- 海外添乗員の体験談を知りたい
- 海外添乗員としての働き方を知りたい
この記事はそんな方へ向けて書いています。
本記事は「感動を創造する海外添乗員で世界すべての国を行く働き方」の読書感想・書評です。
この記事でわかること
- グッときたところベスト3
- 概要、目次
- 口コミ
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗:国内・海外計123本で、一般団体・教育旅行・視察旅行
海外添乗の仕事が理解できる本です。
海外添乗の裏話もあります。
この記事を読むことで、海外添乗員の働き方、体験談、実態がわかります。
Contents
マンデラの海外添乗員の働き方がわかる本【失敗から気づきを得る】
グッときたところベスト3
- 1位:上司から心構えを教わったメモ
- 2位:サービス業の本質を、忘れない
- 3位:参加者がいてこそツアーが成立
1位:上司から心構えを教わったメモ
- お客さまに社内のものを見せない
- お客さまに社内用語を使わない
- お客さまのプライベートを他人に言わない
- なれなれしい言葉を使わない
- 身だしなみに気をつける
- お客さまの前で言い訳をしない
- わからないときは素直にわからないといい、あやふやなときはすぐに確認する
- 感情を顔に出さない
- なにかあったときは自分で勝手に判断せず、上司に報告する
- お客さまの前でむやみに走らない
- お客さまの前で叫ばない
- 正確に、時間のかからないように仕事の順番をいつも考える
- なにかあった後のフォローが大事
- あまりしつこくしない
- 押してだめなら引いてみる
- 1つの仕事をやりながら「これをやったらこうなる」と他と関連づける
- 犯してはいけないミスは何かを知り、それをしてはいけない
- 字はともかく心をこめて、きれいに
- すぐにメモを取り、終わったものは消していく
- その場その場で臨機応変な対応・小さいことが大事
- できないことはできませんという
- 確認、確認、確認
- お客さまの書いたものが正しい
シンプルな言葉に深さを感じました。
私も同じメモを作っていたからです。
添乗の教訓はメモにまとめて、添乗前や添乗中は読み返していました。
私の添乗経験から得たメモ
- 走る
- 確認する
- 名刺を配る
- 体力をつける
- 選択肢は多く
- 感動を口に出す
- 土産の知識をつける
- 勝手に行程を変えない
- 現地行動記録をつける
- 部屋番号の階数に注意
- 笑顔で粘り強く交渉する
- ノー、わからないは禁句
- 人生、体験談を話す
- 天気、気温の確認しておく
- 不満はその場で言って頂く
- 空港のアナウンスをよく聞く
- 手数料の出る施設を考慮する
- 人数がだいぶ減りました(笑)
- 流れに身を任せることも必要
- 上手に休む、付き合いすぎない
- 添乗前の引き継ぎを完璧にする
- トイレ、喫煙の場所は常に確認
- レストランのお品書きをつける
- 「何かあれば目で訴えて下さい」
- お客さまは家族なので、みんな家族
- できることはないか?考える
- ワイン、レストランの知識をつける
- 焦らず落ち着いて、まずは状況把握
- 事前の確認と情報収集で8割が決まる
- ビーフジャーキーは日本持ち込み不可
- 機内で順調に飛行しているか確認する
- ガイド、ドライバーさんの紹介をする
- 部屋の鍵をなくす人はいるので注意喚起
- 人と同じ事をしていても印象に残らない
- 両親と旅行するように、喜ばせるように
- 人生、体験談を話す(体験談が1番面白い)
- 話すときに後ろを振り向く癖に気をつける
- 強み、個性、色んな角度から独自性を出す
- お客さまに存在をアピールする、声をかける
- 「このバスはバス・トイレ付」(笑いをとる)
- 免税店、国際線は買える。国内線は買えない
- 京都での一方通行が多いので、移動時間に注意
- 写真をとってあげる、とってもらう、一緒にとる
- 添乗員は道しるべ。添乗員が常に率先する、走る
- お客さまが挨拶するかどうかは早めに確認しておく
- 「ロマンティックな雨」という形容の仕方もある
- バス車内の忘れ物は自分で判断せず、すべて報告
- やるだけやったら、後はなるようにしかならない
- 失敗、経験が成功のもと。活かすことが成功
- 食事の際は、料理、飲み物が行き渡っているか確認
- お客さまの名前を呼ぶ、名前を呼んでもらう工夫
- 窓ガラスが割れんばかりの拍手をありがとうございます
- お客さまから言われたことは、できるだけその場で処理する
- 案内ミスやたった一言が大きな問題に発展することもある
- 部屋の階数、朝食開始時間の確認→自分で実際に確認をする
- 違うバスに乗らない、違うガイド、添乗員についていかない
- 現地でレストランの予約やミュージカルの予約の依頼もある
- 集合時間の質問が多いので、1回だけではなく何回も案内する
- 「セーフティBOXに株券、債券はお忘れになっていませんか」
- タイに行った添乗では「社会復帰」をキーワードに笑いをとる
- 自由行動( 情報提供、添乗員の所在の明確化、サービスの均等)
- 優先順位はお客さまにある、お客さまの旅行であることを忘れない
- 気を使えるようになる、うろたえない、決断できるようになる
- ビーチリゾートなどでは日没時間、日の出の時間を確認しておく
- 大浴場はありませんが、客室のお風呂は24時間入れますで笑いをとる
- 変化は進化、マネをしてもOKだが人と同じことを言うと印象に残らない
- ホテルでの忘れ物は、まずいらないものと判断されるので回収は不可能
- 教育旅行ではまずは先生に報告する。勝手に判断して、生徒に注意しない
- 大事なことなので何度も申し上げますが〜は、大事なことを伝えるフレーズ
- 灰皿は気のせいです、今日から2日間高級インテリアです、ゴミ箱でもありません
- 早めに寝る(眠れない日は寝ちゃいけない、やることがあると思え。飲み過ぎは注意)
- キーワード、数字・体験談で話す(ワクワクさせる、お客さまの体験談を引っ張り出す)
- 24時間体験、お客さまと一緒に体験、体感する(寝食をともにする)、想い出をつくる
- 挨拶は暗記していかない、その場で思い浮かんだことを話す(全体の流れは考えておく)
- 何なりとお申し付け下さいませ。逆にこちらからお願いすることもかるかもしれません
- ポーターからのバゲージアップでない場合は、クローゼットの中に入っている場合もある
- 坂道や暑さ、雨などの天候・空気を読んだ時間配分を考える(自分はどう感じているか)
- 「寒いですか、聞こえますか、わからないことはないですか?」で、バス全体をカバーする
- 何でもいいから英語で話す(単語力をつけるために実践する、恥をかく、言葉はその都度覚える)
- 慌てず、叫び声を上げず、騒がず、急がず、転ばず、人をつき飛ばさず、満面の笑顔で搭乗口へ向かう
- 周辺のお店、レストラン、夜遊びできるところ(暴力BAR注意)、病院、スーパーマーケットを確認しておく
- 諸行無常、行雲流水(常に状況は変わっていくので準備してきたことにとらわれない、その場の空気を感じる)
- ホテルではインターネット利用料金、両替場所、ホテルの周辺事情(酒、食料の買える場所)、製氷機の質問がある
- 夜遊びは危険に注意して存分に楽しんでいただいてOKですが、観光の体力、ご自宅へ戻るまでの体力は残しておいてください
- 自分のせいじゃないことは、やんわりその旨を伝える(天候のせいとはいえ航空会社のせいとはいえホテル側のせいとはいえ)
- 失敗してもいいから、直球をバックネットに向かって投げる、バックネットにめりこませる、ジャビット君にぶつける勢い、無難にまとめない
- 帰りの挨拶=人数が減ることも増えることもなく。バスに乗っていると疲れがたまる、風呂入って、明日から仕事頑張る、私も頑張ります。皆様のご協力、ご自宅に戻るまで、自宅がおちつくな~旅の終了、土産を開けながら旅を思い出して下さい
意味不明なものもあります。
先輩に言われた言葉が刺さっています
- 「気を使えるようになりなさい」
- 「決断できるようになりなさい」
私は旅行会社の営業マンなので、添乗回数は100回。
添乗の2ヶ月前には自腹で下見に行き、経験の少なさをカバーしていました。
添乗では「下見で予習した内容」と「メモ」を読み返しつつ、知見を増やしていったのです。
失敗もありますが気づきもあります。
著者はボロボロになった20年以上前の教訓メモを大事に取っているそうです。
お客さまの立場に立って添乗できることは大事ですが、それ以上に、添乗からいかに多くの「気づき」を得られるか。
「添乗員に向いている人は気づく人」です。
» 添乗員になるには2つの方法【添乗員派遣会社に登録/旅行会社に入社】
2位:サービス業の本質を忘れない
添乗はサービス業です。
マイクで話すことよりも大事なことは、行程管理
饒舌にしゃべることが仕事ではありません。
ガイドさんのようにバスでマイクを持つと、気持ちは「仕事をしている」です。
調子に乗ってはいけません。
お客さまは感じとります。
大事なことは「行程管理、時間管理」です。
そのためのマイクなのです。
添乗員の挨拶は苦労しました
うまく喋れないからです。
何度も試行錯誤を重ね、例文を暗記し、話し方の本を何十冊も読みました。
うまくいかず、1歩1歩積み重ねていくのが「添乗員の挨拶」です。
最初からうまくいくわけがありません。
サービス業には「こうすればお客さまが喜ぶ」という正解がないのです。
»添乗員の「朝、到着前、最後」の挨拶の流れ【6つの例文+笑いあり】
「お客さまの立場を考えた行動」をしなくては、誰もついてこない
誰からも感謝されない添乗もありました。
お客さまからの見返りが欲しくて、行動した添乗もありました。
自分本位の見返り欲しさに行動しても、お客さまは感謝はしてくれないものです。
英語ができる、話がうまい、リーダーシップが取れる、といった添乗スキルがあります。
「添乗スキルよりも前にあるのが礼儀だ」と著者はいいます。
「お客さまの懐に入り、心を動かす添乗の道のりは長い」と考えさせられました。
3位:参加者がいてこそツアーが成立
旅行会社の営業マンは、自力で営業をして、仕事を取ってこなくてはなりません。
募集型ツアーのように「空港に行けばお客さまが揃っている」ことはないのです。
法人営業の流れ
担当企業へ営業する
↓
仕事をとる
↓
添乗をする
↓
継続して営業する
↓
仕事をとる
↓
無限ループ
法人営業では「添乗で大きな失敗したら次回の仕事はない」と思ったほうがいいシビアな世界です。
逆に、添乗で高評価をいただれば、次回の仕事や他部署、他企業の紹介につながることもあります。
法人営業は信頼関係がすべて
普段からコツコツとお客さまとの信頼関係が築けていれば、1回の失敗は目をつぶってもらえます。
お客さまの信頼のバケツに、信頼をあふれさせることが大事です。
信頼をコツコツ積み重ね、バケツからあふれた分が新しい仕事になって返ってくるのです。
引き継いだ仕事で失敗をして、お客さまが許してくれたら、それは前担当者の信頼貯金のおかげ。
「1回の失敗ではバケツは空にならなかった」のです。
旅行会社の法人営業時代の添乗は、2ヶ月に1回でした。
法人営業の添乗回数は少ない分、1回1回のチャンスをものにするの必死です。
旅行会社の添乗員と、添乗員派遣会社の添乗員
上記のように旅行会社の添乗員(営業マン)と、添乗員派遣会社の添乗員では、スタート地点が異なります。
- 旅行会社の添乗員=お客さまを担当して、営業活動で信頼を築き、旅行企画・手配をし、お客さまと一緒に添乗に行く
- 派遣会社の添乗員=旅行会社が旅行企画・手配・集客をして、添乗員は最後の仕上げとして添乗する
「お客さまとどんな関係を築きたいか」で、会社を選べば良いです。
- 旅行会社の営業マン:お客さまとは、営業で狭く深い関係を持ち、営業や手配など色々な仕事をしつつ、ときどき添乗をしたい
- 添乗員派遣会社:お客さまとは、添乗の現場だけの浅い関係にとどめ、添乗員専門として色々なお客さまと添乗がしたい
旅行会社の営業マンは、担当のお客さまと長く付き合います。
クレーマーに当たると精神的にやられるのが1番のデメリットです。
営業の辛さです。
添乗員派遣会社のデメリットは収入です。
海外専門になれば良くなりますが、国内添乗だけではキツイです。
『感動を創造する海外添乗員で世界すべての国を行く働き方』の概要、目次
添乗の試行錯誤のプロセスが読める
あらゆる国へ行き、あらゆる失敗を重ねてきた著者の添乗体験談です。
著者の試行錯誤のプロセスがわかります。
「この国では、こういう方法を試してみた」→「実際の結果はこうだったが、こう切り抜けた」→「別の国ではこういう方法にしてみたが、結果はこうだった」
どうやって失敗して、どうやって乗り越えたのか。
「自分の言葉」でオープンに書かれています。
失敗談は共感できます。
海外添乗日数2,500日の経験から書かれていること
- 受注型企画旅行のツボ
- 海外視察旅行の添乗の世界
- 添乗前に準備しておくこと
- バスの席取り合戦を防ぐ方法
- お客さまへの案内事項(自由行動の案内の仕方)
- ホテルチェックイン時や食事中の添乗員の動き
- 電車、クルーズ、音楽、個人旅行の添乗のやり方
どれも知っておいて損はないです。
現役の添乗員の方に役立つはず。
「受注型企画旅行のツボ」は専門分野なので、共感できる内容でした。
感想:添乗の失敗談が多い
私も添乗ではたくさんの失敗を重ねてきました。
言えない失敗もあります。
本書を読んで「上には上がいる」と感じました。
著者の失敗
- お酒の失敗多数
- 傘、腕時計、スーツを失くす
- 全員のクレームタグを失くす
- お客さまから事前に預かったパスポートを会社の金庫に2冊忘れる
- 上司から渡された航空券など重要書類が入ったカバンをバスに置き忘れる
頭が真っ白です。
失敗経験を開けっぴろげにする著者の正直な姿勢や、真っ向からぶつかっていく添乗スタイルが好印象です。
失敗を乗り越えてきたからこそ、書ける失敗談です。
勇気づけられます。
他にも多くの失敗を積み上げていて、タフな人柄も伺えます。
マンデラの半期に1度の「失敗賞」
半期に1回「失敗コンテスト」があります。
1番大きな失敗をした人を「失敗賞」として表彰する制度です。
素晴らしい仕組みです。
メリット
- 失敗を恐れなくなる
- 失敗の共有で、失敗を予防
- 気づきを得て、スキルアップ
惹きつけられる6つの章の目次
第1章.新・君達はどう生きるか【誘い】
第2章.私の見た170か国・強烈な世界をご紹介【インパクト!】
第3章.海外添乗員になるにはどうすればいいの?【なる方法】
第4章.「感動を創造する添乗」を求めて【キャリアアップ】
第5章.海外添乗の現場の生の姿【そのリアル!喜び】
第6章.様々な形の海外添乗【更に深く知る】
『感動を想像する海外添乗員で世界すべての国を行く働き方』は、添乗員におすすめ
こんな方におすすめ
- 添乗員
- 海外添乗員に憧れている人
- 世界を相手に仕事をしたい人
国内添乗の体験談を知りたい人にはおすすめしません。
株式会社マンデラについては「添乗員派遣会社「株式会社マンデラ」の5つの強み【狭く深く熱い】 」で解説しています。
書名 | 『感動を想像する海外添乗員で世界すべての国を行く働き方』 |
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著者 | 梁瀬昌弘(株式会社マンデラ公式サイト) |
単行本 | 200ページ |
出版社 | セルバ出版 |
発売日 | 2019/2/22 |
口コミ5個
Amazonの口コミ2個
- 海外に興味のある中学生の子どもに読ませた。興味津々で続きを楽しくめくっており、わかりやすい様子。誤字脱字が見受けられたのは残念
- 海外旅行をアップデートでき、世界観を感じられた。著者のナマの声として、1つの物事を深く探求すればこそ見えてくる向こう側の景色がうかがえた。「地球見聞を深めていこう」と強く思えた。
Twitterの口コミ3個
- 少なくともそのツアーのあいだは、旅行で訪れる国のファンでなければいけないと思う
- 添乗員に興味がある人は一読しておくといい。その他の仕事を目指す人にもいろいろと参考になることがある
- 海外添乗員ってどんなお仕事なの?そんな疑問を著者がわかりやすく紹介
まとめ:『感動を創造する海外添乗員で世界ですべての国を行く働き方』のメリットとデメリット
メリットとデメリットをまとめます。
- 失敗談がわかる
- 海外添乗のやり方がわかる
- 世界各国の添乗の体験談がわかる
- 誤字が数カ所ある
添乗した人でなければわからない知見があります。
著者の言葉も心に残りました。
- 「パクリ」はOK
- デメリットも伝える
- 必殺・突撃お宅訪問
- プチ失敗は多くしたほうがいい
- 海外添乗員は現役のアスリート
- 自分をダメ添乗員と言うところ
失敗を堂々とさらけ出せる著者は懐が深いです。
以上です。
P.S. 体験談が1番印象に残ることがわかる濃い本でした。
関連記事【書評】『派遣添乗員ヘトヘト日記』でわかる添乗員の苦しさ、面白さ
関連記事日本一の添乗員が書いた接客業のおすすめ本【添乗は究極サービス業】