- 「添乗を成功させるコツを知りたい」
- 「添乗がうまくいくために、添乗員はどうすれば良いだろうか」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗経験:国内・海外計100本ほどで、一般団体・教育旅行・視察旅行
本記事では、添乗を成功させるコツについて解説します。
この記事を読むことで、添乗を成功させるコツがわかり、お客さま満足の添乗に近づけます。
Contents
添乗を成功させる9つのコツ【両親と一緒に添乗するように心がける】
添乗を成功させる9つのコツ
- 旅行を楽しくする演出を心がける
- 自信のある態度を心がける
- 協力機関と良いパートナーシップを心がける
- お客さまと良いコミュニケーションを取ることを心がける
- お客さまの1歩先の欲求を満たすことを心がける
- お客さまには公平であることを心がける
- 解放感や疲れにも気を使うことを心がける
- クレームには徹底して聞くことを心がける
- トラブルには冷静に対処することを心がける
1.旅行を楽しくする演出を心がける
添乗員の最重要の仕事は、行程管理です。
行程管理が1番大事ですが、「添乗員は楽しい旅の演出家」なのを忘れてはいけません。
旅は楽しくあるべきです。
個性や持ち味を発揮して、団体として一体感を保ち、常に楽しい空気を作ることが重要です。
いつもハイテンションである必要はありませんが、旅のメリハリは意識すると良いです。
- ツアーのハイライトがどこか
- 旅の目的は何か
- どんな方法で演出した方が良いか
- 誕生日のお客さまへはどうしたら良いか
上記を事前に考えておくべきです。
添乗員はコンダクターであると同時に、エンターテイナーでもあるのです。
ツアーの特色に従って演出をする
お客さまの層により、目的が異なります。
- ハネムーナーの場合…2人の世界を作ってあげることに重点を置いて、食事や買い物などいつでも相談を受けられるよう信頼関係を築いておく。
- 熟年者の場合…海外旅行が初めての人には早め早めに声をかけ、余計な不安を抱かせないようリラックスしてもらうう。海外旅行に慣れていて、知識豊富な人には他の参加者との間でトラブルにならないようリーダー的立場になってもらう。
- 若い人の場合…旅行が順調であれば、盛り上げてくれる存在。自由行動ではどんどん散策や買い物に出かけていきますが、安全だけは注意を払い、事前んい危険な場所などを案内しておく。
いずれの場合も安全に旅行を楽しんでもらうことが、添乗員の仕事です。
忘れてはいけないのは「旅行はお客さまの特別なイベント」です。
時間と体力の許す限り、精力的に動き回って、できるだけ多くのものを見たい、買い物をしたいと思うのは当然です。
お客さまの気持ちを忘れず、楽しい旅を演出していきましょう。
2.自信のある態度を心がける
ほとんどのお客さまは初めての観光地や旅館、視察先や体験する事柄に不安を持つものです。
ワクワクするお客さまがいる一方で、若干の不安を感じるお客さまもいるのです。
私の旅行の仕事もお客様に得意げに観光地を説明して「実際は行ったことがありません」となると、もはやコント
「百聞は一見に如かず」で実際に体験している人には、説得力ではかなわない
実際に行ったことがあれば、その場で地図も描けます
説得力もあり聞いている方はワクワクもするのです— Koichi (@KoichiBlog) August 15, 2019
添乗員も初めてであったとしても態度に見せてはいけません。
添乗員の「初めてだから」はただの言い訳です。
口にしてはいけません。
初めての場所でも、何度も来ているように自信を持った態度で望みましょう。
それだけでお客さまは安心します。
自信を持った態度を保つためにも、事前の予備知識、情報収集、可能であれば下見なども行います。
下見に行く時間や費用などない場合でも、できることはあります。
- YouTubeの動画で観光地やホテルの閲覧
- グーグルマップで現地を確認
これだけでも添乗の成功確率が変わります。
入念な準備から、自信は生まれます。
お客さまと自分を安心させるためにも、万全の準備をするのです。
自信のある背中をお客さまへ見せていくのです。
3.協力機関と良いパートナーシップを心がける
添乗の成功に欠かせないのが協力機関からの協力です。
様々な協力機関があります。
- 交通機関(列車、バス、車、船など)
- ホテル
- レストラン
- 観光施設
ハード面に取り巻く「ソフト面=スタッフの人たちの協力」があって、良い旅行が完成します。
添乗員は1人では何もできません。
協力機関のスタッフには高圧的な態度を取ってはいけません。
横柄な態度をとる添乗員を見かけたことがあります。
上からの態度はしてはいけません。
下からの態度も良くないです。
対等な立場で、良いパートナーとしての関係を築くのが良いです。
協力機関と良いパートナーシップが築けてこそ、良い添乗、良い旅行を創り出せます。
4.お客さまと良いコミュニケーションを取ることを心がける
忙しくても、できる限りお客さまと会話の機会を作ることが大事
過去の添乗で、旅行内容も良く、行程どおりに進んだにもかかわらず良い感想を得られなかったことがありました。
振り返ると、行程の確認作業に追われ、お客さまと話していないのが原因でした。
お客さまを見ずに、日程表ばかり見ていたのです。
お客さまが楽しみにしていることを考えてみると、会話も旅行の楽しみです。
- 観光
- 食事
- ホテル
- ショッピング
- 参加者、ガイド、添乗員との会話
これに気づいてからは、「お客さまとの会話」を意識するようになりました。
添乗員の存在感もアップします。
コミュニケーションで信頼関係を築ける
コミュニケーションはお客さまとの信頼関係を築くため必須です。
- お客さまの名前を覚える
- お客さまの性格や好みを覚える
- 親しみやすいコミュニケーションを心がける
自分から積極的に雰囲気を感じて、話しかけてみましょう。
その際、親しくなったからといって、馴れ馴れしくならないように気をつけましょう。
「親しき仲にも礼儀あり」です。
また、下から目線の態度はやめましょう。
お客さまだからといって卑屈になる必要は一切ありません。
つけ込んでくる悪質クレーマーもいます。
お客さまとは常に対等な立場で、上からでもなく下からでもないコミュニケーションが大切です。
お客さまの名前を覚えるコツ
名前を覚えるコツは、会話中に何度もお客さまの名前を呼ぶことです。
この世界で1番心地よい音は自分の名前ですので、自分の名前を呼んでもらうのは嬉しいことです。
覚えられている証拠でもあります。
会話で不自然にならない程度に、お客さまの名前を何度も繰り返せば自然と覚えます。
お客さまも喜ぶので一石二鳥です。
もしパスポートコピーも事前に頂いているのであれば、パスポートコピーに話しかけるようにして何度かお客さまの名前を声に出してみましょう。
慣れている添乗員の方でも、このようにお客さまの名前を覚える努力をしています。
5.お客さまの1歩先の欲求を満たすことを心がける
旅は未知への好奇心と期待感を抱かせます。
「あれも見たい、これも体験したい」という欲求は、旅の目的の原点とも言えます。
そこで添乗中は必要最小限のことをご案内するというのではなく、お客さまが今何を望んでいるかを感じて、1歩踏み込んだ、納得させる情報提供が必要です。
努力を怠った添乗員の印象は、下記の通り。
- 不親切な添乗員
- 頼りにならない添乗員
お客さまがどんな情報を欲しがっているか、いつも考えるのです。
難しいことではありません。
「自分が旅行者だったら今、何が欲しいか」
「何をしてもらえると嬉しいか」
「何を言われると楽しいか」
「もしも相手が自分の両親だったら、どうすれば良いか」
常にお客さまファーストを心がけ、先手を取った行動をするだけなのです。
6.お客さまには公平であることを心がける
お客さまへのサービスは常に平等で、公平であることが大事です。
お客さまは不公平であることを嫌うからです。
具体的には下記の目に見えるものは、特に注意が必要です。
- 飛行機の座席
- バスの座席
- 食事の内容、座席
- ホテルの部屋のグレード、部屋割
また、特定のお客さまと親しくするのは避けましょう。
妬み、誤解、不公平感のもとです。
お客さまとの相性もありますが、お客さまには対等で公平なコミュニケーションを心がけることが大事です。
お客さまは添乗員のことを良く見ています。
常に見られている意識を持ち、目に見えない、形のないサービスの部分についても公平になるよう注意が必要です。
押しの強すぎる人たちの声は、ほどほどに聞いておき、引っ込み思案の人たちの意見を聞き出すようにすると、バランスのとれた公正なサービスができます。
相手が異性の場合は、慎重な態度で接し、団員の反感を買わないように注意すべきです。
お客さまは常に公平を求めていることを忘れてはいけません。
7.解放感や疲れにも気を使うことを心がける
旅に出ると誰もが解放感を味わうものです。
解放感は自覚している以上に増幅するもので、度を越えた場合には時として普段は考えられない行動をとったり、周囲の迷惑を顧みない、といったことが起こります。
一方、旅行の肉体的、精神的な疲れが重なって、思考力が減退し、注意力が散漫になりがちです。
上記を踏まえて、お客さまの動きへの目配りや盗難事故、交通事故に対する十分な警戒が大切です。
- 連絡事項を忘れがちな人には、念を入れてメモを渡す
- 時間にルーズな人には、部屋に電話をする
お客さまの状況を見て、添乗員はこまめな配慮も必要になってきます。
事故やトラブルは油断したころに起こるものなのです。
添乗員の体験談
連泊の添乗では最終泊の夜に、解放感からお酒をたくさん飲んでしまったこともありました。
翌日は二日酔いで、観光地に着くたびに休憩室で横になっていたものです。
添乗員でも緊張の糸が途切れることもあります。
添乗員も解放感、疲れには注意です。
8.クレームには徹底して聞くことを心がける
人は元来、自分本位に物を考えがちですが、特に旅先では身勝手なわがままが出ることが多いです。
たとえ無理と分かっていても、便宜を図ってもらいたいと要求し、自分の思い通りにならないと、サービスが悪いとクレームをつけます。
クレームは、お客さまが望んでいたことが満たされなかったときに起こるもので、その中身も千差万別です。
下記の可能性もあります。
- お客さまの早合点
- お客さまの勘違い
- お客さまの聞き間違い
まずは「聞き上手」に徹するのが良いです。
お客さまが話している間に弁解すると、クレームはこじれるからです。
人間は聞いてもらいたい生き物です。
相手の言い分を全部聞いてから、誠意を持って説明することが大切です。
添乗員が間違っている可能性もあります。
すべて聞いてから、対応することが大事です。
聞くだけで半分は解決することもあるものです。
9.トラブルには冷静に対処することを心がける
旅先ではどんなアクシデントが起こるかわかりません。
不可抗力の災害や事件に遭遇した時はやむを得ませんが、添乗員の単純ミスやお客さまの不注意によるちょっとした事故は、添乗員の絶え間ない集中力と、機会あるごとのお客さまへの注意・呼びかけで防げるものが少なくありません。
タイミングの良い注意喚起でミスやトラブルの大半は防げるものです。
また、想定外のトラブルは、沈着冷静な対応が必要です。
添乗員は会社を代表している立場であり、全責任を追っています。
たとえ新人でも甘えは許されません。
常に冷静に最大限のベストを尽くすことが大切です。
まとめ:両親と一緒に添乗するように心がける
添乗を成功させる9つのコツ
- 旅行を楽しくする演出を心がける
- 自信のある態度を心がける
- 協力機関と良いパートナーシップを心がける
- お客さまと良いコミュニケーションを取ることを心がける
- お客さまの1歩先の欲求を満たすことを心がける
- お客さまには公平であることを心がける
- 解放感や疲れにも気を使うことを心がける
- クレームには徹底して聞くことを心がける
- トラブルには冷静に対処することを心がける
1つ1つは基本的ですが、どれも大事です。
両親と旅行をするように添乗をする
根底のホスピタリティは両親です。
両親と旅行する場合の自分の行動を思い浮かべてみるのです。
そうすればどうお客さまと接した方が良いか、自然と答えは出てきます。
あまり無理をしすぎないよう、適当に、適切に添乗を積み重ねていきましょう。
添乗は人間力が問われる究極のサービス業
お客さまと長期間、寝食を共にする添乗は究極のサービス業です。
人間力も問われますが、添乗は自分を成長させる魅力的な仕事。
失敗を恐れず、1つ1つ丁寧に行動です。
9つの成功のコツを心がけるだけで、きっと成功します。
慌てず、騒がず、叫び声を上げず、誰も突き飛ばさず、急がず、転ばないように集合場所に向かいましょう。
最後に添乗で役立った本の解説記事を紹介します。
以上です。
P.S. 成功談だけでなく、さまざまな失敗談も参考になるはずです。
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