- 添乗員になるには、どうすればいいかな
- 添乗員になるには、添乗員派遣会社と旅行会社のどちらがいいのかな
この記事はそんな方へ向けて、添乗員になる方法を紹介します。
「添乗員になりたい」と思ってもどうすればいいのか、わかりませんよね?
私も就職活動のとき迷いました。
添乗員になるには2つの方法があります。
- 添乗員派遣会社に登録
- 旅行会社に入社
学生時代にパッと浮かんだ方法は「旅行会社に入社する」です。
ただ旅行会社に入社しても添乗員になれない可能性があります。
理由は2つです。
- カウンターや業務出張手配、商品企画などへ配属もある
- 旅行会社により、すべての添乗を派遣会社へ委託もある
上記の理由から、添乗員になるための確実な方法は「添乗員派遣会社に入社する」です。
この記事では、添乗員になるための2つの方法(添乗員派遣会社と旅行会社)を解説します。
本記事を読むことで、添乗員になるにはどうすれば良いか、自分に合った方法がわかります。
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗:国内・海外計123本(一般団体、教育旅行、視察旅行)
Contents
添乗員になるには2つの方法【添乗員派遣会社に登録/旅行会社に入社】
添乗員になる2つの方法
- 添乗員派遣会社に登録
- 旅行会社に入社
フリーの添乗員になる方法もありますが、最初からフリーで仕事を受注するのは難しいので割愛します。
1.添乗員派遣会社に登録が確実
確実に添乗員になりたければ、添乗員派遣会社に入ることです。
添乗員の9割は「添乗員派遣会社」に所属し、各旅行会社に派遣される雇用形式です。
「プロの添乗員」略して「プロ添」とも呼ばれます。
派遣会社では「契約社員」の扱いがほとんどで、1年~2年置きに契約更新があります。
給与は日当制がほとんどで、福利厚生は雇用形態によります。
担当するツアーは「能力に応じて」です。
2.旅行会社に入社すると添乗は難しい
添乗員以外の仕事(手配、営業、販売、企画、手配、店舗カウンター、インバウンド、総務・経理・人事など)に配属する可能性があるからです。
会社の規模が大きいほど、部署は細分化されています。
配属により添乗の機会は無くなります。
大手企業の場合、入社して5年間、添乗の機会の無かった人もいます。
私のように中小企業の場合は、入社した翌月からサブ添乗を命じられ、1年間に5〜6回も添乗するケースもあります。
社員旅行、視察旅行などの受注型企画旅行は、営業の一環として社員が添乗する場合が多いです。
場合により顧客担当社員の他に数名の社員が同行することもあります。
パッケージツアーなどの募集型企画旅行の添乗員は9割が派遣添乗員です(自社の営業マンを添乗させると営業機会が減るため)
派遣添乗員はツアーごとに派遣会社と「雇用契約」を結び、派遣会社と旅行会社が「派遣契約」を交わします。
後日、その旅行会社の指揮のもと、添乗員として仕事をするのです。
次では2つの方法(A、B)を深掘りしていきます。
1.添乗員派遣会社に登録
添乗員派遣会社に登録し、旅行会社の依頼に応じてパッケージツアーや社員旅行などに添乗します。
添乗員派遣会社は2つに分かれる【インハウス系、独立系】
「社団法人日本添乗サービス協会」に43社加盟しています。
添乗員派遣会社は2つに分かれます。
- インハウス系(旅行会社のグループ会社)
- 独立系
1.インハウス系(旅行会社のグループ会社)の添乗員派遣会社
親会社のツアーが中心のため、ツアー内容や添乗終了後の精算などに変化が少ないです。
変化を好まない人は、インハウス系派遣会社がおすすめです。
一度仕事を覚えると楽です。
2.独立系の添乗員派遣会社
複数の旅行会社のツアーを担当します。
今日はA社のツアー、明日はB社のツアー……など色々な旅行会社のツアーに添乗します。
各旅行会社ごとに業務内容は異なるため、仕事を覚えるには時間がかかります。
仕事は複雑でも色々なツアーに挑戦したい好奇心旺盛な人は、独立系派遣会社がおすすめです。
幅広い経験が積めます。
独立系の添乗員派遣会社は2つに分かれます
- 総合派遣会社
- 旅行関連専門の派遣会社
総合派遣会社
総合派遣会社は色々な職種の派遣を行っています。
会社規模は大きいので安心感があるのが特徴です。
ただ添乗員派遣のみに注目すると小規模のケースがありますので、仕事量やフォロー体制などに注意が必要です。
旅行関連専門の派遣会社
旅行関連専門の派遣会社は、添乗員派遣の他に、空港センディングスタッフやツアーガイド、インバウンド、MICEスタッフなど旅行関連の職種があります。
添乗員は専門的な仕事です。
旅行業の専門知識や、業務中のトラブル対処法などのノウハウが豊富な旅行関連専門の派遣会社がおすすめです。
まずは派遣社員で経験を積むことが大事
収入は雇用形態により違ってきますが、派遣社員は忙しい時期と暇な時期があり不安定になりがちです。
ただ派遣でも経験や資格、語学力により、添乗ランクが上がり、稼げます。
まずは派遣社員から経験を積むことが大事です。
添乗員が自分に向いているかどうかで、悩むのは時間のムダです。
- 抽象的に悩む
↓ - 具体的に行動してみる
↓ - 抽象的な悩みが、具体的な悩みになる
具体的行動が、悩みを前に進めます。
「添乗員をやってみたいけれど、向いているかどうかわからない」と悩んでいる人は、添乗員に向いています。
人間は「添乗員をやってみたい人」と「添乗員をやりたくない人」の2通りしかいません。
「添乗員をやってみたい」と思う時点で、すでに適性があるのです。
最初の1歩は添乗員派遣会社の一覧を見ることです。
主要35社は「添乗員派遣会社34社の完全まとめ【基本情報や特徴、待遇を比較】」にまとめています。
おすすめの添乗員派遣会社3社は下記記事で解説しています。
» おすすめの添乗員派遣会社3社をランキングで比較【口コミ・評判】
2.旅行会社に入社
旅行会社に新卒採用・中途採用で社員として入社し、添乗するケースです。
旅行会社の営業マンとして添乗をする
旅行会社に添乗のチャンスがあるとすれば、法人営業の営業マンです。
法人営業の営業マンが、担当しているお客さまの旅行に添乗員として同行するケースです。
主にMICE分野の仕事に同行します。
MICEとは
Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨・招待旅行)、Convention またはConference(大会・学会・国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語で、ビジネストラベルの1つの形態。
旅行会社は新卒の就職先として志望者が多く、大手企業の場合は倍率が高く狭き門です。
私の場合は、新卒で中規模の旅行会社(社員数250名)に入社しました。
ふだんは法人営業をメインに活動しつつ、ときどき受注した団体旅行の添乗に行くスタイルです。
2ヶ月に1回のペースで添乗に行きました。
「添乗には行きたいけれど、添乗員専門ではなく、幅広い業務も経験したい」という方に、旅行会社はおすすめできます。
旅行会社に入社するデメリット
添乗ができる法人営業(団体セクションなど)に配属されるとは限らないことです。
旅行会社には多様な業務があります。
- 手配
- 営業(ルートセールス、新規飛び込み営業)
- 添乗
- 販売
- 企画
- 手配
- 店舗カウンター
- インバウンド
- 総務・経理・人事など
会社規模が小さいと色々な業務を兼任するケースもあり、大手企業よりも添乗するチャンスはあります。
添乗が必要ないお客さまを担当している旅行会社もあります。
確実に添乗員の仕事をしたい場合は、最初から「自社社員が添乗もする」とはっきり述べている旅行会社または添乗員派遣会社を目指したほうが近道です。
面接で「添乗の有無」を聞いてみると良いです。
パッケージツアー(主催旅行)に添乗をする
以前は添乗員といえば、旅行会社の社員がほとんどでした。
添乗員同行のパッケージツアーや団体旅行のニーズが高まった1980年代以降は添乗員派遣会社の対応が多くなりました。
添乗業務には専門性が要求されるからです。
- 手配状況の確認
- 各種一定の手続き
- 外国語での対応
- 世界中の観光地の知識
パッケージツアーの添乗は派遣添乗員が9割を占めています。
派遣添乗員の増加による問題点
- 旅行会社の社員の添乗機会の減少
- 添乗業務によるセールス機会の減少
この問題を解決するべく、下記のスタイルが浸透しています。
- パッケージツアーに派遣添乗員が添乗する
- 継続の団体旅行には社員が添乗する
大手企業では、別に自社系列の添乗員派遣会社(インハウス系)を持っているところも多いです。
団体旅行のお客さまから見れば、企画・手配の段階からやりとりしている営業マンの添乗は安心感があります。
パッケージツアーに添乗するチャンスがないわけではない
パック旅行は年々、商品数、催行数が増え続けているので、派遣会社の添乗員が不足となれば社員が添乗します。
また、高品質の高額パッケージツアーなどの特別商品には自社社員が添乗するケース(JALPAKなど)もあります。
パッケージツアーの添乗の機会を考えると、主催できる資格のある旅行会社(第1種、第2種)の選択が必要です。
- 第1種=国内と海外のパッケージツアーの主催可能
- 第2種=国内のパッケージツアーだけ主催可能
パッケージツアーの添乗をしたいのであれば、どちらかの会社の面接を受けることです。
旅行会社の社員→添乗員派遣会社のパターン
以上のように旅行会社に就職しても、添乗員専門になることは無いです。
添乗員として同行する機会はあるかもしれませんが。
長い目でみれば、旅行会社で旅行業務にかかわることで旅行知識が得られ、社会勉強にもなります。
旅行会社で経験を積んでから、添乗員として活躍できる添乗員派遣会社へ転職という道もあります。
広く浅い旅行会社 → 狭く深くの派遣添乗員へのキャリアチェンジです。
添乗員にからのキャリアパスについては「添乗員に必要なスキルは2つだけ【未経験から転職する手順】」で解説しています。
添乗員を目指す人の10の質問に答えます
添乗員を目指す人から想定される10個の質問に答えていきます。
その①:どんな能力、資質が必要?
いちばん必要な能力は「体力」です。
ハードな仕事だからです。
気を使い、ときには走り回り、食事は短くすませ、トラブルに対応し、睡眠時間も少ない日もあります。
他には以下の能力があると良いです。
- 判断力
- 気配り
- 自己管理能力
- リーダーシップ
- 語学力(英検2級程度)
具体的には以下です。
- 判断力:トラブルに冷静に対処する
- 気配り:お客さまに公平に気配りする
- 自己管理能力:繁忙期には健康管理も必要
- リーダーシップ:多くのお客さまを引率し、さまざまな場面で必要
- 語学力:海外添乗に出られる要件が「英検2級」の添乗員派遣会社が多い
体力がなければ何もできません。
体力さえあれば、英語力はあとからでも身につけられます。
詳しくは「添乗員に必要な英語力は英検2級以上【毎日音読でひたすら爪をとぐ】」で解説しています。
その②:どうやれば添乗員になれるの?
添乗員になるには2つの方法があります。
- 旅行会社に入る
- 添乗員派遣会社に入る
旅行会社の店頭や新聞・旅行雑誌などで募集しているツアーの場合、添乗員のほとんどは添乗員派遣会社からの派遣添乗員です。
旅行会社からの社員の場合もありますが、ごくまれです。
旅行会社の中には添乗はすべて派遣会社に任せるところもあります。
添乗員になるには添乗員派遣会社に入るのが近道です。
詳しくは「添乗員になるには2つの方法【添乗員派遣会社に登録/旅行会社に入社】」で解説しています。
「旅行会社の添乗員」と「添乗員派遣会社の添乗員」のそれぞれのメリットとデメリットは「【添乗員のメリットとデメリット】派遣会社と旅行会社の軸で比較」で解説しています。
その③:日当はいくら?社会保険は?
日当
- 国内添乗 → 7,000〜13,000円
- 海外添乗 → 8,000〜25,000円
添乗員派遣会社の規定によります。
添乗の経験日数でも変わります。
その他、手当が加算されます。
- 前泊、後泊手当
- 事前打ち合わせ手当
- 精算業務手当
各社の規定により加算されます。
社会保険は労働日数により基準が定められているため、就業条件により異なります。
その④:海外添乗に必要な語学力は?
英検2級です。
必要なビジネス会話ができれば仕事に支障はありません。
語学が堪能であることにこしたことはありません。
日常会社と必要な業務会話ができればOKです。
それよりも、お客さまにきちんとした日本語ができるほうが大事です。
- お客さまの話を聞く
- お客さまに説明をする
不満や要望を聞いたり、事前案内や現地案内をしたり、英語より日本語が大事です。
その⑤:他の仕事と何が違うの?
シーズンで労働日数が異なります。
観光の繁忙期、閑散期があるからです。
日当計算が基本の派遣添乗員の場合、毎月の収入に差が出ます。
また、事業所内作業は少なく、事業所外労働が基本です。
ハイシーズンは仕事が多くなるため、仕事とプライベートの時間の両立が課題です。
その⑥:どんな資格が必要なの?研修と資格取得にかかる費用は?
添乗員に必要な資格
- 国内のみ添乗ができる → 国内旅程管理主任者
- 国内・海外とも添乗ができる → 総合旅程管理主任者
詳しくは「添乗員資格「旅程管理主任者」の取得方法と難易度【合格率90%】」で解説しています。
研修受講料などがかかる
(社)日本添乗サービス協会の正会員である派遣会社に所属した場合、同協会が行う「旅程管理研修」の受講料がかかります。
- 国内旅程管理主任者:26,500円
- 総合旅程管理主任者:36,700円
その他、添乗員派遣会社で基礎研修を受講する場合の受講料、実地経験のための実地研修などに参加した場合の費用は別途かかります(費用は会社により異なります)。
その⑦:どうやれば資格は取れる?
資格取得までの流れ
旅行会社や添乗員派遣会社へ入社する
↓
基礎研修の受講
↓
一般もしくは国内の旅程管理指定研修
↓
修了試験に合格
↓
修了証書の交付
↓
添乗実務経験の指導(研修ツアー・サブ添乗)
↓
指定管理業務を行う主任者証の発行
↓
添乗員として1人でツアーに同行できる
修了試験の合格率は90%以上です。
その⑧:添乗員に学歴や年齢制限はあるの?
学歴は不問です。
満18歳以上であれば、旅程管理主任者の資格が取れます。
その⑨:添乗員になって大変だったことは?
3つです。
- トラブル対応
- 人数確認ミス
- 手配ができていない
トラブルが続くとヘトヘトです。
夜はお客さまに付き合い過ぎると睡眠時間が減るので、ときには断ることも大事です。
その他、トラブルなどは下記記事で解説しています。
やめたいと思ったこともあります。
» 添乗員を辞めたいと思ったことは何度もある話【下見で解決できる】
その⑩:優秀な添乗員になるには?
プロ意識を忘れないことです。
- 社会貢献
- お客さま満足
- 自己の成長
3つが大事です。
どれかに偏ってもいけません。
まとめ:添乗員になるための最初の1歩を踏み出そう
未経験からでもプロになれる仕事が、添乗員・ツアーコンダクターです。
添乗員はこんな人におすすめ
こんな方におすすめ
- 世界で活躍したい人
- 多くの人に出会いたい人
- 英語を使う仕事をしたい人
- ドラマや感動のある仕事をしたい人
- 中高年でキャリアチェンジしたい人
- 狭いオフィスを飛び出し、世界を見たい人
まずはツアーコンダクターの仕事を知ることからです。
添乗員派遣会社では説明会を開催しています。
説明会の参加で気づきがあります。
» 添乗員派遣会社の説明会に参加するメリットとデメリット【実体験】
以上です。
P.S. この機会に最初の1歩を踏み出してみるのもありです。
関連記事添乗員資格「旅程管理主任者」の取得方法と難易度【合格率90%】
関連記事【添乗員のメリットとデメリット】派遣会社と旅行会社の軸で比較