- 添乗員に必要なスキルを知りたい
- 未経験だけど、添乗員というキャリアに興味がある…
- キャリアプランとかも知っておきたいな
この記事はそんな方へ向けて書いています。
本記事の内容
- 添乗員に必要なスキルは2つだけ
- 添乗員のキャリアプランとは
- ノースキルの未経験から添乗員に転職する手順
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗:国内・海外計123本で、一般団体・教育旅行・視察旅行を経験(うち98回は下見)
私は私立理系卒で、英会話はできません。
「添乗員はやってみたいが、こんな私は無理だろうな…」と思っていました。
「添乗員はカッコいいと思うけれど、大変そう」が、就職活動のときの本音です。
しかし経験から断言できますが「添乗員は未経験でもできる仕事」です。
「添乗員は英語ができないと難しい」と言われますが間違いです。
大切なスキルは「行程の管理」「安全の確保」の2つだけです。
添乗員になった後のことを考えるほうが大事です。
本記事では「これから添乗員を目指したいけど、必要なスキルはなんだろう? 未経験でもいけるのかな?」という方へ「添乗員に必要なスキル」を解説していきます。
Contents
添乗員に必要なスキルは2つだけ【行程の管理&安全の確保】
添乗員に必要なスキルは2つ
- 行程の管理
- 安全の確保
「よくある3つの質問」も回答します。
スキル1:行程の管理
「行程の管理」が最重要です。
行程管理とは、行程表どおりに旅行を進めることです。
具体的には、飛行機・鉄道・バスなどの交通機関、ホテルなどの宿泊施設、レストラン、観光施設などが、手配どおりにサービスを提供しているかの確認です。
段取りよい旅行がすべてです。
行程がメチャクチャだと旅行になりません。
お客さまは心配ばかりで楽しめません。
行かないほうがマシです。
とはいえ旅行にはトラブルがつきもの。
トラブルの予防、回避、解決も含めての「行程の管理」が必要なのです。
「行程の管理」はどうやって身につけるのか?
添乗マニュアルを読み込み、添乗回数を積み上げ、改善していくこと。
これだけです。
添乗マニュアルを読んだだけは身につきません。
「添乗ノウハウ」や「失敗談」のインプットも大事ですが、1番は実際に経験してみること。
添乗員の一般的なイメージは「華やかでリーダーシップを発揮して、語学ができて、なんでも知っていて」という感じですが、ちょっと違います。
実態は「泥臭い仕事」です。
お客さまのために黒子に徹し、行程がスムーズに進むように裏で手を入れている感じです。
「行程の管理」さえできれば、まずは問題ありません。
基本的に添乗員は「旅行の幹事役」なので、知識や語学はあくまで手段にすぎません。
知識、語学よりも「どうやったらお客さまに喜んでもらえるか」を気遣えるほうが大切です。
添乗員は究極のサービス業なのです。
スキル2:安全の確保
「安全の確保」も重要なスキルです。
下記行動を繰り返し、アクシデントやトラブルを未然に防いでいきます。
- 手配の確認
- お客さまの健康の配慮
- 衛生・治安などの情報提供
旅行者が病気になったり、交通事故に遭ったりしたときには迅速な対応が必要です。
以下のトラブルが原因で、スケジュールがめちゃくちゃになる場合もあります。
- 手配ミス
- お客さまの積み残し、交通機関の乗り遅れ
- 宿泊施設のオーバーブッキングや交通機関の遅延・ストライキ・欠航対応など
次の意見もあるかもしれません。
- 「過去の旅行経験で、上記はなかった」
- 「添乗員がいなくても、ツアーはうまく回りますよ」
トラブルが何もなければ、何もなくていいのです。
ただ経験から言うと、裏で添乗員が未然に防いでいるケースもあります。
トラブル防止のためにも、ツアーに添乗員は必要
添乗員なしの旅行で海外でトラブルに遭うと、こんなに不安なことはないはず。
添乗員はトラブルのために不可欠です。
「安全の確保」も添乗員の大事な仕事なのです。
添乗員の仕事内容は「添乗員の仕事内容は2つだけ「旅程管理/安全確保」【仕事の特徴6つ】」で解説しています。
よくある質問①:「添乗員に地理や歴史の知識は必要?」
森羅万象の知識が必要です。
ただお客さまはそんなに突っ込んだ質問はしてきません。
バスガイドや現地ガイドもいます。
あくまで添乗員の仕事は「行程の管理」です。
添乗員の仕事は「マイクを持って話すこと」と思われるかもしれませんが、違います。
行程を管理するために、手段としてマイクを使うだけです。
知識をベラベラとガイドのように話すことは、添乗員には求められません。
話すことはバスガイドや現地ガイドの仕事です。
概要の勉強だけでOK
はじめのうちは、ざっくりと行き先の概要だけ勉強しておけばOKです。
後述しますが、添乗員の資格「総合旅程管理主任者」を取るための研修でも必要な知識は勉強はします。
理想は国家資格「総合旅行業務取扱管理者」レベルの知識ですが、持っていない添乗員も多いです。
添乗員に必須の資格ではないからです。
添乗のたびに必要に迫られて、勉強するのが1番身につく
1番効率の良い勉強法です。
ただ机上の知識よりも行った人でなければわからない生の体験や情報が大事です。
- 空港の乗り継ぎの導線はこうだった
- 観光地は実際に行ってみたら、ちょっと違った
- レストランの食事はお客さまの評判が良かった
- ホテルは使い勝手が悪かったが、周辺に遅くまで営業しているレストランがあった
行った人にしかわからない気づきがあります。
1つ1つ引き出しを増やしていけばいいのです。
参考までに「世界史のおすすめ本」を紹介します。
小学生向けですが、わかりやすいです。
よくある質問②:「添乗員に資格は必要?」
必要な資格は2種類
- 国内添乗の資格「国内旅程管理主任者」
- 海外添乗の資格「総合旅程管理主任者」
資格取得は簡単です。
合格率は90%以上だからです。
必要日数は「国内添乗員が2日間、海外添乗員が3日間」です。
必要なのは「指定機関による研修の終了」です。
資格をとって添乗員になるまでの流れ
旅行会社や添乗員派遣会社に入る
↓
社内研修
↓
一般もしくは国内の旅程管理指定研修
↓
修了試験に合格
↓
修了証書の配布
↓
添乗実務経験の指導(研修ツアーやサブ添乗)
↓
主任者証の発行
↓
1人で添乗ができる
修了試験は、研修の終わりにある簡単なものです。
6割以上の正解で合格できます。
英語もありますが難しくはないです。
詳しくは「添乗員資格「旅程管理主任者」の取得方法と難易度【合格率90%】」で解説しています。
よくある質問③:「添乗員に英語は必要?」
海外添乗員を目指すなら、英語は必要です。
添乗員派遣会社「旅行綜研」では、海外添乗に必要な英語力として「英検2級またはTOEIC550点」を掲げています(入社時の条件ではありません)
出入国、現地ガイド・ドライバー、ホテルのスタッフ・ポーター、航空会社のスタッフ・客室乗務員など、英語で会話が必要な場面もあります。
添乗員の英語力がないと、相手方に意向が伝わらず、ピンチになるケースもあります。
場合により、不利な条件を押し付けられても、よくわからず飲んでしまうことになるのです。
» 参考:客室乗務員との英会話シーン【飲み物や食事の注文/質問やリクエスト】
しかし英語が得意でない海外添乗員もいます。
ネイティブガイドの英語を完璧に通訳できるレベルの添乗員はほとんどいません。
私は英検2級、TOEIC540点ですが、海外添乗で問題はなかったです。
国内添乗を始めながら、英語を勉強すればOK
勉強すればいいだけです。
英語がダメな人は「中学生レベルの英会話」から始めましょう。
私は「中学生1〜3年の英語の教科書」×出版社の数(10)だけ買ってきました。
計30冊を10回ずつ多読です。
これだけで日常会話レベルは自信が持てます。
参考になった本
まずは自分に合う勉強法を探します。
遠回りせずに済むからです。
移動中は瞬間英作文トラベル編を聞きました。
短文だけ覚えるだけで、現地で役立ちます。
リスニングは最後まで苦手した。
完璧な英語にとらわれずに現場でどんどん口に出し、その都度、単語を覚えていきましょう。
詳しくは「 添乗員に必要な英語力は英検2級以上【毎日音読でひたすら爪をとぐ】」でも解説しています。
添乗員のキャリアプランとは【3パターンで解説】
添乗員になった後のキャリアプランもみていきましょう。
- パターン①:添乗員プロフェッショナルを目指す
- パターン②:旅行会社の営業職を目指す
- パターン③:添乗員派遣会社に転職し、アサイナーを目指す
パターン①:添乗員プロフェッショナルを目指す
添乗専門にやっていきたい方向けです。
添乗だけで生計を立てるには、海外添乗が必須です。
国内添乗だけで生計を立てるのは難しいです。
添乗員日当の例
- 国内日当10,000円×200日=200万円
- 海外日当20,000円×200日=400万円
※付加手当(打ち合わせや精算、時間外など)が含まれていません
若いうちはいいですが、結婚して子どもができて支出が増えてくると、厳しくなってきます。
1人のときはいいですが、家庭を持ちながら40歳、50歳になっても続けていくのはキツいです。
未経験の状態で若いなら、ここまで先のことを考える必要はないです。
国内添乗に何本か出てみれば、海外添乗を目指したいかが分かります。
後述しますが、添乗員を極めるだけがキャリアではありません。
「添乗が好きで、英語も英検2級レベルならできる。森羅万象を相手に成長していきたい。非日常を体感していきたい」なら、添乗員プロフェッショナルの道です。
究極の添乗員が書いた本は「日本一の添乗員が書いた接客業のおすすめ本【添乗は究極サービス業】」で解説しています。
パターン②:旅行会社の営業職を目指す
「上流の仕事をする」というキャリアです。
添乗員で仕事の進み方は「旅行会社→添乗員派遣会社→添乗員」という流れです。
現場の添乗員だけ生計を立てるのは、なかなか厳しいもの。
収入を伸ばしたいなら、旅行会社への転職がおすすめです。
悲しい現実ですが、やはり現場の添乗員よりも、上流で仕事を取ってくるほうが儲かりやすいです。
添乗経験は旅行会社の営業職で活かせる
百聞は一見にしかずで添乗の知識・体験は、お客さまに説得力を持つからです。
ポイントとして、営業職であれば、獲得した仕事次第で添乗に出られる機会を作れます。
「たまに添乗に行きたい」という方におすすめのキャリアです。
パターン③:添乗員派遣会社に転職し、アサイナーを目指す
「添乗員をやってみたいけど、自分に合わないから別のことがしたい」といった方向けです。
アサイナーとは「旅行会社からのツアーを添乗員に割り振る人のこと」です。
「旅行会社→添乗員派遣会社→添乗員」という仕事の流れの「添乗員派遣会社」の部分です。
たとえば、以下です。
「このツアーにピッタリな添乗員さんを紹介してほしい」と旅行会社から依頼を受け、マッチする添乗員を探す役割です。
「修学旅行のツアーだから、話しやすい元気な人が合いそう」と考えて、登録の添乗員の中から最適な人材を紹介します。
派遣の添乗員を200人抱えていたら、アサイナーはそれぞれの性格や特性を全部頭に入れておきます。
ある旅行会社からイタリアーのツアーが入ったら、200人のリストの中から瞬時に2、3名の候補者の名前が出てこなければいけないのです。
ツアーに参加するお客さまと関わることが基本的にないので、土日や祝日に休みが取れます。
常に先々のツアーを担当するので、余裕を持てることも、休みやすい環境につながります。
ただ添乗員での経験があるからこそできる仕事です。
添乗員未経験や、旅行業界の未経験では転職の難しい職種です。
転職できたとしても添乗実務の経験がないので、添乗員から「ただの連絡係」と思われます。
目指すべきは「添乗員を理解しているアサイナー」です。
日本添乗サービス協会の刊行物「ツアーコンダクター世界に羽ばたけ」も学びがあります(無料)。
ノースキルの未経験から添乗員に転職する手順とは
最後に転職の手順を解説します。
未経験から添乗員に転職する2つの方法
- 添乗員派遣会社に入る
- 旅行会社に転職をする
1.添乗員派遣会社に入る
ここまで記事を読んで「添乗員をやってみようなかな」と思った方への結論は、添乗員派遣会社に入ることです。
添乗員派遣会社に入社できれば、資格取得までフォローがあり、1ヶ月後には国内添乗に出られるようになっているはず。
そこから経験を積んで、海外添乗員を目指すかどうかは自分次第です。
ただ「いきなり添乗員になるのは不安」と思う方もいます。
アルバイトでサブ添乗の経験ができれば良いのですが、アルバイト求人はありません。
「いきなり添乗員になったはいいけれど、仕事が思ったよりつまらな過ぎて苦痛」だとシンドイです。
もっと添乗員の仕事を理解して、自分に合うかどうかを確かめたい場合は「添乗員の説明会に参加する」が最適解です。
説明会だけ参加可能な3社(面談不要)
まずは説明会だけ参加してみて「添乗員ってこんな感じか。これなら続けられそう」という感覚をつかんでおきましょう。
もうすでに「添乗員になるのは決めている」の方も、まずは添乗員派遣会社の比較からです。
» おすすめの添乗員派遣会社3社をランキングで比較【口コミ・評判】
添乗員派遣会社の主要35社については「添乗員派遣会社34社の完全まとめ【基本情報や特徴、待遇を比較】」解説しています。
2.旅行会社に転職をする
「添乗員専門職はちょっと収入面で不安」という方は、旅行会社に転職もありです。
注意ポイント
注意点は「営業職を募集している旅行会社」であることです。
営業職を募集していない旅行会社だと「手配」「カウンター」などに配属され、添乗ができないからです。
経験談ですが「まずは旅行会社の営業に転職し、仕事を獲得して添乗に出る」という方法もありです。
各個人に最適な方法を探すのが良いです。
旅行会社の転職でおすすめな転職サイトと転職エージェント
- doda:有名企業(阪急交通社など)の求人あり
- リクナビNEXT:最大級の転職サイトで案件多い
- リクルートエージェント:希望に沿った旅行会社を紹介
「トラベルビジョン」の求人一覧でもたまに募集しています。
営業職に転職しても、添乗案件のない企業しか担当していない旅行会社もあります。
リクルートエージェント、dodaあたりで「添乗希望」という条件で、相談してみるのが時間節約です。
以上です。
P.S. 迷うなら、まずは行動です。
読んでみた転職本2冊
「転職と副業のかけ算」には職務経歴書の書き方のポイントが書かれています。
本格的に転職を始めるときに役立つ本です。
関連記事添乗員の職務経歴書の書き方例【旅行会社向けの自己紹介、志望動機】
関連記事おすすめの添乗員派遣会社3社をランキングで比較【口コミ・評判】