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添乗員とはどんな職業なのか、10の質問に回答【究極の添乗員とは】

2020年8月8日

添乗員とはどんな職業なのか【目指す人の10の質問に答えました】
  • 添乗員とはどんな職業だろう?ちょっと興味あるから、仕事内容をざっくり知りたい
  • 添乗員になるにはどうすればいいのかな?必要な資格や語学力とか、給料など網羅的に知りたい

この記事はそんな方へ向けて書いています。

 この記事でわかること

  • 添乗員とはどんな職業なのか、仕事内容
  • 究極の添乗員とは
  • 添乗員を目指す人の10の質問&回答

 本記事の信頼性

  • 旅行会社の営業マンとして19年8ヶ月、法人営業・出張手配・添乗
  • 添乗回数(社員旅行や視察旅行)は、国内・海外問わず100本
  • 他社と差別化するために、添乗前には自腹で下見に行きました

本記事では現役の旅行会社社員が「添乗員とはどんな職業なのか」を解説します。
この記事を読むことで、添乗員という職業がわかります。

添乗員になりたかった過去の自分に向けて書いていきます。

なお添乗業務の本質は「添乗の基本業務のたったの2つだけ【数えること、確認すること】」にまとめています。

添乗員とはどんな職業なのか【究極のサービス業】

添乗員とはどんな職業なのか【結論:究極のサービス業】

添乗員とは究極のサービス業です。

究極のサービス業の理由:接客時間の長さ

お客さまと一緒にいる時間が長いです。

たとえば、海外添乗の場合、長いツアーだと7泊9日などがあります。

9日間もお客さまと一緒に過ごし、寝食をともにするのです。
こんなサービス業は他にはありません。

ツアー中は行程を円滑に進め、安全を確保し、楽しい旅を演出する。
添乗員の全人格が問われる仕事なのです。

読んできた本、出会ってきた人、努力してきたことが滲み出ます。
隠しても隠せるものではありません。

厳しくもやりがいのある仕事です。

人間性が問われるからです。

添乗員とは

添乗員とはツアーに同行して、お客さまの旅行が安全で円滑に進むようお世話をする仕事です。

要するに「旅行の幹事」です。

旅行業法第12条の11では、以下です。

企画旅行に参加する旅行者に同行して、国土交通省令で定める措置を講ずるために必要な業務を行う者として旅行業者に選任される者。

添乗員の仕事は2つだけ

  1. 旅程管理
  2. 安全確保

1.旅程管理

添乗員の最重要な仕事です。

旅行会社が企画・販売するパッケージツアーや団体旅行に同行して、行程を円滑に進めます。
行程をスムーズにするために、交通機関やホテル、各施設などの各種手続きと対応・調整をします。

旅程管理とは

旅行業法で定められた企画旅行の義務の1つが「旅程管理」です。
旅行業法第12条の10では、以下のように定めています。

旅行業者は、企画旅行を実施する場合、旅行者に対する運送等サービスの確実な提供、旅行に関する計画の変更を必要とする事由が生じた場合における代替サービスの手配その他の当該企画旅行の円滑な実施を確保するため国土交通省令で定める措置を講じなければならない。

上記の文中にある、旅行業法施行規則第32条で定める措置は4つです。

  1. 旅行に関する計画に定めるサービスの旅行者への確実な提供を確保するために旅行の開始前に必要な予約その他の措置
  2. 旅行地で旅行に関する計画に定めるサービスの提供を受けるために必要な手続の実施その他の措置
  3. 旅行に関する計画に定めるサービスの内容の変更を必要とする事由が生じた場合における代替サービスの手配及び当該サービスの提供を受けるために必要な手続の実施その他の措置
  4. 旅行に関する計画における2人以上の旅行者が同一の日程により行動することを要する区間における円滑な旅行の実施を確保するために必要な集合時刻、集合場所その他の事項に関する指示

4つの措置を抽象化します。

  1. 徹底した準備、事前・途中での確認の実施
  2. 確実にサービスを受けるための業務遂行
  3. トラブルを未然に防ぐ準備、トラブル発生の対処
  4. ツアーを円滑に進めるために、お客さまへの適切な案内

2.安全確保

もうひとつ大事なのが安全の確保。

安全を確保するために、事前に「注意事項」をお伝えしてトラブルを予防します。
交通機関の遅延や欠航、ホテルのオーバーブッキングなどのトラブルがあれば対応します。

安全あってこそ楽しい旅行なので、安全確保は大事な仕事です。

以上の2つ「行程管理」と「安全確保」があってこそ、楽しい旅行が成り立ちます。

そのうえで大事なスパイスが「楽しい旅の演出」です。

旅行を楽しんでもらえるよう工夫をして、ツアーを思い出に残るものにするのです。
ただし、あくまで行程管理と安全確保があってこそです。

詳しくは「添乗員の仕事内容は2つだけです【旅程を管理する/安全を確保する】 」で解説しています。

添乗員と旅行会社との関係とは

大きく分けて2つです。

  1. 添乗員派遣会社に雇用され、旅行会社との契約により派遣されて添乗をする
  2. 旅行会社に直接雇用され、添乗をする

1.添乗員派遣会社の添乗員

添乗を専門にする人です。

添乗員派遣会社と旅行会社間で契約を結びます。
旅行会社や営業所から派遣会社へ要請が来ます。
どの旅行会社や営業所に派遣されるかは、その都度決まります。
旅行会社から指名されることもあり、派遣会社が適性を考えて決めることもあります。

毎回、異なるツアーを添乗することが多いので、その都度旅行会社との打ち合わせが必要です。
»【添乗員必読】出発前の打ち合わせの確認ポイントまとめ【国内/海外】

2.旅行会社の添乗員

2通りです。

  1. 旅行会社に所属する選任ツアーコンダクター
  2. 他の業務を行いながら、添乗業務もする人

後者は2つに分かれます。

  • 法人営業担当者で、企業、学校、自治体などのツアーに添乗する人
  • 内勤担当者(手配、カウンター、総務など)で、営業担当者からの要請で添乗する人

③ 受注型企画旅行に添乗する添乗員

添乗員の業務は、ツアーの仕上げという重要な仕事です。

受注型企画旅行(社員旅行、視察旅行、報奨旅行など)の添乗は、営業担当者が添乗したり、添乗員派遣会社に依頼したり、さまざま。
BtoBなので、失敗すると以下の影響があります。

  • 営業努力が水の泡になる
  • 営業活動が困難になる

逆にお客さまから高い評価を受ければ、以下の好影響が望めます。

  • 次のツアーの受注
  • 他のお客さまの紹介

私は法人営業一筋だったので、よくわかります。

④ 募集型企画旅行に添乗する添乗員

募集型企画旅行は、旅行会社が不特定多数のお客さまにメディアやパンフレットなどで宣伝し、募集するツアーです。

BtoCなので、失敗すると以下の影響があります。

旅行会社へのクレームとなり、マスコミやSNSで大問題になる可能性がある

逆にお客さまから高い評価を受ければ、以下の好影響が望めます。

  • 次のツアーにリピートしてくれる
  • 紹介や口コミで広めてくれる

余談

添乗員のほとんどは女性です。
添乗員の9割は添乗員派遣会社の所属で「内訳は女性が75%、男性が25%」です。
旅行会社に所属している
添乗員は、経験上、男性の割合が多いです(営業マンは男性が多いため)。
なおバスガイドの99.9%は女性です。
»【解決】添乗員のいる意味、必要性とは【バスガイドとの5つの違い】

添乗員の仕事内容とは【例:海外添乗の流れ】

「添乗員派遣会社の添乗員」の海外添乗を例に解説します。
添乗業務の大まかな流れは以下です。

1.仕事の依頼

メールや電話で所属している添乗員派遣会社から連絡がきます。

2.打ち合わせの準備

行程を読んで、調べます。

3.打ち合わせと確認

ツアー内容の確認など、細かく打ち合わせます。
旅行会社の担当、現地ランドオペレーター、添乗員の3者で打ち合わせすることも。

4.旅行会社により参加者全員に電話

  • 挨拶
  • 質問や不安なことを聞く
  • 不明点の確認をする

5.出発前の準備

  • 調べたものをノートにまとめる
  • 図書館で資料をコピーする
  • 現地で流すご当地音楽の調達

6.出発当日

お客さまを空港でお迎えします。
スーツで最初の印象を大事にします。

機内に入るまで気が抜けません。

 集合後

  • そのまま個別に機内に乗り込む
    または
  • ロビーで再集合して、挨拶する

7.搭乗中の機内

現地のスケジュールや観光地のおさらい、お客さまの特徴を頭に叩きこみます。

8.現地到着

入国審査 → スーツケース受け取り → 税関と進みます。

ホテルまでの移動中のバスで、挨拶をして、注意事項を案内します。

 ホテル到着後

  • チェックイン
  • ルームキーを配る
  • 部屋の説明や朝食、今後のスケジュールなど
  • 注意事項の案内

次に2日目以降の観光などです。

9.出発前

事前にガイド、ドライバーと打ち合わせをします。

お互いのスケジュールが合っているか、行程を再確認します。

安全の確保です。

10.バス移動

次の観光地の説明をしたり、音楽を流したり。

11.観光地

ガイドにまかせます。
添乗員はサポートです。

  • 時間の管理
  • 写真を撮ってあげる
  • バスの乗り降りのたびに人数確認

12.食事

  • 朝食 → お客さまより先に名物やおすすめを確認、誘導
  • 昼食 → お客さまと一緒に食事をすることも
  • 夕食 → 夕食なしの場合はホテル周辺レストランをチェックして案内

13.その他

  • 誕生日や記念日の人にケーキやプレゼントの用意
  • 病人が出たら病院や休めるところの手配

緊急時はメールやFAX、携帯で日本に連絡します。

14.夕食後

お客さまの要望に対応します。

トラブルなど急な呼び出しもありますので、22時まではシャワーを控えることも。

15.日報や精算

  • 日報(会社へ)
  • 旅日記(お客さまへ)
  • 精算用の計算をする

旅日記は添乗員が書くお客さま用のものです。
人気があるので実行している旅行会社もあります。

16.帰国

空港へ向かうバス車中です。

  • お別れの挨拶
  • 最後の注意事項
  • 荷物の最終チェック

空港では免税品の手続き、アンケート回収をします。

アンケートはできるだけ回収して次のツアーのヒントにします。

17.後日の会社訪問

  • 日報
  • 精算
  • アンケートの提出

会社によりお客さまや代理店にお礼の電話や、団長、営業担当と後日主催者にお礼訪問などもあります。

以上です。

より詳しい内容は、国内、海外のそれぞれのマニュアルでわかります。

究極の添乗員とは【最高峰になるためのポイント2つ】

究極の添乗員とは【最高峰になるための2つのポイント】

次の2つです。

  1. 自分の名前でツアーの集客ができる
  2. その人ならではの得意分野を持っている

1.自分の名前でツアーの集客ができる

究極の添乗員の中には、自分の名前をツアー名につけられる人がいます。

一般募集のツアーでは、どういう添乗員が同行するのかわかりません。
たとえば「フランス周遊10日間」という様に、訪問国や期間がツアー名に記載されるのが一般的で添乗員の名前は掲載されないものです。
パンフレットを見て、フランス各地を10日間の日程で旅行したいと思うお客さまが、代金や行き先に納得したうえで申し込みをします。

究極の添乗員は、なぜ自分の名前をツアー名に表示できるのか

旅行の内容と同じく、添乗員と一緒に旅行することに魅力を感じるお客さまがいるからです。

究極の添乗員も初めからこうしたお客さまを獲得できた訳ではありません。
最初は新人です。

添乗員として長い間、地道に添乗員を重ね、多くのお客さまと接するうちに下記の多くの声が出てきたのです。

「この人とならどんな国に行っても安心で楽しい旅行ができる」
「また一緒に旅行をしたい」
「一緒に旅行すると勉強になる」

自然とお客さまを獲得していったのです。
お客さまを得るのに近道はありません。

基本に忠実に、まっすぐ誠意を持って、継続してきた結果です。

 体験談

法人営業の世界でも、自分を添乗員に指名してくれると嬉しいものです。
私はツアー名に自分の名前をつけられるレベルではありませんが、指名はありました。
添乗の励みになるものです。

究極の添乗員は自分なりの個性がある

そうはいっても、それぞれ自分なりの個性を持っている人が多いようです。

たとえば次のとおり

  • ニーズを察知するサービス精神旺盛な人
  • 明るく誰にも平等・公平なムードメーカー
  • 世界の秘境・僻地でも頼りがいのある人

個性を理解してくださるお客さまをたくさん獲得できれば、添乗員冥利に尽きます。
場合により、お客さまから直接リクエストを受け、旅行の企画を立て、旅行会社に費用の見積もりを出してもらうこともできます。

ここまでくれば添乗員というより、ツアーコーディネーターです。

新たなる仕事の幅が広がる可能性を秘めています。
ファンがいる限り、仕事も無くなりません。

旅行会社にも、集客力のある添乗員は貴重です。
信頼が仕事につながり、収入面でも楽です。

2.その人ならではの得意分野を持っている

添乗員付きの募集型企画旅行(パッケージツアー)は多様化していきます。
観光地めぐりだけでは満足しないお客さまも増え、海外旅行の目的やニーズも広がっていきます。

お客さまの希望を叶える付加価値の高いパッケージツアーは、希少価値があります。
特殊で専門的なツアーには、専門知識が豊富な添乗員しか添乗できません。

具体例

  • 流通視察の専門知識が豊富で解説もできる添乗員
  • イタリアのルネッサンス文化に精通し、イタリア語も話せる添乗員
  • フラメンコを習得していて、何度もスペインの学校に足を運んでいる添乗員
  • サブ3達成しているフルマラソン応援の添乗員

専門知識や経験をツアーに活かせる添乗員は、お客さまからの評判も良く、旅行会社からの評価も高いです。
お客さまの印象に残れば、口コミで広がり、専門の添乗には「ぜひ○○さんへお願いしたい」となり、ツアー名に「自分の名前」が加わる可能性も出てきます。

得意分野の勉強も有効

最初は趣味や興味で始めた得意分野への傾倒や勉強も、究極の添乗員になるには有効です。
どんな場合でも事前勉強が必要ですが、それだけにとどまらず、興味ある分野は積極的に勉強すべきです。

添乗員は働きながら、勉強もできる仕事

  • 旅行シーズンオフには、まとまった休みが取れる
  • 添乗でたまったマイルを使って、無料で海外へ行ける

現地での勉強が無理なく、安上がりにできるのです。
究極の添乗員への道は、やる気と努力さえあれば開けます。

究極の添乗員3名

究極の添乗員

ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤーとは

旅程管理・安全確保だけでなく、価旅の演出家として顧客満足を高めるために努力と研鑽を重ねているツアーコンダクターを表彰する制度です。
グランプリ受賞者には国土交通大臣賞が授与され、準グランプリには観光庁長官賞が授与されています。
» ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー(日本添乗サービス協会)

なおツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤーの表彰推薦要件は10個です。

  1. 添乗中に参加客及びその他の生命に関する危機を防止
  2. 添乗中に拘らず、人命救助、奉仕活動、善行等高評価を受けた
  3. 卓抜なアイデア・知識により旅行会社の集客に多大に貢献
  4. 添乗中に勃発した非常事態に顕著な動きにより事態の拡大回避
  5. 特定分野に抜群の才能、技量を有し添乗サービスに多大な成果
  6. 旅行会社及び旅行客から評価高く、年間添乗日数が自社の平均を超える
  7. 自署出版物発行、マスコミへの登場、職業の魅力付けに貢献
  8. 旅行会社又は旅行客より優秀な添乗員として推選
  9. 社会的話題性を提供してツアーコンダクターという職業の魅力づけに貢献
  10. ツアーコンダクターの鑑として表彰に値する行為を行った

ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー受賞者から2名様、独断で1名様を紹介します(順不同)。

  • 村尾 まき子 様
  • 原 好正 様
  • 梁瀬 昌宏 様

1.村尾 まき子 様

2018年のツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤーのグランプリ受賞者です。

  • 添乗歴13年、海外添乗2,000日のベテラン添乗員
  • 過去に長野県内の観光案内所所長を10年間務めた
  • 英語・フランス語・イタリア語を駆使し、年間添乗のほとんどを富裕層をターゲットとした高額商品を中心に添乗
  • アンケート評価もトップクラスで、旅程管理・ホスピタリティ・語学などもお客さまの期待を上回るレベル
  • 2017年には蓄積した経験や知識を活かして社会貢献をしたいと考え「フードツーリズムマイスター」取得
  • 日本フードツーリズム協会の研修講師として、豊富な添乗経験と「博学多識」を活かした講義は人気
  • 所属会社内でも「食」「文化」「建築」「美術」などのテーマ別講師もこなし、添乗業務だけでなく後進の育成、職業の魅力付けに貢献

インタビュー記事を以下に要約します。

2018年のツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤーではグランプリの国土交通大臣賞を受賞。
村尾さんはルックJTB専属添乗員で「添乗員は男性がほとんどだった」という時代に入社し40年。
途中に10年添乗員を離れ、別の仕事に就いたこともある。
子育てや両親の介護をこなしながら仕事を続け、40歳半ばで現場復帰。
「3ツ星の添乗員をめざしたい」と話す村尾さんに「人に寄り添う添乗力」についてお話をうかがった。

-添乗員を志された理由をお聞かせください

村尾まき子さん(以下、敬称略)実家が旅館を経営していたので自然と接客サービスを見て育ってきましたが、添乗員になろうとは思ってもいませんでした。
フランスのグルノーブルの留学から帰国して、別会社で仕事をしていたとき、ルックJTBに女性添乗員もいると知って驚きました。
当時、添乗員は男性の仕事だと思っていましたから。
単純に「添乗員になれば、好きなスキーもできるかな」という程度でJTBに入社しました。

最低3年は続けようと決めました。入社して1年半のとき、2週間の「フランス紀行」というツアーに添乗したのですが、リヨンにある当時新進気鋭のシェフだったポール・ボキューズ氏のレストランでメニューを見たとき、ショックを受けました。
それはまるで詩のようで、たとえばプレフィックスメニューのひとつは『黒真珠を散りばめたオペラ座前の回転木馬』という具合。

材料や産地がメニューに書いてあるわけではなく、想像しないとわからないものばかり。
「もっと知ることがいっぱいある」と痛感し「3ツ星の添乗員をめざす」と決めました。
振り返るとこのときの経験が添乗員人生で大きな出来事でした。
あとでお客さまから「黒真珠はキャビアのこと」と教えていただきました。
当時のルックJTBのお客さまはよくご存知で、教えられることも多かったです。

-添乗されるデスティネーションや客層を教えてください

村尾 ヨーロッパがメインで、なかでもビジネス・ファーストクラスを利用する「夢の休日」での添乗が多いです。
お客さまにはお医者様が多く、年4回ご一緒するお客さまもいます。
お客さまのワインや食事の好みまでわかっていますが、望むことを表立っておっしゃらないので、いまだに難しさを感じます。

最近ではこちらから希望して学生旅行商品「ガクタビ」やメディア商品の添乗もしています。
「夢の休日」の参加者は6〜7人でお客さまごとの対応になってきますが「ガクタビ」などは人数が多いので「自分の添乗はどこまで通用するのか」という思いで始めました。

「ガクタビ」ではお客さまに教えられることもたくさんあります。
1月の学生は就職が決まっている学生が多く、どこか落ち着いていますが、やっと決まった学生が多い3月のツアーはトラブルも多いです。
「パスポートをなくした」「お腹を壊した」などなど。
どこかかわいいく思うところもあります。
「しっかりしなさい」と。
学生からは「ママ」と呼ばれています。

子どもたちは、ものを欲しがらない、知りたがらない。
コミュニケーションの仕方が昔と違う。
こちらからいろいろと提案する必要があります。
「ガクタビ」のツアーに添乗していると、私の中でいろいろなケーススタディが増えていきます。
さまざまなお客さまに対応したいという思いがありますので良い経験です。

-添乗中に気をつけていること、お客さまに喜んでもらうための工夫などについてお聞かせください

村尾 ツアー集合場所の成田や羽田でお客さまとお会いした時点で、全員のお名前は覚えておくことが最低限のマナーです。
これができなくなったら、添乗員を辞めようと思っています。
「お名前とお顔」を覚えたら、ツアーは8割がた成功です。

呼び方にも気をつけており「様」ではなく「さん」とお呼びし、距離感を大切にしています。
ツアー中で最も大切なことは「お客さまに寄り添うこと」です。

-お客さまに寄り添うために意識していることはありますか

村尾 まずお客さまが何をしたいかを把握することです。
思い出は形にならないものなので、希望をすべて消化して帰ってほしいと思っています。
たとえば食事。
スペインのサン・セバスチャンのツアーで25種類の料理が出てくるコースがあり、食べ終わるまで3時間半かかったことがありましたが「どれひとつおいしくない、時間を返してくれ」と言われたことがあります。
おいしいものを探している方は星付きレストランではない。

一方で星付きレストランを巡ることに価値を置いている方もいらっしゃる。
何度もご一緒すると値段ではなく、その方の好みがわかってきます。
細かいところ、ひとつひとつをチェックして、引き出しに入れています。

提案の仕方にも気を使っています。
「でも」「しかし」という言葉を添乗中は使わないようにして、まずは話を聞いたうえで「こういうものもありますが、いかがですか」と提案しています。

若い添乗員は「こんなにやっているのに」と言いますがその人の勝手なこと。
私もそうでしたが、感情にコントロールされないようにして、冷静な判断が大切です。
評価ウエイトはお客さまが100で添乗員は0。
お客さまが望んでいることに、心体頭を動かしながら応えていくことです。
添乗力とは「人に寄り添う力」です。
いまだに「寄り添えなかった」と思うときがあります。

-一度添乗員から離れて、上田市の観光協会や酒造の観光部で働いていますね

村尾 
36歳のとき添乗日数2000日で添乗員を一旦やめました。両親の介護など家庭の事情もありました。
ちょうど長野新幹線が上田市に開通するタイミングで、上田駅の観光案内所に誘われ、所長として3年間務めました。
その後、主人の親戚が営む酒井銘醸で観光部長となり、7年間務めました。
17人のスタッフにうまく動いてもらうよう色々工夫した経験が、添乗員の仕事に活きています。

添乗員をやめるときですが、私の後輩が人柄だけでツアーをうまくコントロールしているのを見て「完敗した」と感じたんです。
13年間の添乗でそれなりに自信はあったのですが「私の知識や経験は必要ないものなのか」と。
でも「3ツ星添乗員をめざす」と目標を達成しないまま辞めてしまったので、後悔が募ってきました。
子どもから手が離れたとき、添乗員への復帰を決めました。
40年間淡々と添乗員を続けていたら、今とは違っていたかもしれません。

-添乗業務の魅力とは何ですか

村尾 「毎回違う」です。
同じ場所に行っても違うツアーになる。
旅は人なんです。
特に「夢の休日」は高額ツアーなので添乗員の役割は大きいです。

添乗員付きのパッケージツアーは減っていますが、ターゲットがはっきりしているものや添乗員付きの個人旅行など特別感のあるものは需要がある気がします。たとえば、飛鳥IIの世界一周クルーズのお客さまでクルーズ途中に18日間、イタリアからスペイン、米国を旅行し、ニューヨークで再度飛鳥IIに乗船するケースがあり、ランド部分の添乗を担当したこともあります。

-パッケージツアーの改善点を含めて、旅行会社に望むことはありますか

村尾 昔はツアーの造成と販売が一緒だったので、お客さまの声が造成側に直に見えるものがありました。
それぞれに専門化されると、遮断されている気がします。

JTBの組織改編のなかで、製販一体に取り組むので期待感はあります。
造成や販売については、似たターゲットは1本化したほうがいいのではないですか。

パッケージ需要は減少していますが、コアのものを造れば残ります。
たとえば、イタリアのチンクエテッレは海からの景観が美しいですが、ルックJTBは電車を利用するツアーでした。
そこで私が添乗したツアーでは、参加者17人に船での移動を提案しました。
電車の利用を権利放棄して船賃10ユーロ払っていただくことに、全員の同意を得て実施しましたが、皆さんに喜んでいただきました。
添乗員冥利に尽きましたね。

-最後に、抱負をお聞かせください

村尾 フードツーリズムマイスターやソムリエの資格を持っていますが、海外旅行だけでなくインバウンドで活かせるのではないかと思っています。
海外添乗の合間に訪日客向けの「サンライズツアー」で送迎のお手伝いをさせていただいていますが、地方の地産地消のレストランなども訪日客に提案できる機会があればと考えています。

究極の添乗員です。
多彩な語学力だけでなく、フードツーリズムマイスター、ソムリエの資格まで兼ね備えています。
40歳半ばで添乗員に復帰されることから、根性が違います。

添乗とは「人に寄り添うこと」

ベテラン添乗員から出る深い言葉です。
添乗の仕事の奥深さが伝わってきました。

2.原 好正 様

2007年のツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤーのグランプリ受賞者です。

  • 添乗経験34年、通算添乗日数6696日のスーパーベテラン添乗員
  • フードジャーナリストで旅と食の講演、執筆多数
  • 英仏伊西ポル独ギリ語堪能マルチリンガル
  • プロの添乗員として社内講師、後輩指導貢献大、添乗員の鑑
  • 2007年3月創設のTCSA永年勤続特別功労表彰初受賞
  • 視覚障害者、車椅子多数参加ツアー「目の不自由な方々の為の巡礼の旅」20年以上継続、旅行中の食事・健康・旅程管理に大奮闘、人徳の賜物
  • 日本財界代表の北欧投資事情視察ミッションにも添乗・通訳貢献、あらゆる旅の演出家として感銘を与えている

多言語を操り、食にも精通、ホスピタリティも抜群のスーパー添乗員です。
日本一の添乗員が大切にする接客の作法」も執筆されていて、何度も読み返しました。

3.梁瀬 昌宏 様

惹かれます。

  • 株式会社マンデラ、オーナー。株式会社Y‐TRAVEL代表取締役
  • 1973年埼玉県草加市生まれ。明治大学経営学部卒業
  • トラベル&コンダクターカレッジの塚越公明社長より、旅行業・添乗業を学ぶ
  • 大学卒業後、海外専門旅行会社ワールド航空サービスに入社。8年半、海外ツアー企画、営業、海外添乗に携わる
  • 2006年2月9日に海外添乗専門会社・株式会社マンデラを創業
  • 2011年〜2017年まで天理大学の国際学部の講師として本格的な海外添乗を教える
  • ヨーロッパ・中南米・中近東・オセアニア・アフリカ・南極・北極圏など地球上の幅広い地域へ添乗し、170か国訪問
  • 海外添乗員として世界のあらゆるエリアのツアーに同行する

開けっぴろげな失敗談は「海外添乗員で世界すべての国を行く働き方」に書かれています。
「心惹かれる体験談と具体的な添乗のやり方」に勇気づけられます。

添乗員を目指す人の10の質問に答えます

添乗員とは何か

添乗員を目指す人から想定される10個の質問に答えていきます。

その①:どんな能力、資質が必要?

いちばん必要な能力は「体力」です。

ハードな仕事だからです。

気を使い、ときには走り回り、食事は短くすませ、トラブルに対応し、睡眠時間も少ない日もあります。

 他には以下の能力があると良いです。

  • 判断力
  • 気配り
  • 自己管理能力
  • リーダーシップ
  • 語学力(英検2級程度)

具体的には以下です。

  • 判断力:トラブルに冷静に対処する
  • 気配り:お客さまに公平に気配りする
  • 自己管理能力:繁忙期には健康管理も必要
  • リーダーシップ:多くのお客さまを引率し、さまざまな場面で必要
  • 語学力:海外添乗に出られる要件が「英検2級」の添乗員派遣会社が多い

体力がなければ何もできません。
体力さえあれば、英語力はあとからでも身につけられます。

詳しくは「添乗員に必要な英語力は英検2級以上【毎日音読でひたすら爪をとぐ】」で解説しています。

その②:どうやれば添乗員になれるの?

添乗員になるには2つの方法があります。

  • 旅行会社に入る
  • 添乗員派遣会社に入る

旅行会社の店頭や新聞・旅行雑誌などで募集しているツアーの場合、添乗員のほとんどは添乗員派遣会社からの派遣添乗員です。

旅行会社からの社員の場合もありますが、ごくまれです。
旅行会社の中には添乗はすべて派遣会社に任せるところもあります。

添乗員になるには添乗員派遣会社に入るのが近道です。

詳しくは「添乗員になるには2つの方法【添乗員派遣会社に登録/旅行会社に入社】」で解説しています。

「旅行会社の添乗員」と「添乗員派遣会社の添乗員」のそれぞれのメリットとデメリットは「【添乗員のメリットとデメリット】派遣会社と旅行会社の軸で比較」で解説しています。

その③:日当はいくら?社会保険は?

 日当

  • 国内添乗 → 7,000〜13,000円
  • 海外添乗 → 8,000〜25,000円

添乗員派遣会社の規定によります。
添乗の経験日数でも変わります。

 その他、手当が加算されます。

  • 前泊、後泊手当
  • 事前打ち合わせ手当
  • 精算業務手当

各社の規定により加算されます。

社会保険は労働日数により基準が定められているため、就業条件により異なります。

その④:海外添乗に必要な語学力は?

英検2級です。
必要なビジネス会話ができれば仕事に支障はありません。

語学が堪能であることにこしたことはありません。
日常会社と必要な業務会話ができればOKです。

それよりも、お客さまにきちんとした日本語ができるほうが大事です。

  • お客さまの話を聞く
  • お客さまに説明をする

不満や要望を聞いたり、事前案内や現地案内をしたり、英語より日本語が大事です。

その⑤:他の仕事と何が違うの?

シーズンで労働日数が異なります。

観光の繁忙期、閑散期があるからです。
日当計算が基本の派遣添乗員の場合、毎月の収入に差が出ます。

また、事業所内作業は少なく、事業所外労働が基本です。
ハイシーズンは仕事が多くなるため、仕事とプライベートの時間の両立が課題です。

その⑥:どんな資格が必要なの?研修と資格取得にかかる費用は?

 添乗員に必要な資格

  • 国内のみ添乗ができる → 国内旅程管理主任者
  • 国内・海外とも添乗ができる → 総合旅程管理主任者

詳しくは「添乗員資格「旅程管理主任者」の取得方法と難易度【合格率90%】」で解説しています。

研修受講料などがかかる

(社)日本添乗サービス協会の正会員である派遣会社に所属した場合、同協会が行う「旅程管理研修」の受講料がかかります。

  • 国内旅程管理主任者:26,500円
  • 総合旅程管理主任者:36,700円

その他、添乗員派遣会社で基礎研修を受講する場合の受講料、実地経験のための実地研修などに参加した場合の費用は別途かかります(費用は会社により異なります)。

その⑦:どうやれば資格は取れる?

 資格取得までの流れ

旅行会社や添乗員派遣会社へ入社する

基礎研修の受講

一般もしくは国内の旅程管理指定研修

修了試験に合格

修了証書の交付

添乗実務経験の指導(研修ツアー・サブ添乗)

指定管理業務を行う主任者証の発行

添乗員として1人でツアーに同行できる

修了試験の合格率は90%以上です。

その⑧:添乗員に学歴や年齢制限はあるの?

学歴は不問です。

満18歳以上であれば、旅程管理主任者の資格が取れます。

その⑨:添乗員になって大変だったことは?

3つです。

  1. トラブル対応
  2. 人数確認ミス
  3. 手配ができていない

トラブルが続くとヘトヘトです。
夜はお客さまに付き合い過ぎると睡眠時間が減るので、ときには断ることも大事です。

その他、トラブルなどは下記記事で解説しています。

やめたいと思ったこともあります。
» 添乗員を辞めたいと思ったことは何度もある話【下見で解決できる】

その⑩:優秀な添乗員になるには?

プロ意識を忘れないことです。

  • 社会貢献
  • お客さま満足
  • 自己の成長

3つが大事です。
どれかに偏ってもいけません。

まとめ:添乗員とは何かを知り、小さな行動につなげる

まとめ:添乗員とは何かを知り、小さな行動につなげる

未来を変えるのは行動です。

大きな行動ではなく、小さな行動です。
小さな行動をコツコツ続けることが未来を変えます。

最後に添乗で役立った本の紹介です。

ツアーコンダクターオブザイヤーではないですが、55歳から添乗員を始められた梅村さんには「いつからでも遅くはないと」勇気づけられるものがあります。
»【書評】『派遣添乗員ヘトヘト日記』でわかる添乗員の苦しさ、面白さ

以上です。

P.S. まだできていないことも多いですが、未来のために行動していきます。

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