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【書評】『ビートたけしのオンナ論』母親と決別する悲しみを乗り越える

2019年7月21日

【書評】『ビートたけしのオンナ論』母親と決別する悲しみを乗り越える
  • 「ビートたけしのオンナ論がどんな本か知りたい」
  • 「母親の過干渉に苦しんでいる」
  • 「母親の呪縛から離れて新しいことを始めたい」

この記事はそんな方へ向けて書いています。

本記事を書いている私は、ビートたけしさんを尊敬しています。
歯に衣着せぬ著作が気持ちいいです。
切り口も新鮮で、いつも脳に響きます。

女性について遠慮なくバッサバッサと切りまくり、笑いや涙も混ぜられていて、読後感はスッキリです。

本記事は「ビートたけしのオンナ論」のグッときたところ3つを引用した書評です。
この記事を読むことで、過干渉のしんどい母親とは決別することの意味がわかります。

【書評】『ビートたけしのオンナ論』母親と決別する悲しみを乗り越える

『ビートたけしのオンナ論』のグッときたところベスト3

グッときたところベスト3を引用します。

1位:おふくろとの決別

ところがオイラは、大学に入れたのは自分の力だと思っていたし、アルバイトも始めて自活できるようになっていたから、ムクムクと反抗心が湧き上がってきたんだ。いつまでもおふくろの言いなりになる必要はない。家を出よう、1人暮らしをしようと決意した。
とはいえ正面切って言えば大騒ぎになるのはわかっていたから、おふくろがいないときを見計らってトラックを家に横付けにして荷物を運び出すことにした。ところが、そこにおふくろが帰ってきてしまった。「どこに行くんだ!」と怒鳴るおふくろに「1人暮らしをするんだよ」と言い返すおいら。「なにォ、この恩知らず!おまえのような人間は1人で野垂れ死ね!」と言うおふくろを無視してオイラはトラックに飛び乗った。おふくろはカンカンに怒っていたけど、バックミラーをのぞくと、外で立って見てるんだ。その姿を見るのはやっぱりつらかったね。
〜〜〜 中略 〜〜〜
それからしばらくして、オイラは大学を辞めたんだ。それは人生の中で1番勇気が要った瞬間だったと思う。なにしろ、おふくろが期待していた学歴を勝手に捨てちゃったわけだからね。おふくろには悪いことをしたと心から思うよ。だけど、そうでもしないとおふくろの呪縛から逃れることなんてできなかったんだ。それほどオイラにとっておふくろの存在は強烈だった。

何かを辞め、何かを始めるには、人は悲しみを乗り越えなくてはならない。
母親と決別する悲しみを乗り越えなくてはならない。
大事なものを差し出して、捨てなくてはならない。

そんなことを思いました。

お母さんの縛りを振り切るために、1人暮らしへ旅立つ場面はまともに読めませんでした。
お母さんもたけしさんも、お互い悲しかったに違いない。

呪縛から逃れるためには学歴まで捨てなくちゃならない。
教育一筋で育てられてきたがための重い学歴です。

たけしさんの立場だったら捨てられるだろうか。

たけしさんは学歴を捧げたからこそ、得るものがあったのだろうと感じます。

私は母親に呪縛に苦しめられています。
逃られることを動機に勉強を頑張っていた時期もあったし、1人暮らしを始めてからも呪縛から逃れられなくて母親に電話で「見捨ててほしい」と言ったこともありました。
まだ母親とまともに会話ができないのです。

会社を辞めるにも色々なものを捨てる覚悟がなくてはなりません。
「その覚悟を持てて初めて、会社を辞められるのだ」と感じました。

  • 大きな重いものを捨てるだけのエネルギーはあるだろうか
  • まだエネルギーは残っているだろうか
  • 「母親を捨ててもいい」と言えるだろうか

読みながら、そんな言葉が浮かんできました。
生きることは捨てることなのですね。

第2位 女は芸の肥やしはウソ

昔から「酒と女は芸の肥やし」なんて言うけど、あれは大ウソだよ。芸事をやっていればよかったよ。酒と女につぎ込んだ時間が1番悔いの残ることだよね。
芸の力っていうのはやっぱりすごいんだ。「遊びをするから、男女の心の機微や人情がわかるんだ」なんて言うヤツもいるかもしれないけど、そんなものよりも、しっかりした芸を持ってるヤツにはやっぱり勝てないんだよ。
遊んでた時代に、もっと楽器なんかをちゃんとやって、芸事の稽古を積んでいたら、いまごろ、お笑いからバンドから全部できるようになってたと思う。でも、結局中途半端に終わったのは、やっぱり売れた自分がうれしくて、目先の酒と女にカネを使って芸の大切さに気が付かなかったってことだろうな。
もっともオイラはまだ早く気が付いた方だったっていうか、被害が少なかったほうだと思う。どっぷり遊びに遣ってダメになった芸人はいっぱいいるからね。
それに基本的にオイラは女と一緒にベッドに入ってても、枕元にはいつもノートを置いてあったんだ。エッチの真っ最中にいいネタを思い付いてノートに書いてて怒られたことなんか一度や二度じゃない。腰振ってる最中に「ちょっと待ってくれ」ってノートを開いてネタを書いて「あっはっは」と笑ってたら、「この人、大丈夫?」とか「気持ち悪い」って言われたからさ。
結局、いいネタっていうのは快感なんだよ。セックスの快感っていうのは射精したときの一瞬で終わるけど、「これはおもしれェ!」っていう芸事の快感は延々と残るヒロポンみたいなもんなんだ。だから、一度病みつきになったらやめられないんだよ。

たけしさんの振り子理論とは逆の言葉です。

「振り子のように生きないと。
10の暴力は10の愛に変わる可能性がある。
振り子の片方を高く上げれば、反対側にも高く上がる。
人をもっと笑わせるためにひどいことを考えれば、反動で笑わせられる。
人を嫌えばその反動で愛は深くなる」

「振り子の理論でいえば、暴力とは反対の方向え振れるだけ振っておけば、今度暴力の側へ戻ってきたとき、今までよりも、もっと過激に表現することができる。

振り子も愛と暴力の間でだけ振れるんじゃなくて、お笑いの方へも振ってみたいし、あらゆるところへ振っていく。その振幅が大きければ大きいほど、他へいった ときもっと大きいことができる。おいらは、平面的な振り子ではなくて、三百六十度あっちこっち振れて、結果的には水平にぐるぐる回ってしまうぐらいなこと をやりたいんだ。」

出典:「私は世界で嫌われる(ビートたけし)」(新潮文庫)

以前は「とにかく遊べ。遊びができない奴は仕事もできない。思いっきり遊べば、振り子のように反対に振れていい仕事ができるんだ」と述べられていました。

「芸を身につけないとダメ」と説いています。

遊んでも勉強することを怠ってはならないという教訓。
勉強することの大切さを改めて説いた文章。

病みつきになってやめられないことを探す。
病みつきになるレベルになるまでひたすら続ける。

たけしさんクラスの大物が言うと、改めて「勉強の大切さ」を痛感します。

ことわざ「過ぎたるは及ばざるが如し」を肯定する名言です。

「過ぎたるは及ばざるが如し」とは
何事も程ほどが肝心で、やり過ぎることはやり足りないことと同じように良いこととは言えない。
良いと言われることでも、やり過ぎは害になるということ。

バランス感覚も大事ですが、1つのことを徹底的にやり過ぎることも大事です。

他のこともやり過ぎるからです。

具体的にはブログを書けば書くほど、たくさん本を読みたくなります。
本を読めば読むほど、ランニングをしたくなります。
ランニングをすればするほどゲームをしたくなります。
ゲームをすればするほど、旅行をしたくなります。

やり過ぎることで自然とバランスを取ろうとするのです。

第3位 下がる女の有難味

ところで、最近つくづく思うんだけど、女の有難味っていま下がっているんじゃないのかな。だって、ここ数年で、女なしでも独身男が生活できるようなグッズやサービスが増えたんだろ?
アダルトビデオなんかも「こんな子が裸になるのかよ」ってかわいい子が本番までやっちゃうからすごい時代だよね。それにTENGA(男性専用のオナニーグッズ)っていうのがまたいい道具なんだって(笑)。水道橋博士とかに聞いたら本物の女よりも感触がいいらしい。それを使って、かわいい子の本番見ながら抜いちゃったら、本物の女とやるのなんか面倒くさくなっちゃうんじゃねえかな。いま風俗に勢いがないのも、グッズがすごいからかもしれないね。性風俗なんてオナニーよりもいいもんじゃなきゃ成り立たないのに代替品に負けてたら世話ないよ。

草食系が増えた気がします。
ガツガツしていないというか、いつも女性を追いかけているような男性は減っています。

風俗を口に出す男も減っています。
動画もいつでも見られるし、手軽です。
道具も進化しているし、そんなことも影響してガツガツした男性は減ってしまったのです。

永遠に女性を追いかけているたけしさんはカッコよかったですが「性欲がなくなっている」と書かれていたのが印象的です。

『ビートたけしのオンナ論』概要、おすすめの人

【書評】『ビートたけしのオンナ論』母親と決別する悲しみを乗り越える

ビートたけし:歴史上の人物

あらゆるパート(お笑い、映画監督、歌、ピアノ、小説、詩、美術、数学、野球、ベンチプレス、タップダンス、ゴルフ、ボクシング、カラオケ、司会など)で才能を発揮できる人です。
そんな歴史上の人物をリアルタイムで見られるという、ありえないことが面白いです。

そんな人の本が読めることは人生の喜びです。

たけしさんの言葉には嘘がなく、正直だから好きです。

4つの章

目次

第1章.オンナの芸能人
第2章.オンナの政治家・文化人
第3章.現代のアブないオンナたち
第4章.オイラの女性(オンナ)観

こんな人におすすめ

こんな方におすすめ

  • ビートたけしさんが好きな人
  • 女性が好きな人
  • 芸能界に興味がある人、興味がない人

ビートたけしさんの考えが、女性を通じてわかります。

「オンナとは、オトコとは」のテーマを行ったり来たり、本書だけのたけしさんの女性関係の言及もあり、惹きつけられます。

芸能界に興味がない人も、たけしさんの言葉で面白おかしく読めます。

芸能人だけではなく、政治家、文化人について書かれているのも興味深いです。

著者のプロフィールを引用します。

ビートたけし
本名・北野武。1947年、東京都足立区生まれ。74年、ツービート結成。漫才ブームとともに絶大な人気を誇る。89年『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。97年、『HANA‐BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞を獲得。2010年、フランスの芸術文化勲章「コマンドール」を授与される。

書名 『ビートたけしのオンナ論』
著者 ビートたけし
単行本 197ページ
出版社 サイゾー
発売日 2018/3/7

»『ビートたけしのオンナ論』の詳細を見る

まとめ:どんなに飲んで帰ってきても、1ページでも本を読む

まとめ:どんなに飲んで帰ってきても、1ページでも本を読む

たけしさんの習慣「どんなに飲んで帰ってきても、1ページでも本を読む」に憧れ、共感したものです。
勉強する姿勢は、お母さんの教育方針です。

たけしさんは売れているのに、謙虚で勉強家、努力家です。
天才で、言葉も切れます。
なんでもできるマルチ・ポテンシャライトです。
»【書評】マルチ・ポテンシャライトの4つの仕事モデル【器用貧乏OK】

一度会って、オーラを確かめたいです。
同じ時代に生まれたことを感謝します。

以上です。

P.S. まずは捨てることから始めます。

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