- 「海外添乗業務の実際は、どんな感じだろう?」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
この記事でわかること
- シリア・ヨルダン13日間の海外添乗業務
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗経験:国内・海外計100本ほどで、一般団体・教育旅行・視察旅行
本記事では「ツアーコンダクターになろう」から海外添乗業務を解説します。
この記事を読むことで、海外添乗を擬似体験できます。
なお海外添乗員のマニュアルは「海外添乗マニュアル完全まとめ【出発前から帰国までの5つの流れ】」で解説しています。
Contents
【擬似体験】海外添乗業務の実際とは【シリア・ヨルダン13日間】
日程表「シリア・ヨルダン13日間」
日時 | 内容 |
1日目 | TK1023便 成田13:15→イスタンブール乗り継ぎにてシリア・ダマスカスへ |
2日目 | シリア・ダマスカス01:10 着後、ホテルへ、就寝。 ダマスカス市内観光の後、一路パルミラへ |
3日目 | パルミラ終日観光 |
4日目 | パルミラからアレッポへ |
5日目 | アレッポからダマスカスへ |
6日目 | ダマスカスから国境を越えてヨルダンのペトラへ |
7日目 | ペトラとワディ・ラムの観光 |
8日目 | ペトラからアンマンへ |
9日目 | アンマンからイスタンブールへ |
10日目 | 終日自由行動 |
11日目 | 終日自由行動 |
12日目 | 終日自由行動、イスタンブールよりソウル、関西空港経由で帰国の途へ |
13日目 | 関西空港到着 |
ツアーは「募集型企画旅行」ではなく「受注型企画旅行」です。
出発1ヶ月までに旅行説明会を開く
- 旅行行程や持ち物、気候などの説明
- 治安について(安全に旅行できることを案内)
- 違う文化圏での行動や認識の仕方
説明会は準備が必要です。
経験上、以下書類を用意しました。
- 旅のしおり(間に合えば)
- 日程表
- 参加者名簿
- 渡航国の観光資料(観光局のガイドブックなど)
- ABCなどの宅配サービス
- スーツケースにつけるタッグ
- 旅行傷害保険の申し込み案内
- Wi-Fiレンタルの申し込み案内
- 機内への液体物持ち込みの注意事項(予算があればジッパー付きのビニール袋)
説明会に準備が間に合わないものは郵送します。
お客さまからの想定問答集を作って、回答できるようにします。
説明会で回答できないものは、確認後、後日回答します。
出発前の旅行会社との打ち合わせ
- 必要書類と経費を受け取り、内容確認
- お客さまに、最終確認の電話をかける
- 集合場所・時間、パスポートが本人持参かどうか、ひとり部屋か相部屋か、未収料金や返金の有無、保険証など確認
- 旅行説明会に欠席したお客さまへご挨拶とご質問がないか確認
失敗談ですが、お客さまへ送る資料を間違えて、別のお客さまへ送ってしまったことがあります。
急いで送り直しましたが、結局、お客さまの元に資料が届いたのは、出発前日です。
添乗当日、お客さまからお叱りを受けました。
添乗中に挽回するために、何かと消耗した苦い添乗になりました。
事前の資料送付も大事な仕事です。
第1日:成田からイスタンブール経由、シリア首都ダマスカスへ
長い1日です。
フライトも下記があると消耗します。
- 乗り継ぎ便
- 深夜到着便
乗り継ぎ便
乗り継ぎ便は事前にどれだけ導線をチェックしても、実際に空港に到着すると違う場合があります。
添乗員はお客さまを乗り継ぎゲートまで先導します。
わからなくなったら、いったんお客さまにお待ちいただいて、確認したほうが早いです。
過去にトロント乗り継ぎで、モントリオールまで行った添乗があります。
トロント空港の乗り継ぎゲートがかなり遠く、不安な気持ちになりました。
不安はお客さまにも伝わったはずです。
深夜到着便
お客さまも消耗しますが、添乗員もヘトヘトです。
「眠い、疲れている、気を使う」などからミスをしがちです。
気を抜かずホテルチェックインまで済ませます。
自分の部屋に入ったら、早めに寝ます。
第2日:ダマスカス市内観光のあと、一路パルミラへ
「添乗員は英語ペラペラでなくてもいい」と思っています。
現地日本語ガイドがいれば、なんとかなるからです。
ただし、日本語ガイドがいない場合は英語力が必要です。
英語ガイドの言葉を通訳して、お客さまに説明しなくてはなりません。
「ガイドなし+英語ドライバーのみ」はさらに気を使います。
英語を言葉だけでなく紙に書いて、指示することもあります(出発時間、集合時間など)。
徒歩散策の注意点は2つです。
- 後ろを振り返りつつ、先導する
- ガイドが先導する場合は、迷子を出さないように最後尾につく
添乗員は道しるべです。
服装(ドレスコード)は重要です。
サービスの提供が受けられない可能性があるからです。
- 観光
- レストラン
モスクや寺院を観光するときは、服装規制に注意です。
タイのエメラルド寺院はタンクトップ、半ズボン、サンダルなどは不可です。
確認して、事前に案内です。
第3日:パルミラ終日観光
現地では臨機応変に対応します。
決められた行程にこだわると、結局、全体の行程が狂うこともあります。
上記のように観光地の公開時間や、ショースケジュールの変更に合わせて、行程を変えることが大事。
注意ポイント
お客さまに理由を説明して、了解を得たうえで変更します。
現地ガイド、ドライバーにも了解を得ます。
失敗談
添乗員の勝手な判断で行程を変えてしまい、ドライバーの反感を買ったことがありました。
行程を変更するときは、お客さまと現地ガイド・ドライバーに許可をもらうことです。
第4日:パルミラからアレッポへ
観光地、レストラン、ホテルなどに到着したときに確認することは2つ。
- 喫煙の場所
- トイレの場所
よく聞かれる質問です。
観光地はただ見学すればいいわけではない
観光地の見学の仕方は考えなくてはなりません。
- 車窓見学
- 自由見学
- 現地ガイド付の見学
- 前半はガイド付の見学、後半は各自見学
以下も確認です。
- 見どころはどこか
- 最適な見学時間は
- バスは回送か、留め置きか
- 事前に配布できるMAPはあるか
観光ひとつでもやることは多いのです。
買い物について
できるだけ同じ店で買い物をするとメリットがあります。
- 値切りやすい
- 時間節約になる
メリットを説明するとお客さまの行動は変わります。
第5日:アレッポからダマスカスへ
ツアー中盤は「疲れ」と「旅慣れ」で、添乗員にもお客さまにもミスやトラブルが起こりがちです。
気の緩みがちな時こそ、基本動作でトラブルを予防します。
- 事前の確認
- 事前の案内
お客さまとコミュニケーションをとり、さりげなく体調を確認します。
「安全の確保」は添乗員の大事な仕事です。
添乗員の失敗談は「添乗員の失敗談:お客さまの積み残し3回【人数確認のコツは1人1人】」で解説しました。
第6日:ダマスカスから国境を越えてヨルダンのペトラへ
添乗で陸路の国境越えをしたことがありません。
体験談を読むだけで、雰囲気が伝わってきます。
国が変われば、通貨の案内をしなくてはなりません。
- 通貨の両替方法
- 前の国の通貨はどうすればいいか
事前にガイドに確認をしておきます。
添乗員はお客さまの食事中がチャンス
お客さまの食事時間に、ガイドと食事をしながら、次の行程の確認します。
のんびりと食事ができないこともあります。
特にホテルのチェックインや、チェックアウトの日はバタつきます。
やることは、徹底した事前確認の繰り返しです。
第7日:ペトラとワディ・ラムの観光
乗り物に変化があると、1日の密度が違います。
- 船
- 徒歩
- バス
- 飛行機
- ワゴン車
乗り物に乗せることも添乗員の大事な仕事。
- 乗り物に乗せる
- ホテルに泊まらせる
そのために確認や案内が必要ですが、一度身につけば国や場所が変わっても応用がききます。
第8日:ペトラからアンマンへ
明日は01:40ホテル出発です。
添乗員はほとんど眠る時間もないですが、踏ん張りどころ。
睡眠時間が取れないときは、ちょっと高めのリポビタンDです。
起床時に飲むと目が冴えて、やる気が出ます。
一時的ですが、意外と使えます。
第9日:アンマンからイスタンブールへ
ツアーは無事に終了です。
第12日:イスタンブールよりソウル、関西空港経由で帰国の途へ
帰りの飛行機でも気を抜かずに、確認と案内です。
なお添乗業務の本質については「添乗の基本業務のたったの2つだけ【数えること、確認すること】」にまとめています。
まとめ:海外添乗業務の実際を体験談から知ろう
実際に行った人の体験談は貴重です。
初めての国に行く際は、実際に行った人から聞くのが1番説得力があります。
「実際に行ったことがある」と言うと、お客さまの信頼を得られます。
「初めてです」と言うと、説得力がありません。
添乗の体験談がわかる3冊
以上です。
P.S. 体験談が1番強いですね。
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