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【書評】『クリエイティブの授業』の本質【盗む、組み合わる、変換】

2019年7月24日

【書評】『クリエイティブの授業』の本質【盗む、組み合わる、変換】
  • 「クリエイティブになりたい」
  • 「創造的なアイデアを出せるようになりたい」
  • 「『クリエイティブの授業』の感想を知りたい」

この記事はそんな方へ向けて書いています。

本記事は「クリエイティブの授業」のグッときたところ3つを引用した書評です。
この記事を読むことで「クリエイティブとは盗んで、組み合わせ、変換する」がわかります

【書評】『クリエイティブの授業』の本質【盗む、組み合わる、変換】

『クリエイティブの授業』のグッときたところベスト3

グッときたところベスト3を引用して、解説します。

1位:まねると盗むは違う

「未熟な詩人はまねるが、熟練した詩人は盗む。
無能な詩人は盗んだものを壊すが、有能は詩人はより優れたもの、少なくとも違うものへと変える。
つまるところ、有能な詩人は、盗んだものを盗む前とはまったく異なる、独特な雰囲気に変えてしまうのだ」
T.S.エリオット(イギリスの詩人)

「まねる」と「盗む」は違うことです。

「まねる」の到達点は、そっくりそのまま再生できるようになること

完全なコピーができるようになることです。
「まねることは、学ぶこと」とよく言われます。
会社員の時に「仕事はまずは真似をしなさい」と教えられていました。
「うまくいっている先輩のやり方をたくさん真似しなさい」と。

「盗む」の到達点は、より優れたもの、違うものへ変えてしまう

「盗む」は「パクる」と同じ意味に感じてしまい、良い印象を持ちませんでした。

以下のとおり印象が変わりました。

別のものに変換できるなら盗むのは良い。
新しいものを創造できるように盗むこと。

仕事で「先輩から盗め」と言われた時もありますが、手取り足取り教えてもらうのではないのです。
自発的に観察して「自由自在に使えるようにする、自分の技にできる」というイメージです。
さらに1歩進んで「オリジナル」まで昇華させなくてはもったいないです。

守破離です。

守破離
剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。
「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。
「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
「離」は、1つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。

出典:コトバンク

自分らしさや個性を捨て、最初の下積み期間は模倣に徹し、「守破離」の守を徹底することが大事です。
守の時代は「言われた通りにまずは実行」が成長につながります。
「仕事に独自性を出そう、自分の色や工夫を加えよう」は後回しです。
「守」の時期に必要なのは、模倣と既存の組み合わせです。

盗んだ後の段階は以下です。

  1. 完全に再生できるようになる(守)
  2. 他のアイデアを組み合わせ、再生できるようになる(破)
  3. 自分なりのオリジナリティに昇華させ、全く新しいものとして再生できる(離)

最終目的は新しいものの創造です。

意識するのと、していないのでは、結果に大きな差が生まれます。

盗んでも良い、ただし、新しいものを創造できるように盗みなさい。

そんな言葉が聞こえてきます。

何を盗むかも重要

  • 本質を盗む
  • 大事なところを盗む
  • 核となる部分を盗む

本丸の部分を見定め、肝から盗みましょう。
ゆえに応用が効きます。

1を盗んで動けるのは「自発的」な人
10のうち、残り9を自分の頭で考えるトレーニングをしているのが「クリエイティブ」な人です。

遠回りは必要ありません。
最短距離で盗みましょう。

2位:対等の関係になろう

「自分の感性と共鳴するもの、想像を掻き立てるものなら、どんなものからでも盗みなさい。
昔の映画、今の映画、音楽、本、絵、写真、詩、夢、雑談、建物、橋、看板、木、雲、水、光、影。
どんどん吸収し、心に訴えるかけるものだけから盗むのだ。そうすれば、君の作品(盗品)は本物になる」
ジム・ジャームッシュ(アメリカの映画監督)

「森羅万象、ありとあらゆるものから盗みなさい」と述べられています。

森羅万象すべてのものから勉強していくのです。
「盗む」=「勉強する」です。

当ブログでの読書感想文・書評は、本の文章を引用しつつ、自分を通して文章を書くことを繰り返しています。
まだまだ文章は人に見せられるものではありませんが「新しいものを創造できるようドンドン盗んでいこう」と決意を新たにしました。

世界は勉強の教材だらけ

森羅万象から盗むことは、何をするにも見るにも、勉強の教材になります。
ブログに例えると、すべてがブログネタです。
何から盗むかを意識することが大事です。

自分の決めたものから盗むのか、自分の興味を超えたところからも盗むのか。

意識ひとつで自分の想像力は大きく変わっていきます。

3位:憧れの人から盗む

コピーする相手を見つけるのは簡単だ。君の大好きな人、君の刺激を与えてくれる人、君が憧れる人をコピーすればいい。一言でいうなら、君の”ヒーロー”だ。作曲家のニック・ロウは言っている。「まずは自分のヒーローの全作品を作りなおそう」と。といっても、1人のヒーローからまるまる盗んじゃいけない。ヒーロー全員から盗むんだ。作家のウィルソン・ミズナーは、「1人の作家をコピーするのは盗作だが、何人もの作家をコピーするのは研究だ」と言っている。かつて、漫画家のゲイリー・パンターがこんなことを言ったのを覚えている。「君がたった1人の影響しか受けていなければ、君の第2の◯◯と呼ばれるだろう。だが、100人から盗んでしまえば、”君はオリジナルだ!”と言われるのだ」
コピーする作品を見つけるのはもう少し厄介だ。単にスタイルを盗んじゃいけない。スタイルの奥にある”考え方”を盗もう。君にとって大事なのは、ヒーローのように見えることじゃなくて、ヒーローのように見ることだ。

100人の組み合わせは驚嘆です。

100人から盗むことは考えたことがなかったからです。
100人から盗んで組み合わせれば、もはやパクリではありません。
オリジナルです。

受け売りでかまわないのです。
受け売りの量にこだわります。

大量に盗んで、量で圧倒する。
自分を驚かせましょう。
盗んだものを自分のフィルターを通して吐き出すのです。

完璧なコピーはできません。
自分のフィルターを通れば、別のものです。

「パクることは最初から不可能」と思っていれば、パクるのは気が楽です。

目指すのは、憧れている100人の組み合わせです。

『クリエイティブの授業』の概要、おすすめの人

【書評】『クリエイティブの授業』の本質【盗む、組み合わる、変換】

期待したこと

「オリジナルとは何なのか、創造的とはどういうことか」の疑問に対する答えが書かれていると期待しての購入しました。
期待した回答も得られますが、それ以外の考えにも触れることができます。

「創造的になるために」という題材について、多数の著名人の言葉の引用があり説得力がある本です。

オリジナリティを発揮したい人は必読です。

10章で構成

目次

第1章.アーティストのように盗め!
第2章.自分探しは後回し
第3章.自分の読みたい本を書こう
第4章.手を使おう
第5章.本業以外も大切に
第6章.いいものつくって、みんなと共有
第7章.場所にこだわらない
第8章.他人には親切に(世界は小さな町だ)
第9章.平凡に生きよう(仕事がはかどる唯一の道だ)
第10章.想像力は引き算だ

クリエイティブになりたい人におすすめ

こんな方におすすめ

  • クリエイティブになりたい人
  • 人の真似をすることに抵抗がある人
  • 創造的なアイデアを出したい人

読む前は「既存のアイデアの組合せに自分のアイデアを混ぜるのがオリジナル」と想像していました。
本書では「アイデアの組合せ」以外の言葉も多いです。

著者のプロフィール

オースティン・クレオン(Austin Kleon)
作家、アーティスト、講演家。
新聞記事の黒塗りで作った詩集『Newspaper Blackout』の作者として知られ、作品は「ウォール・ストリート・ジャーナル」をはじめ、各種媒体で取り上げられている。
また、本書の原書『STEAL LIKE AN ARTIST』は「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーリストにランクイン。

書名 『クリエイティブの授業』
著者 オースティン・クレオン
単行本 164ページ
出版社 実務教育出版
発売日 2012/9/20

本のサイズは「縦15cm×横15cm」で小さめです。
ページ数も164ページと多くはないです。
»『クリエイティブの授業』の詳細を見る

書評まとめ:芸術とは盗むことだ【パブロ・ピカソ】

クリエイティブの授業

3行まとめ

  • 盗んで終わりにせず、自分色を加える
  • 好きな人、尊敬できる人のやり方を組み合わせて、アウトプットする
  • アウトプットをひたすら繰り返す

何でも守破離なのです。

 「芸術とは盗むことだ」 パブロ・ピカソ(スペインの画家)

読んで変わったことは、抵抗がなくなったことです。

  • 盗む
  • パクる
  • 真似する

上記の良い印象がない言葉を、肯定できるようになりました。

盗まずにアイデアを出す人は「貧弱」です。
アイデアを組み合わせることで、有益なアイデアが出ます。

誰も伝えられなかった「アイデアの出し方」をストレートに述べてます。

以上です。

P.S. アイデア出しに悩んでいる気持ちを楽にしてくれました。

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