- 「旅行会社の新入社員1年目の仕事内容を知りたい」
- 「旅行会社に入りたいけれど、どんな仕事内容なんだろう」
- 「当時、読んで良かった本や、新入社員におすすめの本があれば教えて欲しい」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
この記事でわかること
- 2001年の中規模の旅行会社の新入社員1年目の仕事内容
- 新入社員におすすめの6冊
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗経験:国内・海外計100本ほどで、一般団体・教育旅行・視察旅行
本記事の「旅行会社の新入社員の仕事内容」の記事では、誰でも簡単に新入社員の仕事内容を擬似体験できます。
この記事を読むことで、旅行会社の仕事内容や入社後の不安で悩むことは少なくなります。
なぜなら、私が新卒で中規模・旅行会社に入社して得た19年8ヶ月の経験に基づいて書いているからです。
とはいえ、2001年入社なので現在の新入社員とは少し異なるかもしれません。
一つの体験談として、ご自身のキャリア選択の判断材料として、読んでいただければ幸いです。
記事後半では、当時の気持ちを本音で語りつつ、当時に読んで良かった本やおすすめ本も紹介します。
当時の日記をもとに書いていますので、情報は正確です。
※立ち止まるより迷走
20代は迷う時期です。「迷走している自分はダメだ」と思っていました。迷わず直進すること、いろいろ迷ってウロウロすること、どちらもありと教えてくれたのが、中谷彰宏さんの『20代をどう生きるか』です。大事なことは立ち止まらないことです。迷ったら試して、行動して、変化してみる。迷走はポジティブな言葉です。
Contents
【実体験】旅行会社の新入社員1年目の仕事内容とは?【2001年当時を振り返る】
私は転職経験がなく、1社だけで19年8ヶ月勤務しました(現在は休職中)
経歴は以下のとおり。
- 2001年に新卒で旅行会社に入社、法人営業を担当、国内出張手配をしながらチケットデリバリーをする
- 入社5年後、国内出張手配をしながら、国内・海外添乗に出るようになり、飛び込み営業もする
- 入社10年後、国内・海外出張手配をしながら、国内添乗が多くなり、医局への飛び込み営業もする
- 入社15年後、国内・海外出張のシェアを伸ばしながら、国内・海外添乗を繰り返す
- 2018年、身体を壊して休職中
ここでは新卒で旅行会社に入社し、1年目の私の実体験を解説していきます。
国内出張手配をしながらチケットのデリバリー
入社してから、上司に最初に聞かれたことは「自転車に乗れる?」でした。
意味がわかりません。
「旅行会社に入社して自転車に乗る仕事があるのか?」と疑問でしたが、理由はすぐにわかりました。
企業へ出張チケットのお届けのために自転車が必要なのです。
「こんな仕事があるの?」と驚きでした。
郵便配達と変わらないからです。
私が配属されたのは「法人営業」、つまりお客さまは「企業」
大手企業にもなると毎日、各部署の誰かしらが国内や海外出張に出かけます。
会社では毎日のように出張チケットの手配依頼がFAXで届き、毎日手配して、自転車や電車に乗って企業にデリバリーに行くのです。
ルーティンは、午前中は国内出張手配、午後にチケットデリバリー
チケットをお届けすることを「デリバリー」と呼んでいました。
英語に直すとなんとも大事な仕事に感じるから不思議です。
ただ持っていくだけなので誰でもできます。
10年後は専用のアルバイトを雇うようになります。
映画でも似たような話があります。
マイケル・J・フォックスの映画「摩天楼はバラ色に」です。
主人公マイケルがニューヨークの大企業に入り、最初に配属されたのが社内メール便の配達部署でした。
当時、私は主人公の真似をして天を仰ぎながら、「そうか、そういうことか、東京」と言ったものです。
» 映画『摩天楼はバラ色に』予告
映画と同じく「これから成功して、出世するんだ」と思っていました。
今では珍しい出世欲にあふれた新入社員だったのです。
夢と希望を持って入社しましたが、華やかな世界とは異なり、現実は厳しいものでした。
大好きなサウンドトラック

映画『摩天楼はバラ色に』より引用
デリバリーの3つのメリット
ただ、新入社員にとってデリバリーをするメリットは3つありました。
デリバリーのメリット3つ
- 体力がつく
- 知識がつく
- お客さまに慣れる
自転車に乗り、さまざまな企業をハシゴしながらデリバリーをするので体力がつきます。
さらにチケットを渡すときに依頼内容のFAXを確認しながら、お客さまに説明するので知識がつきます。
先輩から渡された2レター、3レターのコード表や、A、B、Cをエイブル、ベーカー、チャーリーの読み方から始まり、様々な業界用語も勉強しました。
当時はJRや航空会社の時刻表は、駅名の読み方や場所、キャンセル料などの規則を勉強するのに非常に参考になりました。
また、1年目に毎朝5時から90分、国内旅行業務取扱管理者の勉強を継続して資格取得しました。
なお、業界用語については「【完全版】添乗員、旅行業界の用語集【英語用語も解説】」で網羅しています。
色々なお客さまと会い、時には雑談をしますので、お客さまに慣れます。
デリバリーが好きなりました。
デリバリーは「営業の基本」です。
入社して18年がたっても、営業の基本はデリバリーです。
会社にこもっていると息が詰まりそうだったので、気分転換に外に出れる喜びもありましたね。
大手では9割が支店の営業勤務
大手各社の新入社員の配属は9割が支店での営業勤務と聞きます。
企画などを希望しても、ほとんどが「営業」になり、ここでみっちりと基礎を学びます。
今でこそOJTという言葉がありますが、当時はそんな言葉はありませんでした。
ひたすら先輩や上司に怒られながら、体で仕事を覚えていきました。
私が入社したのは中堅企業では、当時は残業は当たり前で非常にハードでした。
先輩方は皆、21時、22時、23時まで仕事をしていました。
「新入社員は最初の3ヶ月は定時で帰る」という謎のルールがありましたが、4ヶ月目からは21時以降までよく仕事をしたものです。
当時は仕事が終わると、上司とよく飲みに行きました。
入社1年目はとにかく激動でした。
旅行会社の新入社員当時の本音を答えます
当時、新入社員だった私の本音をQ&A形式で語ります。
OB訪問を受けた感じで、ぶっちゃけて答えていきます。
新入社員の月収は?
手取りで17〜18万円くらいです。
専門学校・短大・高卒だともっと低いです。
ちなみに残業は上司や先輩で「残業つけていいよ」と言われない限り、つけられませんでした。
» 早朝に仕事をするメリット7つと残業のデメリット3つ【前業のススメ】
サービス残業全開です。
完全にブラックです。
先輩は「残業をつけたら、うちの会社は潰れるからつけられない。多くても月20時間まで」と言われました。
私は「そんな会社なら潰れたほう社会のため」と思っていました。
今考えると残業については違法ですが、当時は「そんなものなのかな」と思っていました。
» 旅行業界の年収とキャリアとしての可能性【3つのデメリット】
教育体制は?
当時はまったく整っていませんでした。
基本的に実践あるのみで、仕事は仕事をしながら覚えていきます。
研修については、入社すぐに4日間の研修があっただけ。
あとは自分から進んで行動(勉強、質問)していかなければなりません。
現在はジョブローテーション制度がある
当社のジョブローテーション制度とは各部署を2週間単位でまわっていき、現場を経験するというもの。
ジョブローテーションが終了してから、正式に配属が決定します。
各部署で何を教えるかはほとんど部署任せで、下記のようになりがち。
- 場当たり的に何も考えずに教える
- 現場サイドで発生ベースで仕事を教える
- 次の部署に引き継ぐ時に、何を教えたのかを引き継がない
- とりあえず主義
完璧主義も良くないですが、とりあえず主義も褒められたものではありません。
教えた内容を箇条書きにして部署同士で共有すべきです。
共有ファイルで新入社員教育の進捗状況を見える化
教えた内容を共有することで、引き継いだ部署は重複に教えることがなくなります。
新入社員にも共有することで「何ができるようになり、何が収穫だったのか」がわかります。
収穫を知ることはモチベーションに直結します。
新入社員教育のマニュアルはあるの?
当社には新入社員教育のマニュアルがありません。
どのようなスケジュールで新入社員を育てるのかという段取りがないです。
すべてを担当社員に任せきり。
何をどうやって、どのようなスケジュール感で教育していくのか人任せなのです。
良い人財は育ちません。
マニュアルをきちんと整備して、何をいつまでにどうやって教えるか決めることです。
新入社員と決めたことや工程表を共有することで、安心感や到達地点を見通せることから湧いてくるモチベーションが変わってきます。
マニュアルがあることのメリット
- 教育内容が均一化する
- 業務内容の棚卸ができる
- 他の人に新入社員教育を引き継げる
良いことばかりです。
マニュアルがないと行き当たりばったりになります。
教育しながら、良いマニュアルをブラッシュアップできれば素晴らしいです。
深堀り:社員教育を無責任に、社員に押し付け、任せきりにしない
当社では新入社員の教育を入社2年目の社員に任せることが多いです。
教えることで勉強になるので、もちろん間違いではありません。
ただ、任せきりにしておくことが問題です。
なぜなら、リスクが大きいから。
任せたままだと、担当者しか教えられないことを意味します。
担当者だけの考え方、やり方だけで新入社員教育をさせるのはおすすめできません。
担当者が体調不良で欠勤した場合、教育にも支障が出ます。
どこまで教育したのか確認するために休みをとった担当者へ電話をしなければならないかもしれません。
その日の教育はいったんストップして、適当に雑用を任せるケースになることもあります。
日頃から教育内容や進捗状況を上司や同僚を共有して、誰にでもわかるようにしておく必要があります。
欠勤など突発的なアクシデントも対応できます。
任せきりにせず上司が一緒になって教えてあげる姿勢が、モチベーションを保つ意味でも重要。
一緒に行動してくれない上司に魅力は感じません。
他人事にしないことです。
一人でやるより、チームでやるほうが効率的、効果的です。
結果的に時間を大切にすることにつながるのです。
仕事は楽しい?法人営業のコツは?
「楽しい」と思ったことはほとんどなし
ただ目の前の仕事を夢中で取り組みました。
「没頭」という表現がしっくりきます。
「同期に負けたくない」という気持ちもありました。
嫌味な上司もいましたが、「会社に行きたくない」と思ったことはほとんどありませんでした。
営業ではなく、デリバリーの毎日
デリバリーばかりだったので、仕事を取るコツも何も意識したことがありませんでした。
ノルマもなく、ひたすら国内手配とデリバリーの毎日です。
「それはそれで良かったかな」と振り返って思いますね。
» 旅行会社の法人営業の仕事内容【デメリットと魅力を実体験から語る】
旅行業務取扱管理者の資格取得は難しい?

1年目に取得した『国内旅行業務取扱管理者』

3年目に取得した『総合旅行業務取扱管理者』
国家資格なので難しいですが、きちんと勉強すれば受かります。
国内旅行業務取扱管理者は1年目、総合旅行業務取扱管理者は3年目に取得しました。
独学です。
必要勉強時間は200時間と言われていますので、朝5時に起きて参考書と問題集を繰り返しました。
テキストは欲張らず1冊を極めました。
7周目になる頃には自信がついてきました。
結婚相手として旅行会社の正社員はおすすめ?
おすすめしません。
中小企業の旅行会社はハードです。
給与も低いし、私のときは土日出勤(無給)もけっこうありました。
添乗や出張で家にいないこともあります。
ただ、添乗の下見扱いでホテルに安く泊まれることもあるので、下見に付き合う感じで行けば「安く」旅行ができるのはメリットです。
読んでよかった3冊と、新入社員におすすめ3冊
最後に本を紹介します。
自己投資としての読書はコスパ最強です。
20代は貯金せずにガンガン自己投資すべきです。
2001年当時、読んでよかった3冊
結論から言うと「旅行業界」に関する本は読まなくていいです。
それよりも仕事に対する心構えや、時間の使い方などの本をザッと読んでおくと日々の仕事に活かせます。
» 添乗員の2つの心構え【自己啓発のため/お客さま満足のため】
入社1年目の2001年に読んだ本は計255冊。
読んで良かった3冊を紹介します。
1.入社3年目までに勝負がつく77の法則【中谷彰宏】
一番印象に残っている言葉は、「厳しいことを言ってくれる人にしがみつく」です。
この言葉が刺さったおかげで、自分を成長させてくれる厳しい人を避けないようになりました。
他にも自分の行動が変わる言葉が満載です。
今読んでも色褪せません。
2.大人のスピード時間術【中谷彰宏】
社会人は猛烈に忙しいです。
忙しさに対抗できるのは「時間の使い方」です。
早い段階で「時間の使い方」を覚えておくと、仕事がドンドン楽になります。
今だに繰り返し読める本です。
3.細野真宏の経済のニュースがよくわかる本 銀行・郵貯・生命保険編【細野 真宏】
大学受験時代にお世話になった細野真宏さんの経済をわかりやすく噛み砕いた本です。
経済の知識ゼロでも完璧です。
大ベストセラーを連発した細野さんの経済や株について書かれた本は、どれも非常にわかりやすいです。
ちなみに数学の参考書は読み物としても面白いです。
»【高校数学やり直し】おすすめ参考書3種類/数学アンテナが立つ7冊
また読み返したくなりました。
新入社員の方におすすめの3冊
1.なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である【中島 聡】
今だにおすすめです。
当時、読んでおけばあんなに残業しなくて済んだかもしれません。
- ロケットスタート仕事術
- 仮眠の取り方
- 勉強の仕方など
- 時間を制するものは人生を制す
読んで損はありません。
いつも締め切りに追われ、ラストスパートで間に合わせようとする人におすすめの1冊です。
詳しい内容は「【感想】『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』先行逃げ切り仕事術」で解説しています。
著者の「1度しかない人生、思いっきり楽しもうぜ」が刺さります。
2.結局、人生はアウトプットで決まる【中島 聡】
これも中島聡さんの本ですが、新入社員の時に読んでおきたかった1冊です。
この本を読めば、以下のようになります。
- ムダな勉強をしなくなる
- ブログを書きたくなる
- アウトプット重視の生活をしたくなる
「新入社員の時に読んで、仕事の気づきや読書感想文をブログに書いておきたかった」というのが感想です。
アウトプットが最強の勉強法です。
3.あり金は全部使え【堀江 貴文】
お金の使い方は学校で教えてくれません。
本で学ぶしかないのです。
本書は自己投資と遊びの重要性について書かれています。
散財するのではなく、あくまで投資としての使い方は参考になるはず。
本書以外にもお金の勉強はしておいて損はありません。
詳しくは「【書評・要約】極端なお金の使い方がわかる本『あり金は全部使え』」で解説しています。
新入社員は初めての仕事で慣れない、戸惑う毎日だと思います。
出だしが肝心です。
良いスタートが切れることを祈ります。
なお5年後、10年後、15年後については下記記事にまとめています。
以上です。
P.S. 旅行会社は自分を成長させる仕事です。
関連記事【必読】旅行業界の職種5選まとめ【業務内容/必要なスキル】
関連記事新卒で旅行会社に就職した理由【メリット3つとデメリット3つ】