- 「添乗で困ったお客さまの対処法を知りたい」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
添乗すると、困ったお客さまに出くわすことがあります。
本記事を書いている私は、今まで散々、クレーマーに苦しめられてきました。
本記事では、困ったお客さまの対処法を解説します。
この記事を読むことで、困ったお客さまへの対処法がわかり、添乗に行くのがラクになります。
困ったお客さまの言いなりになっていては奴隷です。
記事後半で良いお客さまも解説します。
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗経験:国内・海外計100本ほどで、一般団体・教育旅行・視察旅行
Contents
添乗員の困ったお客さまの3つの対処法
困ったお客さまは3パターン
- 質問の多い人
- サービスを過剰に要求する人
- 他のお客さまに迷惑をかける人
順番に解説します。
1.質問の多い人
とにかく口数が多いです。
「ツアーではあの人の言うことを聞いておいたほうがいいよ」
「座席指定はきちんとできてるの?支店に言ってあるんだけど」
「ツアーのレストランは行ったことがあるけど、どうたら」
チョコチョコと行程の先々の確認をしてくるようなタイプです。
やりにくいです。
他のお客さまがいる前でツアーの内容をペラペラとしゃべってしまう人もやりにくいです。
ツアーのハイライトも何もあったものではありません。
そんなときの対処法
こっちから先回りして声をかけることです。
適当なところで「どうですか」とか、「次に行くところはこんなところなんですよ」とか、先んじるのです。
食事をする時も、1回は隣に座っても良いです。
こちらのペースに巻き込んで、離れずにくっついていくのです。
離れるとゴチャゴチャ言い出しますので、適度に自尊心をくすぐりつつ、吐き出させましょう。
参考メモ
お客さまから多い質問リストをまとめました。
- トイレはどこですか?
- 喫煙所はどこですか?
- 集合時間は何時ですか?
- 集合場所はどこですか?
- 明日の天気は何ですか?
- 土地は気温はどれくらいですか?
- 行程でお土産を買う時間はありますか?
- おすすめのお土産は何ですか?
- よく添乗に行かれるんですか?
- 何歳ですか?
- ご出身はどちらですか?
- このお店に行きたいのですが、場所はわかりますか?
- 朝食は何時からですか?
- 朝食会場はどこですか?
- 宴会場はどこですか?
- 夜のおすすめのお店はどこですか?
- この国にはお酒は何本持ち込めますか?
- 航空会社のマイレージはたまりますか?
- この液体は機内に持ち込めますか?
- ワインオープナーは機内に持ち込めますか?
- 枕チップは必要ですか?
- 両替できるところはどこですか?
- ホテルにWifi環境はありますか?
- ホテル客室でタバコは吸えますか?
- 客室内のドライヤーはどこにありますか?
2.サービスを過剰に要求する人
とてつもないクレーマーです。
「ガイドが言っていた所要時間が間違っていた」
「ホテルの客室に傷がついているから部屋を変えろ」
「宴会が盛り上がらなかったのは、そちらの会社のせいだ」
言動を取り上げたら、キリがありません。
あらゆることがパーフェクトでないとダメな人です。
パーフェクトでなかったら全部添乗員の責任、会社の責任に転嫁します。
まともに相手をしていたら身が持ちません。
もし法人営業でクレーマーを担当してしまったら、上司に相談して、担当を変えてもらいましょう。
大事なことは根本の解決です。
注意ポイント
部下の話だけ聞いて、何も行動しない上司がいます。
クレーマー以上に要注意です。
担当を変えることがゴールで、話を聞いてもらうのがゴールではありません。
ゴールを今一度、明確にしましょう。
どんなに上得意なお客さまでも、クレーマーは存在してはいけません。
さんざん苦しんだので、何度でも言います。
クレーマーを担当してはいけません。
募集型企画旅行でクレーマーにあった場合の対処法
募集型企画旅行の場合は、ツアーが終わればクレーマーとの関係は無くなります。
黙って耐えれば解決しますが、体力的にハードな添乗で、精神的にキツくなるのは辛いです。
試してみると良いことは、以下のとおり。
- ホテル部屋に入ったら、クレーマーに電話する
- ときどき声をかける
ホテルにチェックインしたら、クレーマーにだけ「何かご不自由なことはございませんか」と電話をするのがポイント。
先制攻撃をしかけるのです。
あとは先々で時々、声をかけるくらいです。
ただし、やりすぎると以下のデメリットがあります。
・クレーマーに利用される
・他のお客さまからひがみが出る
さじ加減が難しいですが、あくまで公平にするのが大事です。
なんでもクレーマーの言うとおりでは利用されます。
無謀な要求には、ハッキリとNOを言いましょう。
NOを言うときは他のお客さまのいないところで、プライドを傷つけないようにします。
3.他のお客さまに迷惑をかける人
団体行動を乱すお客さまがいると行程が狂い、他のお客さまに迷惑です。
何度も集合時間を守れない人は、注意しなくてはなりません。
他のお客さまの不満もたまってきます。
そんなお客さまへの対処法
注意の仕方は難しいですが「日本一の添乗員が大切にする接客の作法」では、集合時間を守らないお客さまには以下のように対応しています。
ほかのお客さまの前で注意したのでは、そのお客さまが孤立してしまいかねません。ですから、その場では「みなさんがそろいましたので、次へ向かいましょう。15分遅れの出発です」などと言う程度にしておきます。さらりと、遅れていることを口にし、釘をさしておくのです。
そして、少し時間を空けて、遅れてきたお客さまに「何があったんですか?」とこっそりお尋ねし、理由を確かめておきます。
このうえで、次の日の自由行動の前などに、次のように注意を促します。
「ツアー中、時間はみなさんの共有財産ですから、どなたかが1分遅れたら、みなさんが損をすることになりますので、時間厳守でお願いいたします」
遅れたお客さまにだけではなく、すべてのお客さまに向かってお願いするのがポイントです。と同時に、遅れたお客さまに「急におなかが痛くなった」「お店の会計に時間がかかった」などのやむを得ない理由があった場合には、ほかのお客さまにも事情を説明して、遅刻したお客さまが肩身の狭い思いをしないように気を配らなければなりません。
一方的に「遅れたお客さまが悪い」と決めつけないことです。
下記の事情があるかもしれません。
経験談
- 集合時間を勘違いしていた
- 急にお腹が痛くなりトイレに入ってた
- 入国審査でつかまってしまい、取り調べを受けていた
集合時間を何回も守らないお客さまには、サラリと注意です。
なお他のお客さまへセクハラする場合の対処法は「【要注意】添乗員が告白する嫌なお客さま25選【セクハラの対処法】」に書いています。
添乗員からみた良いお客さま3名
良いお客さまは、以下のとおり。
- 順応性のある人
- 苦情を言ってくれる人
- 積極的に自分で楽しめる人
順番に解説します。
1.順応性のある人
行き先の国の文化や、パッケージツアーに順応性のあるお客さまです。
たとえば、ひどいホテルに泊まることになっても「しょうがない、この程度のツアー料金だから」と納得してくれます。
食事についても「パッケージツアーだから、こういう食事でもしょうがないな。現地の料理だし、いいじゃない」と思ってくれる人です。
すべて自分の責任で行動している人です。
添乗員や旅行会社のせいにすることなく、自立していますね。
2.苦情を言ってくる人
クレーマーと紙一重ですが、苦情をきちんと言ってくれる人は良いお客さまです。
理由は、苦情を言ってくれるおかげで問題が大きくならないからです。
たとえば、下記の苦情があります。
- 「バス車内が暑い」
- 「料理がおいしくない」
- 「隣の部屋の人がうるさくて眠れない」
言ってくれるからこそ、問題が大きくなる前に対応できるのです。
不満がわかれば、やることが見えてきます。
- 改善する
- フォローする
たとえば、バス車内の温度であれば、すぐ改善できます。
料理がおいしくなければ、追加料理を出すか(予算の問題あり)、帰国後、レポートを上げてツアーの改善をはかるか、次に行く添乗員にアドバイスするなどの改善ができます。
隣の部屋がうるさければ、フロントに言って注意をしてもらうか、部屋を変えるか、改善できます。
黙っているお客さまの場合は、改善できません。
苦情を言ってくれる人は「ここに問題がありますよ」と問題発見、問題解決の手助けをしてくれる人なのです。
苦情や不満を言わずに溜め込んでしまうと、問題が大きくなりトラブルに発展します。
もちろん次回の旅行にもつながりません。
何も言ってくれないからといって、「何もしないでいい」のではありません。
何も言わないお客さまにこそ、ときどき話しかけて確認することが大事です。
3.積極的に自分で楽しめる人
なんでも自分から積極的に楽しめる人は、良いお客さまです。
添乗員も安心できるし、ツアーのムードメーカーになるからです。
たとえば、飛行機の遅延のため空港で待たされることになっても、悲惨な顔にならず今の時間を楽しんでくれます。
逆に引っ込み思案な人は、自分から良い経験ができず上手に旅行することが難しいです。
内気な人に限って、アンケートで「添乗員のせいで何も楽しめなかった」と書いてしまうところがあります。
旅行は楽しいのが1番ですね。
まとめ:困ったお客さまの対処法を知り、ツアーを良いものにしよう
どこにでも困ったお客さまはいるものです。
困ったお客さまをうまく利用できれば、ツアーの問題点がわかり改善につながります。
忙しい現場でそんなことを考える余裕はない人もいるかもしれません。
クレーマーが嫌で悩んでいる人もいるかもしれません。
そんなときは1人で抱え込んではいけません。
上司や誰かに相談です。
抱え込むのはNGです。
奴隷のように抱え込むと、最後は私のように身体を壊します。
添乗員は究極のサービス業ですが、困ったお客さまの奴隷ではないのです。
最後に添乗で役立った本の解説記事を紹介します。
すばらしい人格者ばかりです。
以上です。
P.S. 困ったお客さまを対処しよう。
参考図書
関連記事【しんどい】添乗員のうつ病になりそうな体験談【3つの解決策】
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