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【出発前】国内添乗員の打ち合わせを解説【精算までしっかりやろう】

2020年9月10日

【出発前】国内添乗員の打ち合わせを解説【精算までしっかりやろう】
  • 国内添乗に行くことになり、旅行会社で出発前の打ち合わせをします。実際、何をするのか知っておきたい
  • 打ち合わせの体験談があれば教えて欲しい
  • ツアー帰着後の精算業務についてもざっくり知りたい

この記事はそんな方へ向けて書いています。

 この記事でわかること

  • 国内添乗員の打ち合わせ内容
  • 打ち合わせの体験談
  • ツアー帰着後の精算

 本記事の信頼性

  • 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、手配・営業・添乗
  • 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者

本記事を書いている私の添乗経験は、国内・海外問わず100本ほど。
一般団体・教育旅行・視察旅行の添乗を経験してきました。

本記事では、国内添乗員の出発前の打ち合わせについて網羅的に解説していきます。
この記事を読むことで、打ち合わせで何をするのか悩むことはなく、臨めます。

打ち合わせがツアーの成否を決めます。

【出発前】国内添乗員の打ち合わせを解説

添乗員の打ち合わせ

添乗員の出発前の打ち合わせの目的は「手配内容の引き継ぎ」です。

添乗員の仕事の流れ【打ち合わせ → 添乗 → 精算】

添乗員の仕事は、添乗だけではありません。

現地でスムーズに行程を進めるためにも、出発前の「打ち合わせ」が大事です。

 添乗員の仕事の流れ

  1. 出発の1ヶ月〜2週間くらい前に仕事が決定
  2. 出発日までに指定日に旅行会社に行き、打ち合わせ
  3. 出発当日は集合場所へ行き、添乗がスタート
  4. 添乗終了後は指定日に旅行会社に行き、精算・報告

打ち合わせ〜添乗〜精算の3つが、添乗員の仕事です。

 旅行会社との打ち合わせのタイミング

国内添乗は3日前〜前日くらい

添乗後の精算では、ツアーの良かったところや改善点、気づきなどを報告します。

打ち合わせの内容、確認事項、受け取る書類、所要時間、手当て

添乗が決まったら、添乗員は催行する旅行会社の担当者と打ち合わせを行います。

 打ち合わせ内容

  • 企画の意図
  • ツアーの目的
  • 最終日程表どおりの観光ができるか
  • 宿泊施設などの手配は終了しているか
  • 日程上の注意点

社員旅行などの受注型企画旅行なのか、一般募集した募集型企画旅行なのか確認します。

 打ち合わせ時の確認事項

  • 集合場所と集合時間
  • 土産店などの立ち寄り
  • 現金払いの場所、料金、支払い方法、予約の有無
  • 入場、見学、記念写真の場所と支払い方法や予約の有無
  • 利用交通機関、宿泊施設、食事、観光施設の連絡先と料金やクーポンに記載されている人数・内容

 受け取る書類

  • 指示書
  • 募集パンフレット
  • 最終日程表
  • 参加者名簿
  • 携行金
  • クーポン類(JRなどの乗車券、航空券、宿泊・食事などのクーポン、旅館の部屋割表、バス座席表、バッジ、アンケート用紙、添乗報告書など)

指示書は重要書類です。

パンフレットや日程表にはない「説明や注意事項、ツアーのポイント」が書いてあるからです。
まずは指示書を精読するところから始まります。

「指示書、募集パンフレット、最終日程表」の3つを照らし合わせ、異なる場合は担当者に確認します。

疑問点、不明点はここでクリアにしておきたいものです。

参加者名簿も重要です。

  • 人数確認に必須
  • お客さまの名前を覚えるのに重宝
  • お客さまごとの要望も書いてある

キャンセル、途中乗車、途中下車、離団などでいつでも変わるのが人数です。
参加形態(夫婦、家族、友人)などを読み取り、どんな旅行にしていくかイメージすることも大事です。

なお募集パンフレットは契約書面です。
忘れがちなので注意です。

クーポンは使用する順にセットしておくとスムーズです。

打ち合わせの所要時間、手当ては?

打ち合わせの所要時間は、約2時間です。

打ち合わせ手当ては、だいたい2,000円です(派遣会社による)。

上記には、下調べや必要機関への確認の時間は含まれません。

打ち合わせ以外には手当ては無いのです

打ち合わせ後にやること3つ

  1. 運輸機関などへの手配確認
  2. 宿泊・食事・観光施設などへの手配確認
  3. お客さまへの挨拶コール(ツアーによる)

1.運輸機関などへの確認

✔︎ 列車の場合

引受書と照らし合わせます。

  • 乗車月日
  • 列車名、発着時刻、区間、番線
  • 座席、座席番号、禁煙・喫煙
  • 乗り換えの乗継時間、接続列車の番線、乗車位置

途中乗車、途中下車を希望する旅行者の有無も確認します。

座席については、できるだけグループ単位で座れるように配慮します。
とはいえ「並んで座れない」などで全員が納得できる座席割が難しいときもあります。

その場合は、復路や別の箇所で配慮するなど工夫が必要です。

✔︎ 飛行機の場合

団体航空引換証に記載されている内容を確認します。

  • 搭乗月日
  • 便名、区間、発着時刻
  • 人数

国内旅行では事前に座席割はできません。
当日、受け取ったシートチャートと搭乗券をもとに公平に座席割をします。

お客さまの希望が通らない場合もあるので、理解してもらうことも重要です。

✔︎ 貸切バスの場合

  • 配車場所、配車時刻
  • 車庫電話、ドライバー携帯
  • 車種、定員、車内設備
  • 団体名のバスステッカーの表示
  • バス会社への日程表
  • バスガイドの出迎えの依頼(現地バス)
  • 乗務員の寸志、宿泊手配と精算方法
  • 後部座席サロンにできるか(社員旅行など)

バスの座席割については、受注型企画旅行(社員旅行など)と募集型企画旅行で異なります。

受注型の場合は、幹事さまが決めることです。
ただほとんどの場合は自由席になるはず。
私は過去に受注型で事前座席指定になったツアーは1本もありません。

募集型の場合は、色々な方法があります。

  • 申し込みを受け付けた順番に指定する
  • 当日早く受け付けた順番に指定する
  • 車内をエリア分割(A、B、Cなど)して、今日は前からA、B、C、明日は前からB、C、Aなどに順番を変える

同じ座席だと不公平感が出て、不満が出ます。

お客さまに協力をもらいながら、臨機応変に対応します。

✔︎ 船の場合

  • 乗船月日、乗船区間、料金
  • 乗船時刻、受付は何分前か
  • 乗船名簿の提出が必要かどうか
  • 船名、等級、定員、トン数、レストランの有無

2.宿泊・食事・観光施設などへの確認

✔︎ 宿泊施設の場合

ホテルは重要です。
1日のうちの多くをホテルで過ごすからです。

たとえば、旅館に16時到着・翌日9時出発ならば17時間の滞在です。
1日24時間の70%をホテルで過ごす計算なのです。

ホテルの印象がツアーの成否を決めます。

確認事項は以下です。

  • 募集パンフレットで約束した内容
  • 部屋のグレードに差がないか(部屋からの眺望など)
  • 宿泊料金と宿泊人数(男女別)
  • 旅館到着の約束の時間
  • カギの受け渡し方法(フロント渡し、部屋置き)
  • お風呂の場所・時間
  • 備品(タオル、歯ブラシ、浴衣など)の有無
  • 夕食の場所・時間、料理内容、アトラクション(太鼓ショーなど)の手配の有無
  • カラオケの有無と料金、カラオケBOXの有無
  • 部屋食の時間、レストランシアターであれば開演時間
  • 館内での催し物(ロビーで餅つきショーなど)
  • 二次会の手配の有無
  • 館内の食事処や売店の営業時間
  • 周辺の買い物場所、食事処、スナック事情
  • 夕日や日の出が見える場所であれば時刻
  • 朝食の場所・時間、料理内容

旅館・ホテルの部屋割は重要です。

できるだけ同じ条件の部屋を用意するのがベスト。
お客さまの構成も考えたうえで部屋割を決めます。

✔︎ 食事施設の場合

  • 到着予定時刻とバス会社
  • 人数(お客さま+乗務員+ガイド+添乗員)
  • 料金と料理内容(出し方)
  • 飲み物の種類、料金
  • 座席スタイル(テーブル、座敷、何階か、など)
  • バスなどで複数台の場合の号車別人数、座席割
  • 売店の有無
  • 当日、再度連絡するタイミング

✔︎ 弁当の場合

  • 料金、内容、個数
  • 飲み物などの有無
  • 積み込み場所、時間(列車のときは列車名、号車、座席番号、停車時間など)
  • 当日の連絡先

✔︎ 観光施設の場合

  • 到着予定時刻、バス会社
  • 人数
  • 案内人の有無
  • 入場時間、閉館時間、休館日
  • おすすめの見学の仕方
  • 売店の有無

3.お客さまへの挨拶コール(ツアーによる)

募集型国内ツアーのほとんどは挨拶コールはありません。
ただし、高品質なツアーでは、出発前の挨拶コールが条件になっているツアーもあります。

詳しくは下記記事で解説しています。
»【添乗員の挨拶コール】お客さまへ伝える2つのこと【例文と想定質問】

打ち合わせで気づいたこと【2つの失敗談】

添乗員の打ち合わせ

旅行会社の営業マンの経験から解説します。
想定シーンは、旅行会社の営業マンが上司から添乗を引き継ぐときの打ち合わせです。

結論、打ち合わせは早めにしておく

打ち合わせは早めにするのが正解です。

もちろん、派遣添乗員の打ち合わせ日時は旅行会社が決めるので、前倒しできません。
ゆえに派遣添乗員の場合は「慣れと工夫」で時間短縮していくしかないです。

旅行会社の営業マンが上司から添乗を引き継ぐとき、出発前日の打ち合わせは避けましょう。
営業マンは打ち合わせ以外にも他の仕事を抱えているからです。

忙しいのを理由に、打ち合わせを出発前日まで延ばすことは自殺行為。

具体的には次のエピソードをご参考ください。

【失敗談その①】社内添乗の引き継ぎ

旅行会社の営業マンである私のエピソードです。

先輩のお客さまを引き継いで、添乗する機会がありました。
早い段階で打ち合わせをしたかったのですが、先輩も私も日中は「営業と手配」でてんやわんや。

毎日の残業で打ち合わせを先延ばしにして、気づいたら出発前日を迎えてしまったのです。

出発前日になっても日中は忙しく、打ち合わせは終業後の残業の時間帯です。
この日はいろんな仕事が押して、打ち合わせを開始したのは20時からになったのです。

最悪です。

行程表を見ながら説明を聞き、不明点を確認しました。
手配内容は先輩が確認済みだったので、再確認は不要です。

しかしまだまだやることがありました。

  • 社名の入ったバスステッカーの作成
  • ざっくりした行程の所要時間を確認
  • 保険名簿の作成し、保険証券の発行
  • 最終行程表をお客さまの人数分印刷
  • 宿泊旅館の部屋割表の作成、印刷

バスステッカーは用意しなくてもバス会社が作成しています。
ただうちの会社の名前が入っていないので変えたいのです。

部屋割表(エクセルデータ)にお客さまの名前は入っていましたが、旅館の情報が入っていません。
風呂の時間、朝食の時間、夕食の時間、場所などを調べて、わからないところは電話で確認。
エクセルに記入して、体裁を整えて人数分を印刷します。

他にもなんだかんだ、不備が見つかりやることが増えていきます。

結局終電で、自宅に戻っても確認、確認、確認、寝たのは01:30過ぎです。
翌日、出発地に07:30には到着する必要があるので、朝5時起きの自宅6時出発。
地獄絵図です。

旅行会社の営業マン時代は、他の仕事もやりながら添乗準備をしなければならないので辛いです。
慣れないうちは睡眠不足の添乗ばかりでした。

【失敗談その②】沖縄添乗を添乗員派遣会社に依頼

私が在籍している旅行会社が、添乗員派遣会社に添乗員を依頼して、打ち合わせをした経験があります。

大型バス5台使う社員旅行で、行き先は沖縄本島3泊4日。
添乗員は自社の営業マン4名、派遣社員6名で計10名ほど。
打ち合わせは上司含めて12名で、2時間ほど要しました。

結論、打ち合わせではあらゆる質問に答えられるようにしておくべきです。

理由は、出発日が近づいてくるとどんどん忙しくなるからです。

打ち合わせでは派遣添乗員さんからは質問の嵐でした。
営業担当者は即答できずほとんどが後日回答の約束に。
結局、時間が足りずほとんどが当日回答になりました。

質問に答えられないと、派遣添乗員さんからの信頼を得られません。
後日回答にしても、できるだけ早く回答、共有すべきでした。

旅行終了後に添乗員のやること【3つ】

添乗員の打ち合わせ

 旅行終了後に添乗員がやること3つ

  1. 帰着報告
  2. 添乗報告
  3. 精算業務

添乗業務は、上記3つが終了してから完了です。

1.帰着報告

お客さま解散後、旅行会社の事前指示に従い、担当者へツアー終了を連絡します。

 具体的な方法

  • 担当者へ電話などで連絡する
  • 担当部署へ出向いて報告する
  • 担当者の自宅などに報告する

すぐに対応すべきことは、ここで報告するのが重要です。

また、帰着時間が深夜の場合でも、旅行中のクレームやトラブルにより、担当者に電話連絡しておかなければならないこともあります。

後日、指定された日に旅行会社へ報告します。
後述する添乗報告書の提出のほか、携行品の返納、添乗携行金の精算などを行います。

ほとんどの旅行会社は「報告期限」と「報告書面」があります。

2.添乗報告

添乗報告書を作成して、提出します。

添乗の反省点、ホテルや食事場所・観光施設の現地情報、ドライバーから仕入れた情報など、今後のツアーを企画するうえで役立つ情報を担当者に報告します。

 報告事項

  • 実際の行程、人数、客室数
  • 予定からの変更部分と理由
  • 事故・トラブルがあった場合の詳細および今後対処が必要なこと
  • 貸切バス・宿泊施設・食事施設などの評価
  • オプションの内容
  • お客さまの印象
  • お客さまからの評価や指摘事項

事故・トラブルやお客さまのクレームから直ちに対応すべきことは、添乗の途中や終了直後に報告します。

添乗報告書は他の添乗員にも役立ちます。

3.精算業務

精算書を作成し、携行金を返納します。

 提出するもの

  • 今後のツアーに向けての情報・資料
  • 回収アンケート
  • 未使用のクーポン類や確認書
  • 携行金収支明細書、携行金の残金
  • 関係機関から受領した領収証、減員証明書など

添乗中はバタバタして領収証がぐちゃぐちゃになったり、お金を自分の財布と一緒にして訳がわからなくなったりしがちです。

お金が合わないと信用を失います。

1円も間違えることは許されませんので、きっちり管理します。

精算の所要時間、手当ては?

精算は所要時間は、約2時間です。
精算手当ては、だいたい2,500円です(派遣会社による)。

添乗報告書、精算書を添乗中に仕上げるのはかなり難しいです。
帰宅後に自宅で書くことになりますが、残業代は支払われません。

添乗中の夜や、帰りの移動中などで大枠は済ませておくことです。
間違いも減り、後がラクです。

まとめ:添乗員の打ち合わせで、ツアーの土台を固めよう

添乗員の打ち合わせ

添乗出発前の「準備」が、添乗の成否を決めます。

「打ち合わせ」は準備のひとつです。
ツアーの成否は、準備で8割がた、決まります。

準備がすべてなのです。

時間をかけた念入りな準備が、添乗をスムーズにさせます。

なお添乗業務の本質については「添乗の基本業務のたったの2つだけ【数えること、確認すること】」にまとめています。

以上です。

P.S. 徹底した準備が、トラブルの少ないツアーの条件なのです。

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