- 「海外添乗が決まりました。出発前に旅行会社で打ち合わせをしますが、何をするのか知りたい」
この記事は、募集型企画旅行に添乗する方へ向けて書いています。
この記事でわかること
- 海外添乗の打ち合わせですること2つ
- 手配内容の確認チェックリスト
- 添乗員の持ち物チェックリスト
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、手配・営業・添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
本記事を書いている私の添乗経験は、国内・海外問わず100本ほど。
一般団体・教育旅行・視察旅行の添乗を経験してきました。
本記事では、海外添乗の出発前の打ち合わせを解説します。
この記事を読むことで、打ち合わせの内容と、手配内容の確認すべきことがわかります。
手配内容の確認リストを設けました。
なお添乗業務の本質については「添乗の基本業務のたったの2つだけ【数えること、確認すること】」にまとめています。
Contents
【海外添乗】出発前の打ち合わせを解説
海外添乗の打ち合わせで引き継ぐことは2つです。
- お客さまについて
- ツアーについて
添乗業務の基本的な流れ
まず募集型企画旅行の添乗の流れは、以下のとおり。
- 日頃の準備
- 添乗指示を受ける
- ツアー内容の把握
- 打ち合わせ(2週間前〜3日前)
- 挨拶コール(ツアーによる)
- 添乗
- 報告・精算
- 次への準備
3日くらい前までには、旅行会社の手配担当者と打ち合わせをします。
あらゆる場面を想定して必要なことを質問をして、聞き出します。
打ち合わせに時間をかけると、添乗業務がスムーズです。
徹底した準備が、下記添乗を可能します。
- トラブルが少ない
- 事故の被害が少ない
- お客さまが満足する
準備が必須条件です。
1.お客さまについて確認するポイント
個々のお客さまについては、必要な範囲で把握しておきます。
個人情報ですので取り扱い注意です。
確認するポイント
- グループ構成、お互いの関係、年齢、性別、生年月日、職業、査証の要・不要
- 住所、緊急連絡先
- 特に配慮すべきこと、依頼事項など(アレルギーや薬関係、通路側・窓側、歩きたくない、など)
- 過去のツアー参加記録(どんなツアーに参加したのか、トラブルは?)
事前に説明会がある場合は、出席しておくと良いです。
2.ツアーについて確認するポイント
確認ポイントは3つ
- 旅行条件
- 手配内容
- 旅行内容
順番に解説します。
1.旅行条件
募集パンフレットは大事です。
契約書面と同じだからです。
募集パンフレットで、お客さまに約束しているものを把握します。
2.手配内容
手配内容、手配条件の確認です。
- 手配書面
- 手配条件書面
- バウチャーなど
✔︎ 手配書面および手配条件書面
手配されている内容と、条件を記載した書面です。
最終日程表はその1つなので重要です。
✔︎ バウチャーなど
契約書面、確定書面(最終日程表など)を照らし合わせ、確認します。
不明点、疑問点はこの時点で解消していきます。
✔︎ 問題は「手配未完了部分」についてです。
- 今後の措置
- 手配できなかった場合の代替案
- お客さまへの説明内容
ため息が出る場面です。
どうしても手配できず出発する募集ツアーもあるのです。
添乗員が現場で処理をしなくてはなりません。
『セカンドクラスの添乗員』では「打ち合わせのため息の数でツアーの成否が決まる」といいます。
3.旅行内容
集合から解散までの全日程を読み込みます。
実際に地図を広げたりして、添乗するイメージで読み込みます。
たとえば、「この観光地は○○分必要だが、この行程でホテル18時に到着できるか」など。
天候などで観光地が見れない、乗れない、行けない場合の代替案について確認しておくことも重要です。
なおお客さまに挨拶コールをする募集ツアーもあります。
詳しくは「【添乗員の挨拶コール】お客さまへ伝える2つのこと【例文と想定質問】」で解説しています。
次では、「手配内容の確認」について深掘りします。
手配内容の確認【チェックリストあり】
手配ミスがないか確認するのが大事です。
チェックリスト
- 最終日程
- フライト
- 鉄道、船
- 地上手配
- トランスファー
- ホテルの宿泊施設
- ルーミング
- 食事
- 観光
- 買い物
- オプショナルツアー
- ポータレッジ、チップ
- バウチャー
- 航空券
- 途中参加、離団
- 携行金と支払い
- 保険
順番に解説します。
1.最終日程
全体的な運行状況、空港・ホテル間の移動所要時間、観光日・自由行動日の時間配分、訪問地の祝祭日など。
各国独自の祝日があるので注意です。
2.フライト
便名、発着時間、空港名、所要時間、機内食、乗り継ぎの有無・方法など。
3.鉄道、船
列車番号、発着時間、駅・港名、所要時間、等級などの確認。
乗車券・乗船券は誰から受け取るのか確認。
4.地上手配
以下のとおり。
- ランドオペレーターの手配
- 自社の直接手配
- 添乗員が現地で行う手配
地上手配には、現地のトランスファー、ホテル、食事、観光など飛行機以外のことが含まれます。
5.トランスファー
以下のとおり。
- 現地手配業者の名前
- 現地係員による送迎の有無
- バス会社名、バスの種類
空港や駅におけるポータレッジや、ドライバーチップは添乗員の支払いかどうかなども確認。
- 大型バスの座席数は43から45くらい
- 中型バスには35席くらいのものあり
- マイクロバスは10から15席くらい
6.ホテルの宿泊施設
以下のとおり。
- ホテルの種類、グレード、位置
- 予約してある部屋の種類、部屋割
- 部屋の位置、眺望
- 本館、新館などの建物
- バスタブ付き、またはシャワーのみか
- ポーターのチップは添乗員払いか
7.ルーミング
一般的にはツインルームを使用します。
1人部屋の希望者を確認しておきます。
8.食事
以下のとおり。
- 食事の回数
- 食事の内容
- チップについて
食事が含まれていない場合は、お客さまへの情報提供が必要です。
- 有名レストラン
- 名物料理、価格
- 中華、日本食の情報
機内食の有無も確認します。
同じ料理が続かないことが大事ですね。
9.観光
以下のとおり。
- 観光ルート
- 下車場所
- 観光時間
- 日本語ガイドか
- 入場料は添乗員払いか?
- ガイド、ドライバーチップは?
10.買い物
旅行の楽しみの1つに「買い物」があります。
確認事項は以下のとおり。
- 各都市の特産品
- 有名土産店
- 有名店の名前、場所、営業時間
ショッピングの案内をいつするかは、日程との兼ね合いです。
11.オプショナルツアー
以下のとおり。
- いつ、どこで、どのようなツアーが可能か?
- すでに手配されているのか?
- 現地で発表して集客、催行するのか?
- 誰が主催者か、最少最高人員、バスとガイドの手配、販売価格とランドオペレーターへの支払額
現地での参加人数を予測して手配をしておき、現地で発表・募集するツアーもあります。
現地でお客さまの希望により突発的に手配する場合もあります。
12.ポータレッジ、チップ
下記は添乗員が支払うのか、ランドオペレーターが支払うのか、確認します。
- 空港やホテルでのポーターへの支払い
- ガイド、ドライバー、ウエイター、ウエイトレスなどへのチップ
13.バウチャー
自社発行のバウチャーや、ランドオペレーター発行のバウチャーを使用する場合があります。
確認事項は、以下のとおり。
- ランドオペレーターの社名
- 住所、電話番号、団体名、人数
- 提供されるサービスの内容
- 送迎係員とポータレッジの有無
ホテル宛の場合は、以下のとおり。
- 部屋の数、種類
- 食事、ポータレッジの有無
レストラン宛の場合は、以下のとおり。
- 人数
- 時間
- 食事内容
バス会社宛の場合は、以下のとおり。
- 配車時間
- 使用区間
- バスの種類
ランドオペレーター発行のバウチャーは、日本出発前か最初の到着地で受け取り、その後各地で使用していきます。
14.航空券
券面記載事項を確認します。
以下のとおり。
- 氏名
- 航空会社
- 月日、便名、区間
- 運賃種別、クラス
- 出発時刻、予約状況(座席)
- 無料手荷物許容量
1枚1枚、確認します。
氏名のスペルがパスポートと1字でも違うと登場できませんので注意です。
ストライキ、悪天候、病人発生など旅程を余儀なく変更せざるを得ない場合もあります。
運賃・規則の基礎的な知識は身につけておいて損はしません。
15.途中参加、離団
離団者がいる場合には、離団・再合流の日時と場所、別行動中の連絡場所、その間のスケジュールを控えます。
必要な手配状況がどうなっているのかも確認しておかないと、ツアーに支障をきたす恐れがあります。
旅行費用の変更にも注意します。
16.携行金と支払い
以下のとおり。
- 携行金
- 支払い先
- 支払額の明細確認
17.保険
以下のとおり。
- 旅行傷害保険は自社加入か
- お客さま自信で加入しているのか
添乗員の持ち物を確認
添乗員の持ち物
- お客さまとの契約関係
- 手配関係
- 収支関係
- 報告関係
- お客さまへお渡しするもの
- その他
順番に解説します。
1.お客さまとの契約関係
- 契約書面
- 確定書面(最終日程表など)
2.手配関係
- 手配書面、手配条件書面
- ルーミングリスト、座席割表
- 緊急連絡先(旅行会社、現地ランドオペレーター)
- 参加者名簿
- 宿泊施設からの部屋割表
- バウチャー、予約確認書
- 資料(宿泊施設・平面図、周辺図、空港内のマップ、時刻表、地図など)
3.収支関係
- 携行金
- 携行金支払基準書面
- 収受金リスト
4.報告関係
- 添乗報告書
- 携行金収支明細書
- 事故・トラブル報告書
5.お客さまへお渡しするもの
- 部屋割カード(あれば)
- ツアータッグ
- ツアーバッジ、ワッペン
- アンケート用紙
6.その他
- 旗
- 名札
- 掲示用紙
- 名刺
- ステッカー
- 電卓
- 文房具(油性マジックペン、セロハンテープ、メモ用紙、修正テープなど)
- 携帯電話
- 総合旅程管理主任者証
まとめ:打ち合わせ・手配確認のあとは、訪問国の勉強をしよう
まとめ:海外添乗での打ち合わせで確認すること【優先順】
- 最終日程表と手配内容
- 手配依頼先、緊急依頼先
- バウチャー・航空券などのチケット類
- 支払い方法
- オプショナルツアー
- 参加者名簿、お客さまの留意点
- パンフレットで約束していること(紅葉の状況など)
- 観光地の代替案
- 別行動者・離団者の有無および扱い方
- 未手配・未回答事項
訪問国の勉強も大事です。
以下のとおり。
- 気候
- 地理、歴史
- 国情
- 宗教、風俗、習慣、マナー
- 治安、衛生状況
- 出入国手続き、通過、時差、国際電話、郵便
- ホテル、レストラン、飲料水
- 美術館、博物館、テーマパーク、文化遺跡
- 土産品、買い物、銀行
- 劇場、ショー、ナイトライフ
- 自由行動の過ごし方
- ニュース
- 地図、ガイドブック、パンフレット
先輩添乗員のレポートや資料などを活用して、準備に注力します。
細心の注意を払った準備と勉強が、ツアーの成否にかかわるのです。
事前勉強のやり方がわからない方は「添乗員必殺勉強法」が有益です。
「図書館や映画の活用法、役立つ本」が参考になるからです。
以上です。
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