申込金の支払いを受けることなく契約の締結を承諾することがあります。この場合には契約責任者に旅行サービスの手配を引き受ける旨を記載した書面を交付すると契約は成立する」と明記されている。
したがって、申込金がなくても「旅行サービスの手配引受書」をお客さまは提出しているので契約は成立している。
通常、手配旅行をキャンセルした場合、運賃、宿泊費や利用しなかったサービス、旅行業務取扱料金を支払わなくてはならない。
今回のケースでは宿泊先に問い合わせたところ「キャンセル料は不要」とのことで、また「サービスの対価として払うべき金銭」も発生していないので1人あたり500円で計30,000円の旅行業務取扱料金のみ支払うことになった。
代金総額の15%を請求することは、このケースではできない。

トラブル③:予約した部屋と違う

旅行開始後のトラブルです。
ホテルの部屋についてのクレームは、実際に経験があります。

 お客さまの申し出内容

① 52,000円の高い料金を払って、マッターホーンが眺められる部屋を予約した。
しかし、現地についたところホテル側より「そのような手配は依頼されていないので、別の部屋へ入ってください」とのこと。
翌日はなんとかしてくれるだろうと思い、その場はホテル側の指示に従った。
② 次の日、現地オペレーターの責任者が来て話し合ったが、先方はただ謝るだけ。
がっかりするやら腹が立つやらで、結局、約束の部屋に泊まることなく不快な気分のうちに旅を終え帰国した。
③ 「マッターホーンサイドの部屋指定」の内容にひかれて半年前に申し込み、しかも何度も確認してきた。それなのに一生に一度のハネムーンを台無しにされ、お金では解決できないが、旅行代金の半額は返金してほしい。

 旅行会社の説明

① このツアーは当社のオリジナルツアーで当該ホテルを常時確保して、コンピュータに入力され手配は完璧な状態であったはずだが、「マッターホーンサイドの部屋という特別な手配」についてはその都度コンピュータに入力しておかなければならなかった。
② お客さまの場合については、申し込みが早過ぎたために担当者が入力を失念した。

 解決方法

部屋代の52,000円の追加料金と、当社指定の6泊分相当額を支払うことで解決。

 教訓

今回のケースは契約違反であり、損害賠償を請求されても仕方ないところ。
しかも半年も前に予約申込みをしており、何度も再確認している。
旅行契約の重要な目的が達せられずお客さまに損害を与えたわけで、旅行会社の責任は重く、弁解の余地はない。
旅行会社の仕事は忙しいが、プロである以上、「失念」は許されない。

客室からの眺望は、誇張表現も多少はあります。

トラブル④:現地ガイドが手抜き

海外添乗のとき、ことあるごとに現地ガイドと日本人の感覚のギャップを感じたときもありました。

下記は中国香港旅行で現地ガイドにしつこくショッピングを案内されたケースです。

 お客さまの申し出内容

① 中国、桂林の川下りのとき、他のガイドは説明をしているのに私たちのガイドは姿をくらまして役に立たなかった。
観光したのは七星公園だけで、他には「時間がない」と言い、行かなかった。
そのくせ土産物屋や薄暗い漢方薬局につれていかれ1個10,000円のクリームなどを買わされた。
② 昆明では日程表にはっきりと「民族村に案内する」と書いてあるのに「これは書いてない。有料だ」と言って入場料を取られた。
③ 香港では「時間がない」と言って観光もろくにせずに高級品を売っている店に連れて行かれた。
さすがに私たちも腹が立ち、私が代表で申し出て店を出してもらったが、ガイドは「運転手は給与がなく、客を店に案内して20ドルをもらって生活しているから協力してください」と私たちに言った。
④ 現地ガイドの態度や現地手配会社の手抜きをよく調査し、善処してほしい。

 旅行会社の説明

① クレームの申し出については一部食い違いはあるものの、大筋において否定はしない。
事実関係の細かい調査については限界があり、私たちの本意ではない。
② 指摘を謙虚に受け止め、今後このようなことがないようにし、迷惑をかけたことについてお詫びの気持ちとして15,000円の金額を提示する。

 解決方法

① 桂林で他の観光地に案内できなかったことについて返金分4,500円(現地地上手配費1日分の4分の1)と、昆明の「民俗村」の入場料500円。
② お詫びの気持ちとして10,000円の合計15,000円で解決。

 教訓

旅行会社にはお客さまの言い分が正しいために、細かい点については「お詫びすればいい」という安易な気持ちがある。
クレーム内容の事実確認が大事。
他の旅行会社はどう思っているのかアンケートなどで調査すべきで、情緒論ではなく事実関係を明らかにすべき。
その結果として契約内容の不完全部分があればその不足金を提示する。
お詫び金は会社の謝意の気落ちとして提案すべき。

適当なガイドにあたることもあります。

トラブル⑤:別々の飛行機に乗せられた

夫婦6組の合同銀婚式ツアーで、帰りの航空便が7人と5人に分けられ別々の飛行機に乗せられてしまったケースです。

 お客さまの申し出内容

① 合同銀婚式記念ツアーの幹事役を引き受け、旅行会社に手配を依頼した。
添乗員に引率されて旅程をこなし、いよいよ帰国という前日の夜、記念パーティの席で添乗員から「明日は12人のうち5人が別便になる」と告げられた。
② 和やかだった雰囲気は一変。
5人の名前も旅行会社で勝手に決められ、結局、翌日は7人と5人に分かれて別便で帰国。
③ これではいったい何のための合同銀婚式記念ツアーなのか。
幹事の面目丸つぶれである。
しかし、旅行会社は「航空会社の一方的都合による変更で当社に責任はない」と言う。
これは明らかに旅行会社の契約不履行であり、慰謝料を含めた誠意ある回答を求める。

 旅行会社の説明

① 実は出発前に航空会社から帰国便の5人の座席が取れない旨の連絡があった。
急なので顧客との摩擦を避け、とりあえず当社側で別便に5人の座席を確保して出発。
② 「旅行中になんとか同一便になるだろう」と期待をしたがダメで、直前になって伝えることになってしまった。
当社も被害者のような立場であることを理解してほしい。
お客さまの立場は察するが、慰謝料の請求には応じられない。
航空会社を取り次ぐのでそちらで交渉してほしい。

 解決方法

航空会社側の支店長がお客さまと面談し、「出発前にあらかじめ旅行会社に連絡をしている。オーバーブッキングはよくあることだ」と事情を説明。
大方の了解を得られた。

 教訓

今回のケースでは航空会社が話し合いに応じてくれて解決したが、いつも話し合いに応じてくれるとは限らない。
手配旅行契約の場合、旅行会社の債務は手配完了した時点で終了する。
しかし、前日に航空会社から連絡があったのだから、旅行会社は直ちにお客さまに連絡を取り旅行内容の変更の判断を求める必要がある。
何もしなかったのは旅行会社の重大なミス。
お客さまは旅行内容変更および解除権行使の機会を奪ったものとして旅行会社に相当額の慰謝料支払いを求められるケース。

「現地に行ってからなんとかなる」は、無いです。

まとめ:旅行会社のトラブル事例と解決策を知り、トラブルが起きても慌てないようにしよう

まとめ:旅行会社のトラブル事例と解決策を知り、トラブルが起きても慌てないようにしよう

 旅行会社が免責となる7つ

① 天災地変、戦乱、暴動または、これらのために生ずる旅行の日程の変更もしくは旅行の中止
② 運送宿泊期間の事故もしくは火災またはこれらのために生ずる旅行の日程の変更もしくは旅行の中止
③ 日本または外国の官公署の命令、外国の出入国規制または伝染病による隔離
④ 自由行動の事故
⑤ 食中毒
⑥ 盗難
⑦ 運送機関の遅延、運送機関の不通またはこれらによって生ずる旅行日程の変更もしくは目的地滞在期間の短縮

トラブルが起こりそうなときに「なんとかなるだろう」は、あり得ないです。
添乗員にプラス思考や楽観性は不要です。
するべきことは「最悪なケースを想定して、準備すること」です。

「なんとかなるだろう」は存在しません。
「なんとかなるだろう」は禁句なのです。

神頼みは辞めておくのが吉です。

事前にトラブル事例を少しでも知っておくことが、準備になります。
引き出しを増やして、対応していきましょう。

添乗で参考になった3冊を紹介します。

トラブル事例&解決策がわかります。

特に55歳で添乗員になった梅村氏の著書『ヘトヘト日記』は「添乗員は謝るのが仕事」と刺さる言葉を述べています。
添乗のつらさ・おもしろさがわかりやすくて、大好きな本です。

以上です。

P.S. トラブル事例と解決策を知ろう。

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