- 「添乗員のメリットとデメリットを知りたい」
- 「旅行会社の添乗員と、添乗員派遣会社の添乗員に違いはあるのかな」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
添乗員は「無料で海外に行ける」「いろんな場所に行ける」「いろんな人に会える」という夢のある仕事に見えます。
デメリットは「体力的にハード」「クレームがあるとキツい」「給与に魅力がない」などです。
添乗員には2種類あります
- 旅行会社の添乗員
- 添乗員派遣会社の添乗員
本記事では、2種類の添乗員のメリットとデメリットを比較して、解説します。
この記事を読むことで、旅行会社の添乗員、添乗員派遣会社の添乗員、それぞれのメリットとデメリットがわかります。
記事後半では、「添乗員にこだわったキャリアパス」についても解説しています。
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗経験:国内・海外計100本ほどで、一般団体・教育旅行・視察旅行
Contents
【添乗員のメリットとデメリット】派遣会社と旅行会社の軸で比較
メリットとデメリットは表裏一体ですので、下記のように対になっています。
メリットとデメリットの比較表
「旅行会社の添乗員」のメリットとデメリット
メリット | デメリット | |
1 | たまに添乗に出るので、体力的に楽 | たまに添乗に出るだけなので、添乗スキルが身につかない |
2 | 添乗が気分転換になる | 添乗中も担当している企業から、携帯に仕事の連絡がくる |
3 | 自分で企画した旅行に、自分で添乗に行ける(営業のやり方次第では、自分の行きたい国に誘導できる) | 自分で仕事を取ってこなくては添乗に出れない(取ってきても、会社方針で派遣会社に添乗をお願いするケースもある) |
4 | 担当のお客さまと一緒に行くので、付き合いが深くなる | クレーマーを担当すると、担当変更がない限り数年は逃げられない |
5 | 自分で手配することもあるので理解が深まる | 手配も自分でやると忙しい |
6 | 給与、福利厚生面で安定している | 企業に拘束され、残業もある(土日にお客さまから連絡がくる場合もあり) |
7 | 法人営業であれば土日休みの旅行会社が多い | 都内勤務であれば通勤時、満員電車に乗らなくてはならない |
旅行会社の添乗員は、「狭く深い」スタイルです。
理由は、日ごろから営業で接しているお客さまと添乗に行くからです。
営業で信頼関係をつくり、添乗でさらに仲良くなり、次の団体旅行の受注につなげていきます。
ふだんは営業なので添乗に行く機会は少ないため、最大のセールス機会である添乗の1回1回を大切にする必要があります。
クレーマーを担当してしまうと悲惨です。
企業担当の変更や、クレーマーの異動がない限り、苦しみ続けます。
私はクレーマーにだいぶ苦しめられました。
早めに上司に相談して、クレーマーは切りましょう。
「クレーマーでも我慢しろ」と上司に言われたら、反論しましょう。
そんな仕事はしなくていいです。
私のようにガマンして体を壊すことだけは避けてください。
「添乗員派遣会社の添乗員」のメリットとデメリット
メリット | デメリット | |
1 | 添乗だけに集中でき、添乗スキルが身につく | 行きたい場所や国を選べない |
2 | マイレージ加算、各地でのサービス、免税店の割引などがある | 添乗が重なると体力的にハードな面もある |
3 | 自分で仕事を取ってこなくても添乗に行ける | 旅行の企画や手配はできない |
4 | いろんな人に会える(クレームはツアー中のみで済む) | お客さまと深い関係が築けない |
5 | 旅行手配をしなくていい | 手配内容を担当者と細かく打ち合わせする必要がある |
6 | 自分の好きなときに働ける(副業でもOK。添乗中は食費かからず) | 給与が不安定 |
7 | 満員電車に乗らなくていい | 土日に添乗が入るケースが多い |
添乗員派遣会社の添乗員は、「広く浅い」スタイルです。
理由は、ツアーのほとんどが初めて会うお客さまだからです。
グループの中にクレーマーがいても、数日間ガマンすれば、もう会うこともありません。
旅行会社の添乗員のように、添乗後のお客さまとの関係を気にする必要がないのです。
仕事は添乗のみなので、ひたすら添乗に特化したい人向けです。
ただし、給与や福利厚生の魅力は低いです。
家族を養うには、長く続けるのは難しい職種です。
下記記事に関連記事をまとめています。
- 添乗員のキャリアプラン:添乗員に必要なスキルは2つだけ【未経験から転職する手順】
- 添乗員派遣会社の主要35社:添乗員派遣会社35社の完全まとめ【基本情報や特徴、待遇を比較】
下記ではデメリットをさらに深掘りしていきます。
旅行会社の添乗員のデメリット
デメリットは、添乗スキルが身につかず、中途半端になりがちです。
旅行会社の営業マンには、下記すべてできるオールラウンドプレイヤーがいます。
- 国内、海外の添乗
- 国内、海外の団体手配
- 国内、海外の業務出張手配
すべてをやることで旅行を深く理解でき、さまざまな仕事を受注できます。
管理職に昇進しても、経験の範囲が広いため部下の仕事の理解やサポートができます。
ただし、添乗員派遣会社の添乗員のように常に添乗に出ているわけではないので、添乗スキルが高いわけでありません。
さらに言えば、旅行会社では添乗は「添乗員派遣会社」に依頼する会社も多いため、添乗に出れない可能性もあります。
添乗に行くと営業や他の仕事ができなくなるので、添乗を外注するのは当然なのです。
ただ外注を嫌がるお客さまもいます。
旅行会社の添乗員に向いているのは、下記の人です。
- いろんな仕事を幅広くやりたい
- 添乗はたまに出るくらいでいい
- 家族がいるので給与は安定したい
上記のとおり。
なんでもできるオールラウンドプレイヤーを目指しつつ、管理職として人財育成の道に進むキャリアもありです。
添乗員派遣会社の添乗員のデメリット
デメリットは給与です。
理由は、旅行会社の添乗員のように月給制ではなく日当制だからです。
日本添乗サービス協会によると、一般的な添乗賃金は下記のとおり。
一般的な添乗賃金
国内添乗…概ね 7,000円~12,000円(1日あたり)
海外添乗…概ね 8,000円~25,000円(1日あたり)
(備考)経験、能力、年齢のほか、旅行会社の評価などを参考に派遣会社が決めます。
また、昇給の時期も1年に一回とは限りません。添乗付加手当
賃金と同様に、金額は派遣会社と旅行会社との契約により決められ、その中から添乗員に支払われますが、それぞれ1,000円~3,000円程度が多いようです。
海外添乗に年間200日×20,000円=400万円です。
海外添乗が多くなければ家族を養うのは厳しいです。
ただ現実には添乗員を専門職として活躍している男性もたくさんいらっしゃいます。
自分1人であれば、添乗中は食費もかからず、色々な国に行け、世界各国の料理が食べられます。
やりがいもピカイチです。
添乗員派遣会社の添乗員に向いているのは、下記の人です。
・添乗にたくさん出たい
・非日常をたくさん経験したい
・色んな人、自然、文化、歴史を味わって感動したい
上記のとおり。
添乗員のプロフェッショナルを目指していくキャリアです。
もちろん途中で旅行会社に転職する方向転換できます。
添乗員にこだわったキャリアパスについて【性別で比較】
男性と女性ではキャリアパスが変わります。
ここでは添乗員にこだわったキャリアを考えてみます。
添乗を軸にした男性、女性のキャリアパス
男性の場合
パターンA:旅行会社で幅広く経験を積み続ける
パターンB:旅行会社で添乗経験を積む → 添乗員派遣会社で添乗員に特化
パターンC:添乗員派遣会社で添乗員に特化 → 旅行会社の営業マンに転職し、ときどき添乗する
パターンAは、旅行会社の正社員でゴリゴリ働き続け、ときどき添乗をしていくキャリアです。
パターンBは、旅行会社を途中で辞めて、添乗員専門に特化もありです(給与はキツい)。
「広く浅く」から、「狭く深く」へシフトです。
パターンCのように添乗員専門に特化してから、添乗経験を武器に旅行会社で営業マンとして、ときどき添乗するのは大いにアリです。
女性の場合(結婚、出産があるとき)
- パターンA:旅行会社で幅広く経験を積む → 育休 → 旅行会社に復職し、ときどき添乗
- パターンB:旅行会社で広く経験を積む → 育休 → 添乗員派遣会社でときどき添乗
- パターンC:添乗員派遣会社で添乗員に特化 → 育休 → 旅行会社に転職し、ときどき添乗
子どもがいなければ、男性と同じキャリアも可能です。
しかし女性の場合は結婚や出産でのキャリアブランク、子育てを考えると添乗専門でやるのは現実的に難しいです。
添乗員派遣会社で、朝早い添乗や、宿泊を伴う添乗、海外添乗などは旦那さんの協力がなければムリです。
旦那さんの協力があれば、添乗回数を減らして、行けるときにだけ添乗できます。
子どもが大きくなってから、添乗員派遣会社に入り、バリバリと添乗している方もいらっしゃいます。
添乗員派遣会社のメリットは、自分で働けるスケジュールを選べること。
添乗回数を減らして、うまく工夫することが必要です。
もちろん女性でも旅行会社の正社員でゴリゴリ働いて、キャリアアップを目指すのもありです。
今後、時短勤務など柔軟に働ける旅行会社が増えていく可能性もあります。
添乗員は何歳からでもチャレンジできる
添乗員は未経験でも何歳からでもチャレンジできます。
添乗員の主流は20〜30代が中心で、それ以上の年代になると体力的に耐えられないかと思われがちです。
しかし実際は40〜50代のベテラン添乗員も活躍しています。
添乗員派遣会社で年齢制限を設けているところは、ほとんどありません。
視察旅行ではベテラン添乗員の持ち味が発揮されるケースが多いです。
- 某添乗員派遣会社では58歳のベテラン添乗員が年間に100日近く添乗しています
- 某旅行会社では70歳でも現役で流通視察の添乗をこなす神のような人もいます
たしかに添乗員の仕事は肉体的にも精神的にもキツいです。
しかし男女問わず定年まで働くことが不可能な仕事ではありません。
仕事は毎回変化があり、夢があり、人を感動させる職業です。
添乗員としての知識やスキルは年齢を重ねるごとに磨きがかかり、お客さまにさらに旅の感動を与えることができます。
まとめ:派遣会社&旅行会社の添乗員のメリットとデメリットを知り、自分の道を選ぼう
正解は誰にもわかりません。
もちろん、私も自分の選んだ道が正解かどうかわかりません。
誰にもわからないのです。
ハッキリしているのは後で振り返ったときに「これで良かったんじゃないの」と言えるように行動していくだけです。
「添乗員とは何たるか」をさらに詳しく知るには書籍を読むのもありです。
実際の添乗で役立った本は以下のとおり。
ヘトヘト日記は55歳で添乗員になった梅村氏の著書です。
添乗の面白さ、辛さがわかりやすい大好きな本です。
以上です。
P.S. 添乗員のメリットとデメリットを知り、自分で選ぼう。
参考図書
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