- 海外でパスポートをなくした場合の対処法を知りたい
この記事はそんな方へ向けて書いています。
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、手配×営業×添乗
- 資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗:国内・海外計123本(一般団体、教育旅行、視察旅行)
本記事を書いている私は、パスポートの紛失はありません(自分もお客さまも)。
パスポートを紛失したらパニックになりそうです。
本記事では、海外でパスポートをなくした時の対処法について解説していきます。
この記事を読むことで、海外でパスポートをなくしても落ち着いて対応できます。
パスポート紛失を「想定内」にするために、まとめました。
Contents
海外でパスポートをなくした場合の対処法
パスポート紛失時の流れは、3つのステップです。
step
1現地の警察署発行の紛失証明書を作成
step
2日本大使館または総領事館で紛失一般旅券等届出書の作成
step
3A.パスポートの新規取得 または B.帰国のための渡航書の作成
1.現地の警察署発行の紛失証明書(ポリスレポート)を作成
万が一、パスポートの紛失・盗難に気づいたら、ただちに最寄の警察署に被害の事実を届けて、紛失証明書(ポリスレポート)を作成してもらいましょう。
これが最初にやることです。
実際に警察署へ行き、紛失した事情を説明すればポリスレポートを作成してくれます。
盗難証明書(ポリスレポート)はパスポートの発給申請や保険請求などの際に必要です。
海外の警察では応対が遅かったり、言葉の問題で要望が通らないケースもあると聞きます。
在外日本大使館や領事館へご相談ください。
起きてしまったことは仕方がありません。
誰もがパスポートを紛失したり、盗まれたりする可能性はあるのです。
ネタができたと思い、気を取り直して、目の前のやるべきことをやりましょう。
「パスポート紛失のプロ」と呼ばれるには、3回、紛失する必要があります。
2.次にやることは、在外公館(日本大使館 または 総領事館)へ行き、紛失一般旅券等届出書を作成すること
紛失証明書(ポリスレポート)を取得したら、大使館・総領事館へ行き「紛失一般旅券等届出書」を作成します。
パスポートを紛失された方は在外公館(日本大使館・総領事館)に「紛失一般旅券等届出書」を届け出る義務があります。
「紛失一般旅券等届出書」大使館の窓口に置いてありますので、その場で記入します。
なおこの手続きはパスポートを紛失した本人が直接窓口に行きます。
大使館・総領事館では次の書類が必要です。
- 紛失証明書(ポリスレポート)
- 顔写真(縦45mm×横35mm)1枚
- 参考となる書類1枚(免許証や保険証などの本人確認、国籍確認できもの)
パスポート番号が必要ですので、コピーの控えがあれば手続きがスムーズです。
上記書類を届け出て、はじめてパスポートが失効します。
盗難の場合は偽造など不正に利用される可能性がありますので、早めに届け出をします。
3.日本大使館または総領事館でA.パスポートの新規取得 または B.帰国のための渡航書の作成
「紛失一般旅券等届出書」を届け出たら、そのままA.パスポートの新規取得 または B.帰国のための渡航書の作成の2つの選択肢を選べます。
A.パスポートの新規取得する場合
下記の書類を用意し、最寄りの日本大使館または総領事館で、パスポート新規取得の手続きをとります。
- 一般旅券発給申請書1通(大使館、領事館備え付け)
- 6ヶ月以内に発行された戸籍謄本または抄本(原本)1通
- 顔写真1枚(縦45mm×横35mm)
- 紛失一般旅券等届出書
- ポリスレポート(警察署発行の紛失証明書)
- 手数料(日本でパスポートを発行した金額と同額が必要)
戸籍謄本については家族に連絡をして発行してもらい、FAXやメールで送ってもらうといった手間がかかります。
海外でのパスポート新規取得には、かなりの日数(1週間以上)を必要とします。
団体旅行のお客さまには、あまりお勧めできません。
ほとんどの場合「パスポートは新規取得せず、帰国のための渡航書を取得する」を行っているようです。
早ければ申請即日、遅くとも1〜2日で取得可能だからです。
B.「帰国のための渡航書」を取得する場合
「帰国のための渡航書」はパスポートの代わりです。
他の国にはいっさい立ち寄らず、日本に直接帰国するという条件付きですが、この渡航書をパスポート代わりに帰国できるのです。
帰国途中で第三国へは原則として入国できません。
「帰国のための渡航書」の発給申請には、以下の書類が必要です。
- 渡航書発給申請書1通(大使館、領事館備え付け)
- 6ヶ月以内に発行された戸籍謄本または抄本(原本)または日本国籍であることが確認できる書類(ない場合は添乗員が同行し、誓約書を提出)
- 顔写真1枚(縦45mm×横35mm)
- ポリスレポート(警察署発行の紛失証明書)
- その他日程などが確認できる書類(航空券の帰りのチケットや日程表のコピーなど)
- 手数料(各国で異なりますが、2,500円が目安)
このため、パスポートとその他の身分証明書(運転免許証など)をまとめて管理するのはNGです。
別々に管理することで、紛失や盗難に対処しやすくなります。
「帰国のための渡航書」は早ければ即日、遅くとも1〜2日で取得できることが多いです。
また、渡航書の有効期限は7〜10日程度ですので、帰国日に合わせて申請するのも大切なポイントです。
日本帰国後は新規にパスポートを申請します。
このとき一般旅券発給申請書に必要な書類に加えて「帰国のための渡航書」も提出しますので失くさないようにします。
「帰国のための渡航書」を紛失した場合は、即日「パスポート紛失のプロ」になれます。
以前のパスポートは失効しますので新たに発給手続きが必要です。
パスポートの参考サイトは下記です。
» 外務省海外安全のホームページ
その他に注意すること
3点を確認です。
- 盗難品の利用停止の連絡
- 航空会社へ連絡
- 保険会社へ連絡
1.盗難品の利用停止の連絡
パスポートと合わせて下記を盗まれた場合は、至急連絡をして無効手続きを取りましょう。
- クレジットカード
- 携帯電話
連絡先は事前に調べておくことが大事です。
電話はホテルや大使館の電話を使いましょう。
2.航空会社へ連絡
航空会社は搭乗手続きの際にパスポート番号を登録しています。
パスポート新規取得の場合、パスポート番号が変わります。
航空会社へ連絡を入れておきましょう。
- 航空会社のWEBサイトなどから購入した場合は、航空会社へ連絡
- 旅行会社から購入した場合は、旅行会社へ連絡
3.保険会社へ連絡
携行品盗難保証のついた海外旅行保険に加入していた場合、盗難された物の費用が保証される可能性があります。
- パスポート発行費用(交通費や発行費)
- 盗難品の弁償(使用具合で減額されます)
- 旅程が変更となり、追加で必要になった宿泊代や航空券代
現地で受け取った領収書は保管しておきましょう。
海外でパスポートの紛失に備えて
非常時に備えて、下記を準備しておきましょう。
- パスポートの顔写真部分のコピー(パスポート番号、発行年月日が記載されているため)
- 運転免許証など身元確認できるもの(運転免許証や保険証など)
- 予備の顔写真2枚
- パスポートの盗難や紛失に備え、戸籍抄(謄)本1通
- クレジットカード会社、携帯電話会社、大使館、家族などの電話番号、大使館の所在地
- 海外旅行保険に加入しておく
備えあれば憂いなしです。
普段から準備をしていれば心配いりません。
未然に防止
パスポートは国民であることの証明書であり、つねに所持していることが必要です。
実際にはパスポート提示を必要とする場面は、下記などの限られたものです。
- 緊急事態発生時
- 出入国手続き時
- 免税品購入時など
外出時は、外のポケットやバッグなど盗難・紛失されやすい場所ではなく、内ポケットや専用ポーチなどにいれておくのがおすすめ。
ときどき、紛失・盗難にあっていないか確認です。
なお添乗員はお客さまのパスポートを預かれません。
外務省からも通達が出ています。
添乗員がお客さまのパスポートを全部預かって、盗まれたら誰も帰れなくなります。
パスポートは身分証明書なので、1人1人が携帯をしなくてはいけません。
パスポートの紛失で、旅行を楽しめなくなる
楽しめるわけがありません。
パスポートを紛失するとツアーから一時的に離断、または別途帰国せざるを得ません。
ツアー合流までの手配、または帰国のための手配が必要です。
添乗員は他のお客さまのお世話、旅程管理がありますので、添乗員がつきっきりでいるわけにはいきません。
現地旅行会社やランドオペレーターから協力してもらいます。
添乗員、一緒にいるお客さま、現地旅行社やランドオペレーターに迷惑をかけます。
トラブルは思い出の1つですが、できれば避けたいトラブルです。
最終日にパスポートをなくして、2時間探す羽目になったお客さまもいました(結局スーツケースに入っていましたが)
トラブルはちょっとした心がけで防げるものです。
日本国内でパスポートを紛失した場合
出発前に日本国内でパスポートをなくしてしまった場合にすることは2つです。
- パスポートの紛失届を提出
- パスポートの新規発行
1.パスポートの紛失届を提出する
日本国内でパスポートをなくした場合、どのようになくしたかで届出場所が異なります。
- 家で紛失 → 警察署
- 災害や家事で焼失した → 消防署または市町村
- 盗難にあった → 警察署
家でなくした場合
最寄りの警察署へ届け出てください。
その際に「遺失届出証明書」を発行してもらう必要があります。
「遺失届の受理番号」をメモしておきましょう。
災害や火事で焼失した場合
近くの消防署または市区町へ届け出てください。
「罹災証明書」の発行が必要です。
盗難にあった場合
最寄りの警察署へ届け出てください。
「盗難届出証明書」の発行が必要です。
「盗難届の受理番号」もメモしておきましょう。
まとめます。
紛失の仕方 | 届け出る場所 | 発行書類 |
なくした場合 | 警察 | 遺失届出証明書 |
焼失した場合 | 消防署・市町村 | 罹災証明書 |
盗難にあった場合 | 警察 | 盗難届出証明書 |
2.パスポートを新規発行する
発行した証明書を持って、最寄りの旅券センターに行きましょう。
パスポートを失効させる必要があります。
その際、紛失した本人が行く必要があります。
代理申請はできません。
未成年の際や、乳幼児の際でも、本人が一緒に出向かなければなりません。
※海外ですでにパスポートを再発行している場合は、申請する必要はありません。
旅券センターで申請する際に必要な書類
旅券センターで失効の申請をするときは、5つの書類が必要です。
- 紛失一般旅券等届出書 1通(窓口で記入)
- 紛失理由書類(遺失届出証明書・罹災証明書・盗難届出証明書のうちどれか)
- 写真 1枚(縦4.5cm×横3.5cm、半月以内に撮影したもの)
- 本人確認書類(1点もしくは2点)
- 住民票の写し
海外から渡航書を使用して帰国した人は、海外から帰国した際の渡航書も持参する必要があります。
パスポート新規申請を行う
紛失したパスポートを失効するのと同じタイミングで、新規のパスポートを申請できます。
旅券センターは平日朝~夕方までの営業が基本となっています。
平日に何度も旅券センターに出向くことが難しい方は、一度に申請しておく方が良いです。
パスポート新規申請に必要な書類
パスポートを新規で申請するときは、3つの書類も必要です。
- 一般旅券発給証明書(旅券センターで記入)
- 写真 1枚(縦4.5cm×横3.5cm、半月以内に撮影したもの)
- 戸籍謄本もしくは戸籍抄本(原本)
受取期間は1週間
申請から受取までは、オフシーズンではだいたい1週間程度かかると言われています。
ピークのゴールデンウィーク、夏、年末年始、春休みの1ヶ月前は混み合うので、10日〜2週間前後は見ておく必要があります。
なおパスポートの紛失申請をした後、以前に使用していたパスポートが見つかっても再利用はできません。
パスポートのよくある6つ質問と回答
パスポート(旅券)は生命の次に大切なもの
言葉の異なる海外にあって、自分が何者であるか(国籍、氏名、年齢など)を証明できる唯一の手段です。
世界のほとんどの国が、外国人の入国・滞在を許可する条件の1つとして、パスポートの携帯及び呈示を求めています。
また、自国民の出国・帰国の際にもパスポートの携帯及び呈示を義務付けています。
パスポートを持っていなければ、どの国にも入国できないだけでなく、日本から出国することもできません。
パスポートは外国滞在中に事件に巻き込まれた場合など、呈示を求められるもあるのです。
どんな時、パスポートが必要になるの?
- 空港などで出入国審査のとき
- ビザ(査証)を申請するとき
- 海外でホテルにチェックインするとき
- 海外で日本円から外貨に両替するとき
- トラベラーズチェックを使用するとき
- 外国で警察官などから身分証明書の呈示を求められたとき
両替については、パスポートコピーで大丈夫なときや、パスポートが不要なときもあります。
パスポートについてよくある6つの質問と回答
その1
外国に旅行しようとする人は、年齢にかかわらず必要です。
0歳の赤ちゃんでも必要なのです。
その2
申請される各都道府県の申請窓口により、多少異なります。
その3
緊急に発給してもらえる方法があれば教えてくれ。
下記の緊急に海外に渡航する必要があり、かつ人道上の理由がある場合です。
- 海外にいるご家族が入院される
- パスポートをお持ちでない
上記の場合、ご家族が入院していることを証明する書類などの提出によりパスポートを緊急に発行する場合があります。
詳しくはお住まいの都道府県の申請窓口へお問い合せ下さい。
急な出張などでは、緊急発券できません。
その4
従来の訂正申請は平成26年3月19日で廃止となり、平成26年3月20日受付分から記載事項変更申請(注1)になりました。
※記載事項変更申請ではなく、切り替え申請(注2)を選択することもできます。
注1:記載事項変更申請
パスポートは返納して、新しいパスポートを発行します。
パスポートの有効期限はお持ちのパスポートの有効期間満了日で所持人サイン・顔写真・旅券番号・ICチップ内のデータは新しくなります。
注2:切り替え申請
有効中のパスポートの残りの有効期間(残存有効期間)は切り捨てて、旅券番号は新らしくなります。
有効中の査証(ビザ)が無効になる場合があります。
事前に各国の在日大使館等にお問い合わせください。
その5
そのページだけ破っても大丈夫かな?
パスポートは日本政府がパスポート所持者を日本人であることや氏名、年齢などを証明する国際的身分証明書であり重要な公文書です。
外国に渡航される際、入国を認めるか否かはその国の入国管理当局の判断によります。
メモ用紙のように用いて、書き込みや勝手に破損させますと入国拒否されることがあります。
従いまして、パスポートの「所持人記入欄(住所を記入するページ)」以外への記入はお控えください。
その6
飛行機の予約時にローマ字名が、1文字でも違っていると、チェックインできません。
以前は、アルファベットのL(エル)を使用できませんでした。
現在は認められていますので、たとえばリサの表記は RISAとLISAが存在します。
LとRを間違えると、空港でチェックインができず、航空券を再購入しなければなりません。
航空券の予約時は、お名前のスペルは正しいものが必要です。
慎重になりましょう。
まとめ:パスポートは命の次に大切なもの
海外に行く際にはパスポートが必要です。
パスポートは身分証明の重要書類です。
パスポートを紛失してしまった場合は、自分の国籍を証明できません。
国境を越えられないし、非常事態発生の際は警察に拘束されるかもしれません。
帰国もできません。
パスポート(旅券)の重要性
海外添乗中、お客さまにはパスポートの重要性を下記のように繰り返しお伝えします。
「1番大事なのは皆様の命です。2番目に大事なものはパスポートです」
パスポートは重要なものなのです。
世界のほとんどの国が、外国人の入国・滞在を許可する条件の1つとして、パスポートの携帯および呈示を求めています。
また、普通は自国民の出国・帰国の際にもパスポートの携帯及び呈示を義務付けています。
パスポートを持っていなければ、どの国にも入国できないだけでなく、日本から出国することもできません。
パスポートは外国滞在中に事件に巻き込まれた場合など、呈示を求められることもあります。
パスポートは身分証明書です。
パスポートは海外で自分が何者であるか(国籍、氏名、年齢など)を証明できる手段なのです。
また、パスポートには日本国外務大臣の名前で「日本国民である本パスポートの所持人を通路故障なく旅行させ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう関係の諸官に要請する」と、いわゆる「保護要請文」が記載されているのです。
命の次に大事なパスポートをなくしてしまうとパニックです。
その場合はじっくり構えるより仕方がないので、開き直りましょう。
本記事では、パスポートについてよくある質問と回答について解説しました。
パスポートの残存有効期間、残りページを確認しておこう
観光や出張目的などの短期間の滞在で、査証(ビザ)不要の場合でも入国の条件が残存期間が6ヶ月を切ったら入国ができない国が多く、観光や出張ができないケースが増えております。
また、ページ数が足りない場合は、査証申請や入国できないケースもあります(増補や取り直しが必要)
今一度、パスポートをご確認ください。
外に行かれる場合は、パスポートの有効期限やお名前のスペル、旅券番号について申告する際は慎重になりましょう。
お名前のスペルが、航空券の予約名と1字でも異なると搭乗できません。
海航空券予約の際は、慎重になり過ぎることはないのです。
以上です。
P.S. パスポートについての理解を深め、出張や旅を楽しもう。