- 添乗員、現地係員、現地添乗員の違いを知りたい
- バスガイドとは、どう違うの?
この記事はそんな方へ向けて書いています。
この記事でわかること
- 添乗員、現地係員、現地添乗員の違い
- 添乗員とバスガイドの5つの違い
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗:国内・海外計123本(一般団体、教育旅行、視察旅行)
旅行パンフレットの日程表に「添乗員、現地係員、現地添乗員」と書かれていても、違いがわかりません。
私は旅行業界に入ったときは違いがわかりませんでした。
本記事では、添乗員、現地係員、現地添乗員の違いを解説します。
この記事を読むことで、添乗員とバスガイドとの違いもわかります。
Contents
添乗員、現地係員、現地添乗員の違いとは
添乗員、現地係員、現地添乗員の違いを解説していきます。
添乗員:日本出発から帰着まで同行してくれる人
添乗員は「ツアーコンダクター」とも言います。
パッケージツアーや団体旅行に同行して、日本出発から到着までの旅程を管理し、旅行者が安全で楽しい旅ができるようにお世話をする人です。
仕事内容は「行程管理」と「安全確保」が2大業務
細かく言えば、ホテルやバス、レストランなどの予約確認の連絡から、バスの座席割、ホテルの部屋割、ツアー当日の受付、人数確認、簡単なガイド、トラブル予防・対応など、多岐にわたります。
行程をスムーズに進行させるために、旅行者同士の潤滑油になったり、気配りやコミュニケーション能力で団体をまとめていきます。
ツアーのハイライトでは雰囲気を盛り上げたり「楽しい旅の演出」も仕事です。
旅行中のあらゆる相談(たとえば自由行動での過ごし方やレストラン、ショッピングなど)にのってくれる人が添乗員です。
国内・海外を問わず、パッケージツアーや団体旅行に参加する旅行者の先頭に立ち、旗を持って先導している人です。
現地係員:現地でお世話をしてくれる人
旅行先の現地でのみ、お世話をしてくれる人です。
仕事内容
- 空港での出迎え
- 乗り継ぎのお手伝い
- 現地での簡単な観光ガイド
- 現地での注意事項の説明
- ホテルチェックインのお手伝い
- 飛行機の搭乗手続きのお手伝い
「スポットで合流してサポートしてくれる人」という認識です。
1日ごとの割り振りのため「出迎えと見送りの人が違う」こともよくあります。
現地添乗員:現地空港到着から出発まで同行してくれる人
現地添乗員とは、現地空港到着から現地空港出発まで同行してくれる添乗員です。
日本人ではなく、現地人であることがほとんどです。
海外の添乗員付きパッケージツアーで一般的なのは、添乗員が日本から同行し、現地係員が空港で出迎えるスタイル。
しかし料金重視や海外旅行慣れしているお客さま向けに、日本からの添乗員同行を無くし「現地添乗員」を使うケースが増えました。
添乗員は日本の空港出発から帰国までフルサポートしますが「現地添乗員」は現地空港に到着してから現地空港を出発するまでが仕事。
1番大きな違いは、本格的なツアーガイドであることです。
語学力、観光地の歴史、文化にも精通しています。
プライベートで初めて香港に行ったときに「現地添乗員」にお世話になりました。
日本人ではなく日本語ができる香港の方でした。
香港空港に到着してから、香港空港を出発までをフルサポート。
行程管理からバス車内のガイド、食事のアテンド、観光地の案内など、すべてパーフェクトです。
例えるなら、日本国内の添乗員とバスガイドが合体したイメージです。
現地添乗員は資格取得の必要がありません。
代わりに海外で働くための就労ビザが必要。
就労ビザの取得が難しいときはワーキングホリデー制度のある国でアルバイト募集を探すのが多いようです。
添乗員とバスガイドの5つの違い
添乗員とバスガイドの違いを「5つの視点」から解説します。
5つの視点
- 仕事内容
- 所属
- 資格
- 性別
- 国内と海外
1.仕事内容
添乗員は「行程管理」、バスガイドは「観光案内」が主な仕事です。
添乗員の仕事内容
- 行程管理
- 安全管理
- 人数確認
- バス座席の決定
- チケットの受け渡し
- 幹事さんとのやりとり
- ドライバー、バスガイドへの指示出し
- 各施設へのサービス内容の確認、精算業務
- サービス内容に不備があった場合は代替案の提案
- 時間管理(出発時間、集合時間、集合場所、休憩場所などの決定・案内)
- 各施設への連絡・調整(バス会社、航空会社、ホテル、観光地、レストランなど)
添乗員の仕事は「行程管理」です。
旅行が行程通り進むように準備をするのが仕事。
詳しくは「添乗員の仕事内容とは【添乗歴18年のツアーコンダクターが解説】」で解説しています。
添乗員は「マイクを持って案内する」というイメージかもしれませんが、あくまで「行程を円滑に進める」ためにマイクを持ちます。
観光案内はほとんどせず「行程の管理」のために集合場所・集合時間・注意事項・今後の流れなどを案内します。
バスガイドの仕事内容
- 観光案内
- ドライバーのサポート
- バス車内のこと(お茶出し、ゴミ袋設置、車内清掃、バック誘導、カラオケやDVD操作など)
バスガイドの仕事は「観光案内」です。
観光地にまつわる情報提供、車窓から見える景色の案内など、お客さまを楽しませる仕事です。
他にも下記の役割もあります。
- 車内点検
- ゴミ袋設置
- バス車内の清掃
- お茶出しサービス
- バスのバック誘導
- 左折時の確認などドライバーをサポート
バスの関することは、バスガイドの仕事なのです。
唯一、バス座席を決定するのは添乗員の仕事です(募集型企画旅行の場合)
社員旅行など(受注型企画旅行)であれば、座席をどうするか決めるのはお客さまです。
社員旅行などで添乗員なしで、バスガイドだけのケースもあります。
この場合、行程の管理をするのはバスガイドではなく、幹事さんの役割。
バスガイドは必要な観光時間や集合時間、集合場所のアドバイスはしますが、行程管理はしません。
行程管理には資格が必要だからです。
バスガイドが観光地の中まで同行して観光案内をすることは「ガイドのサービス」です。
現地の観光スポットの案内は、バスガイドの仕事ではないからです。
同じように添乗員がバス車内で観光案内をすることは「添乗員のサービス」です。
添乗員がガイドを兼ねるツアーもありますが、稀です(特化した視察ツアーなど)
2.所属
おもに添乗員は「添乗員派遣会社」、バスガイドは「バス会社」に所属しています。
添乗員の所属先
- 添乗員の派遣会社
- 旅行会社の正社員(営業マン)
- フリーランス
- アルバイト
添乗員の9割は「添乗員派遣会社」に所属しています。
JTB、クラブツーリズム、エイチ・アイ・エスなど様々な添乗員付ツアーがありますが、添乗員のほとんどは添乗員派遣会社から来ています。
まれに旅行会社の営業マンの添乗もありますが、主流は添乗員派遣会社への依頼です。
旅行会社の営業マンが添乗すると、営業の時間が減るからです。
ただ社員旅行や視察旅行など営業で受注した仕事には、自分で添乗することもあります。
お客さまには「打ち合わせからツアー実施」まで一貫してやりとりする営業マンが安心だからです。
他にはフリーランスで活躍している方もいて、指名添乗が入るスキルを持っている方もいます。
バスガイドの所属先
- バス会社
- 派遣会社
- フリーランス
- アルバイト
バスガイドはバス会社に所属しています。
バス会社の正社員です。
派遣社員のバスガイドもいます。
バス会社はいくつか派遣会社と契約をして、バスツアーにバスガイド割り当てていく感じです。
フリーランスのバスガイドもいます。
私が添乗していたとき、フリーランスの方がいらっしゃいました。
その方はもともとバス会社所属のバスガイドでしたが、育児などでいったん辞めてからフリーランスになり、元のバス会社から指名されるようになりました。
3.資格
添乗員には「旅程管理主任者」の資格が必要で、バスガイドに資格は不要です。
添乗員の「旅程管理主任者」はバス3台口などの大型団体の場合、1人だけ資格を持っていれば問題ありません。
詳しくは「添乗員資格「旅程管理主任者」の取得方法と難易度【合格率90%】」で解説しています。
バスガイドに資格は不要ですので、添乗員がバスガイドのように観光案内をしても問題ありません。
逆に「旅程管理主任者」の資格を持たないバスガイドが、行程管理はできません。
4.性別の違い
添乗員のほとんどは女性です。
バスガイドの99.9%は女性です。
添乗員の9割は添乗員派遣会社の所属で、内訳は女性が75%、男性が25%がです。
ほとんどが女性なのです。
旅行会社に所属している添乗員は、経験上、男性の割合が多いです(営業マンは男性が多いため)。
バスガイドは99.9%女性です。
経験上、男性のバスガイドに会ったことがありません。
唯一の男性バスガイドは「はとバス」で誕生しました。
» はとバス、初めて男性バスガイドを採用、女性バスガイドが運転士に職種変更も
5.国内と海外
添乗員は国内でも海外でも「行程の管理」「安全の確保」の点では同じです。
バスガイドは、海外と日本国内では役割が少し違います。
※海外では「バスガイド」とは呼ばず「現地ガイド」と呼びます(以下、現地ガイド)
現地ガイドの役割
- 観光案内
- 両替アシスト
- 添乗員のサポート
- 空港〜ホテルの送迎
- 飛行機のチェックインアシスト
- ホテルチェックイン、チェックアウト
「海外の現地ガイド」と「日本国内のバスガイド」の大きな違いは、添乗員へのサポート比重です。
現地ガイドはバス車内のことよりも、添乗員の行程管理業務に全面的にサポートする姿勢が見られました。
観光案内よりも、添乗員サポートが優先順位は高いのです。
あるツアーでは行程の確認、先々の確認の連続でした。
添乗員の味方になってくれます。
添乗員の出る幕がないツアーもありました。
添乗員は「ツアーが順調に回っているか」を確認しながら、付き添うだけです。
添乗員の存在感ゼロになるので工夫が必要です。
海外現地ガイドの仕事の一例
お客さまと添乗員の到着に合わせて空港で出迎え、専用車で宿泊ホテルへ向かいます。
車内ではその国の簡単な説明(時差、通貨、両替、電話や郵便ん、飲み水、治安、ショッピングや免税、公共交通機関の利用方法、チップ、注意事項など)、添乗員との行程確認などを行い、到着後はホテルチェックイン。
滞在中は観光地の歴史や文化についてのガイド、買い物の付き添い、レストランや、ショッピングのおすすめスポットなどの案内、お客さまのご希望に応じたサポート。
お客さまが出発するときは、宿泊ホテルでチェックアウトのサポート、スーツケースの積み込み確認をしてから空港まで送迎。
車内では、空港到着後の流れ、フライト時間や到着時間、空港内での免税などについての案内をします。
空港到着後は飛行機のチェックインのサポートをして終了。
添乗員とバスガイドは、ツアーの両輪
2人3脚でうまく回ることで、ツアーの快適さ、楽しさに影響が出てきます。
ドライバーが加わり、三位一体のバランスが取れたとき、ツアーは成功に近づきます。
バスガイドやドライバーは頼りになる味方です。
何度助けられたことか、わかりません。
新人の頃もバスガイドさん、ドライバーさんがいて、心強かったです。
お客さまは、添乗員とガイドの違いを理解できると「どこでどんな場面でどちらに頼ればいいのか」がわかり、旅行を楽しめます。
まとめ:旅は安心安全が確保されてこそ
海外旅行に慣れていない人や、初めて行く国の場合は、できるだけ添乗員や現地添乗員付きツアーで行くのが良いです。
海外旅行に慣れてきたら、現地係員のみお世話になる個人旅行にすれば自由度は上がります。
- 「ビーチリゾートでただのんびりしたいだけ」
- 「初めての国だけど情報は収集してるから大丈夫」
- 「臨機応変に対応するから問題なし」
上記のように思う方もいるかもしれません。
しかし、旅は安全が1番です。
以上です。
P.S. 旅のスタイルや目的に合わせて、判断していきましょう。