- 「現実のツアーコンダクター像について知りたい」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
本記事では、現実のツアーコンダクター像について解説していきます。
この記事を読むことで、現実のツアーコンダクターの年齢、性別、給料、保険、労働日数、休暇がわかります。
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、営業×手配×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗経験:国内・海外計100本ほどで、一般団体・教育旅行・視察旅行
Contents
現実のツアーコンダクター像とは?【年齢、性別について解説】
ツアーコンダクターの年齢
添乗員に特別な年齢制限はありません。
20歳で海外添乗歴10数回の人もいれば、30歳ではじめて添乗に出る人もいます。
資格の取得についても年齢制限はありません。
ただし、添乗が体力、精神力を要することは確かです。
- 立っている時間が長い
- 荷物を持っての移動が多い
- 早朝、深夜の出発・到着
- 短い睡眠時間
お客さまに疲れた顔を見せるわけにはいかないのです。
信頼感、判断力、決断力も大事です。
社会経験も大きなウェイトを占めますので、一概には言えませんが22〜50歳くらいの年齢が適当な所です。
ツアーコンダクターの性別
添乗は性別で「向く、向かない」はありません。
客観的に見ても仕事の内容はハードで、責任も重いのが添乗員の仕事ですが、資質と能力があり、添乗の仕事が好きであれば性別は関係ないのです。
ツアーの目的地、内容、手配状況、参加者の構成、どれも1本ごとに違っています。
担当添乗員の特性に合致していれば、男女の差は関係ありません。
ツアーコンダクターは男女平等に機会が得られる仕事
添乗は性別は関係ありません。
もちろん添乗以外にも性別に関係なく務められる仕事はあります。
旅行会社の社員の場合
男性社員の添乗が多いです。
また、一般企業の組織強化のための社員研修ツアーでも、企業サイドから男性添乗員の指名が多いです。
体験談
私の所属旅行会社では、添乗は男性が多かったです。
旅行会社での添乗は、営業担当者が添乗するケースがほとんどです。
「営業は男性、女性は内勤」の構成が多いからです。
もちろん女性の営業もいますので、担当企業が必要としていれば女性が添乗することもありました。
ただ「夜遊び」について聞きやすいのは男性添乗員です。
そのため、視察や社員旅行などが多い企業では、男性が重宝されます。
一方、女子高校の修学旅行では、女性添乗員が都合が良いはずです。
ケースバイケースです。
大手旅行業者になるほど女性社員を添乗に出さない傾向にあるようです。
添乗員派遣会社の場合
添乗員派遣会社に所属しているツアーコンダクターは、約75%が女性で、約25%が男性という構成です。
構成比は変動がありません。
主流はパッケージ旅行です。
パッケージ旅行の添乗をメインに請け負っているのは、添乗員派遣会社のツアーコンダクターです。
ツアーで活躍しているのは、女性ツアーコンダクターがほとんどなのです。
現実のツアーコンダクター像【給料、保険、労働日数、休暇について解説】
現役のツアーコンダクターが最も不満に思っていることが、「収入(給料)」と「福利厚生制度」です。
旅行会社の社員が添乗に行く場合は、「添乗日当」が会社から支給されます。
私の所属している会社では、国内添乗の日当が1日3,200円〜、海外添乗の日当が1日5,200円〜です。
他の旅行会社と比べて、低めの日当です。
旅行会社の専属ツアーコンダクターは、基本給が保証されることもあります。
ただ多いのは「添乗日数に応じた手当支給」です。
添乗員派遣会社の登録スタッフについて
派遣会社により異なりますので、平均値などを挙げていきます。
収入(給料)の現実
ほとんどの派遣会社の報酬の構成は以下の通りです。
- 添乗日当
- 付加手当
「添乗日当」は旅行会社から派遣会社に支払う派遣料と、ツアーコンダクターの様々な要素とのバランスで決められます。
「様々な要素」とは「経験、能力、年齢、旅行会社の評価」などです。
昇給の時期も1年1回とは限りません。
「添乗日当」の実態です。
- 国内添乗で概ね7,000円〜1万2,000円(1日あたり)
- 海外添乗で8,000円〜25,000円(1日あたり)
添乗稼働日数分の添乗日当が支給されます。
「付加手当」は、下記などに対する報酬です。
- ツアー出発前の打ち合わせ
- 帰着後の精算
- 添乗前日の宿泊
- 帰着後の宿泊
- 説明会
- 反省会
- オプション販売
- 通訳ガイド
- 物品販売
これらの「付加手当」は支給されるとは限りません。
支給されるかどうかは派遣会社やツアー、派遣先で異なります。
付加手当は、派遣会社と旅行会社との契約で決められ、その中からツアーコンダクターに支払われますが、それぞれ1,000〜3,000円程度が多いです。
社会保険の現実
以下の社会保険は所属している派遣会社で加入しているケースが少ないのが実態です。
- 健康保険
- 厚生年金
- 雇用保険
理由は、添乗日数(労働日数)が固定しないこと、労働日数が少ないツアーコンダクターがいることなどで、加入条件を満たさず加入資格が発生しないケースが多いからです。
所属している会社で加入していないツアーコンダクターは、雇用保険以外は個人で加入すします。
健康保険は国民健康保険に加入しなければなりません。
収入が少なく、親または配偶者の被扶養者になれる場合は、親または配偶者の健康保険の被扶養者になれます。
年金は、自分で保険料を納める第1号被保険者の国民年金に加入しなければなりません。
配偶者の健康保険の被扶養者なら、国民年金の第3号被保険者となり、保険料は納めなくてすみます。
労働日数と休暇の現実
ツアーコンダクターを専業としている人の添乗稼働日数は、年間200日以上という人もいますが、標準は年間180日程度です。
添乗日以外にも、ツアー出発前の打ち合わせ、帰着後の精算といった業務があります。
この業務日は、国内のみのツアーコンダクターで80日前後、国内・海外のツアーコンダクターで60日前後、海外のみのツアーコンダクターで40日前後あります。
添乗稼働日、添乗日以外の業務日を除いた日が休暇です。
» 参考:日本添乗サービス協会
添乗員派遣会社の主要35社については「添乗員派遣会社35社の完全まとめ【基本情報や特徴、待遇を比較】」で解説しています。
まとめ:現実のツアーコンダクター像
なかなか収入面、福利厚生面では厳しい現実があるのが添乗員の仕事です。
さらに肉体的にも精神的にもハードな仕事で、単に「旅行が好きだから」とか「語学を生かしたいから」というだけでは務まりません。
ツアーに出たらどんなことでも自分1人で処理しなければならないのです。
旅先で起こる様々なトラブルからお客さまを守るという責務もあります。
一方で、それ以上の魅力もあるのが添乗員の仕事です。
普通では行けないような所に行き、色々な体験ができ、様々な人たちと出会え、各国の食事ができるという楽しみもあるのです。
収入面、福利厚生面を副業などでカバーしつつ、添乗員の仕事ができるのが理想です。
日本添乗サービス協会の「派遣添乗員のキモチ」で地獄の労働実態が見えてきます。
最後に添乗で役立った本3冊の解説記事を紹介します。
以上です。
P.S. ツアーコンダクターの現実を知ろう。
参考図書
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