- 「添乗員のしてはいけない行動を知りたい」
- 「クレームをできるだけ避けたい」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
この記事でわかること
添乗員のしてはいけない10の行動
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、法人営業・出張手配・添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗経験:国内・海外計100本ほどで、一般団体、教育旅行、視察旅行を経験
添乗当初はお客さまとの距離感がつかめず、クレームをいただいた経験があります。
添乗中にクレームが来ると、残りの時間を過ごすのが辛くなります。
死んだような時間にならないためにも、クレームを予防することが大事です。
本記事の「添乗員のしてはいけない行動」はどれも基本的なことですが、意識するだけで変わります。
大事なのはお客さまにまっすぐ向き合うことです。
投げる球種はストレートだけで十分なのです。
Contents
添乗員のしてはいけない行動10か条【クレームにつながります】
添乗員のしてはいけない行動10か条
- 業界用語を使う
- 集合時間に遅れる
- 知ったかぶりをする
- お客さまの悪口を言う
- 税関でトラブルを起こす
- お客さまからお金を借りる
- お客さまのクレームを処理しない
- 特定のグループだけと仲良くする
- お客さまよりたくさんの買い物をする
- 税関申告書や質問書などに虚偽の記入を勧める
順番に解説します。
1.業界用語を使う
業界用語を使われてもお客さまはわかりません。
- 「チェックインしてください」
- 「チェックアウトしてください」
- 「今回のキャリアはティージーです」
- 「これからイミグレを通りますので、イーディーカードをお手元のご用意ください」
お客さまによっては、チェックイン、チェックアウトも業界用語です。
中学生でもわかるような言葉で言い換えます。
2.集合時間に遅れる
最初の「空港集合」や「バス出発場所」に遅刻するとアウトです。
最初の集合で「添乗員の印象」が決まります。
体験談
羽田空港9時30分集合のツアーです。
空港へ向かうリムジンバスが台風で遅れて、9時20分に到着しました。
お客さまは全員そろっています。
ほぼ全員の信頼を失う結果になり、信頼を取り戻すまで1日では足りませんでした。
このような経験はして欲しくありません。
最初の集合では、お客さまより早く来ていることが大事です。
集合時間に間に合っていても、お客さまより遅かったら遅刻です。
空港周辺は渋滞することもあるので余裕のある行動が大事です。
遅刻しないための3つの行動
- 空港には余裕を持って着いている
- ホテルではモーニングコール、目覚まし時計の併用
- 最初の集合場所には、30分前からお客さまを待ち構える
交通の乱れが予想されるときは前泊です。
遅刻はすべてを灰色に変えます。
3.知ったかぶりをする
お客さまは「添乗員はなんでも知っている」と思って、質問してきます。
知っている場合は良いですが、知らない場合は対処法が大事です。
- 「知りません」と答える
- 生半可な返事をして誤魔化す
- 確認して、後ほど回答する
誤魔化すと後で恥をかいたり、信頼を失います。
確認して、後ほど回答をすれば良いのです。
知ったかぶりをしないだけで良いのです。
4.お客さまの悪口を言う
悪口はNGです。
聞いたお客さまは添乗員のことを信頼できなくなるからです。
- 「○○さんは手がかかる」
- 「○○さんは常に批判的に接してくる」
- 「○○さんは下品で日本人として恥ずかしい」
このような言葉を他のお客さまの前で言ってはいけません。
聞いたお客さまは自分のことでなくても「自分のことも同じように他人に言われているのではないか」と添乗員のことを見るようになります。
遅刻常習やマナーが悪いお客さまには工夫します。
- 人前で注意しない
- 人の目のつかないところで1対1で話す
海外旅行中のマナー違反はたいていの場合、悪意というより無知によります。
5.税関でトラブルを起こす
成田税関によると、添乗員の違反が増加しているといいます。
「お客さまの超過手荷物を持ってあげる」というような軽微なものから、禁制品の持ち込みなど悪質なものまであります。
お客さまの超過手荷物を持ってあげたくなる気持ちはわかります。
それでも旅程管理者として、断らなくてはいけません。
帰国日の前日に「超過手荷物を持ってあげることはできない」と案内しておくのが良いです。
捕まった事例も上げておけば、まず頼んでくる人はいません。
添乗員の違反は本人とっても、委任した会社にとっても最大の恥辱であるだけでなく、責任問題にまで発展するケースがあります。
最後の税関で引っかからないように注意です。
お客さまを喜ばせたいかもしれませんが、正攻法が一番です。
6.お客さまからお金を借りる
お客さまからお金は借りてはいけません。
- トラブルのもと
- 信用問題になる
- ストレスになる
「借りた、借りてない」でトラブルになります。
返し忘れはトラブルの元です。
貸したお客さまも「いつ返してくれるのだろう」と、いらぬ心配をすることになり、添乗員に不信感を抱きます。
信用問題に発展してしまうのです。
お金は、借りたほうは忘れやすく、貸したほうは忘れないもの。
お客さまどうしの貸借にも注意するよう助言です。
7.お客さまのクレームを処理しない
添乗中はさまざまなクレームがあります。
添乗員の範疇外のクレームがあるものです。
- 同室者のいびきが大きい
- ホテルの客室からの眺めが良くない
- 飛行機の座席を通路側でリクエストしたのに、叶わなかった
一見些細なクレームでも本人にとっては大きな問題なのです。
添乗員は誠意を持って、その場その場で対処する気持ちが大切です。
クレームやリクエストの対応を先延ばしにすると、小さな不満から大きな問題に発展します。
できるだけすぐに対応です。
お客のクレームやリクエストを引き受けたからには、中途半端に終わらないようにするべき。
場合によっては、会社から預かった資金の活用という手もあります。
大事なことは帰国後、会社までクレームを持ち込まないよう努力することです。
8.特定のグループだけと仲良くする
添乗員も人間ですので、お客さまの中でも気の合う人、気の合わない人がいるのは当然です。
それでも添乗員は個人的な感情を抑えないと務まりません。
気の合わない人への対処方法は、こちらから近づいていくことです。
逃げるから噛みつかれ、さらに苦手意識を持つようになります。
食事のテーブルでも同席する相手を毎回変えます。
つねに公平・中立の立場でいるのが最善です。
ベテラン添乗員の言葉で「気の合う人は黙っていても好感を持ってくれるので、常に気の合わない人と多く接するようにしている」と聞いたことがあります。
至言です。
9.お客さまよりたくさんの買い物をする
添乗員をしていると友人、知人、会社の同僚、家族から何かと買い物を頼まれます。
だからといって、お客さまの前で買い物に集中してしまうのはいけません。
なぜなら、お客さまによっては「お客さまそっちのけで何をしに来たんだ」と感じる人もいるから。
添乗員の買い物には違和感があります。
勉強のために試食くらいならまだしも、お土産の購入はスマートではありません。
買うならお客さまに目立たないようにです。
買い物は「個人行動」に見えるので、誤解を招く恐れがあるのです。
10.税関申告書や質問書などに虚偽の記入を勧める
税関申告書の記入で、脱税行為の相談にのってはいけません。
お客さまの中には税関で詰問されると、「添乗員から勧められた」などと逃げ口上を言う人もいます。
また質問書の記入の際に、ひどい下痢をしているのに適当に書かせてはいけません。
もしこのお客さまがコレラ患者だったら大騒動です。
わからないことを「早く楽になりたいから」といって、適当な言質を与えてはいけません。
あとでしっぺ返しがきます。
まとめ:添乗員はクレームを予防し、直球で勝負しよう
まとめ:添乗員のしてはいけない行動10か条
- 業界用語を使う
- 集合時間に遅れる
- 知ったかぶりをする
- お客さまの悪口を言う
- 税関でトラブルを起こす
- お客さまからお金を借りる
- お客さまのクレームを処理しない
- 特定のグループだけと仲良くする
- お客さまよりたくさんの買い物をする
- 税関申告書や質問書などに虚偽の記入を勧める
添乗員は人間なので「ついうっかり」はあります。
私はたくさんのミスをしてきました。
他にも「お酒を飲みすぎない」や「お客さまの個人情報を守る」も大事です。
根底は「公平に誠意を持って行動する」です。
意識するだけでだいぶ印象は変わります。
「自分だけは大丈夫だろう」の考えは捨てて、信頼関係を壊すような行動・言動に注意です。
自分のしたことは自分に返ってくるからです。
最後に添乗員で一番大事な「お客さまのことを考える」がよくわかる本を3冊紹介します。
下記記事で詳しく解説しています。
以上です。
P.S. お客さまには直球がいちばんです。
参考図書
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