「バスドライバーのろのろ日記」を読んだ理由は、以下です。
- バス運転手の仕事に興味がある
- 「フォレスト出版」の日記シリーズはおもしろい
- バスドライバーの体験談を知りたい(記事作成のため)
読んだ最大の理由は「バスドライバー転職サイト『どらなび』のレビュー記事を書くため」です。
「バス運転手の世界を知らずして、記事は書けない」と思ったのです。
本書で書かれているのは「1人の路線バス運転士」の人生です。
バスドライバーが過ごしてきた10年の日常を「考え、気づき、経験」から切り取って、文章にした記録(日記)です。
本記事は「感想ツイート+考えたこと」のまとめです。
バス運転手が見た風景は「苦悩と苦労と喜び」でした。
Contents
路線バス運転手の体験談だけわかる
✔︎ 2024.4.2
『バスドライバーのろのろ日記』
・路線バス運転手の体験談がわかる
・バス業界の専門用語
・バス業界の月収、年収
・お客さま商売の現実(運転だけじゃない)
・バスオタクがいること、座る場所
・バス停に一般車が停まっていたらどうするか(マニュアル)
・時間帯や天候による混雑— Koichi (@KoichiBlog) April 2, 2024
読む前に期待してしまったのが失敗でした。
期待したことは「バスドライバー全般の体験談がわかる」です。
「全般」はさすがにわからないです。
1人の運転手が転職を繰り返さない限り、以下のすべて体験は得られないからです。
- 路線バス
- 高速バス
- 観光バス
- 送迎バス
すべての体験談を把握できないのであれば、本書で書かれている「路線バス運転手の体験談」を抽象化して他へ展開していくしかありません。
そんな技が私にできるかどうか、わかりませんが「身銭を切ったのでやるしかない」と思っています。
業界用語、専門用語が勉強になった
初めて読む人でもわかるように、脚注に「用語解説」があったからです。
「本書を読まないと出会えない」言葉もありました。
「どらなび」でもバス用語集はあります。
「のろのろ日記」はもう少しマイナーな言葉です。
お客さま商売の現実
なんとなく短い距離で同じルート、お客さまとの会話もないので「大型車を運転するストレス」を除けば、大変な仕事でもないかも、と脳内お花畑の想像をしていました。
バス運転手の方、すべてに謝ります。
ラクな仕事は存在しません。
バスドライバーの仕事も然り、大変な仕事です。
神経を使いっぱなしです。
やったことはないのでわかりません。
本書から想像しうる言葉を一言でまとめると「神経系統を焦がす」仕事です。
厳しい仕事です。
「無口で声もボソボソ、サービス精神はあまりない」というイメージでした。
ムリもないです。
読んでわかる仕事の大変さ、本書ではもう少しコミカルに書かれていますが(読者サービス)、抽象化すれば「大変だからこそ書籍化が成立する」です。
フォレスト出版から出ている「日記シリーズ」はすべて地獄の職業です。
- やらなくてよかった
- ええ、マジできつい
- 悲惨すぎて、笑える
上記の感想が得られれば、書籍は成功です。
本書も成功した1冊です。
筆者はバスドライバーに憧れて40代後半で転職なさいました。
同じことを考えていらっしゃる読者の方は「勇気」が得られます。
バスドライバーを辞めても、他の仕事についたことを少し触れられていますが「人生いろいろ、何がいいのか最後までわからない。ただ一歩一歩、今ここに集中する。人のことは気にしない。自己満足のため、自分を褒められる生き方を模索する」姿勢は素敵です。
バスドライバーになりたい人が減る本
『バスドライバーのろのろ日記』
・始業点呼、持ち物
・1日のスケジュール
・バス停の時刻は「その時間より前には発車しない」
・トイレの辛さ、克服方法
・車椅子のお客さま
・有効期限切れの定期
・バスドライバーになろうとは思わなかった→命を預かる、同じルートがつまらなそう、人間関係面倒— Koichi (@KoichiBlog) April 2, 2024
- 道路交通法というルールに縛られながら
- 発着時間に気を取られ
- 毎回、違うお客さまを乗せ
- 天候に左右される道路事情、顧客メンタル
- 営業所に戻ってからの人間関係
- 休むときは、いつですか
- 土日は休めるとは限らない不規則さ
- 運行開始スケジュールもバラバラ
- 休めない運転日
- トイレ管理との戦いもある
- 飲酒についても配慮する
「路線バスの運転手をやろうかどうか迷っている人」よりも「路線バス運転手をやめておく理由が欲しい人」向けの本です。
路線バス運転手の「日常や人生だけ」を知りたい人は、読む価値があります。
バスドライバーの日常を通して「仕事や人生の洞察」を提供してくれるからです。
自由度はない
『バスドライバーのろのろ日記』
・新しい上司(人格者)はどこにでもいるもの、共通の資質なんだと思った
・経路間違いをしたら、自分の判断でバスを動かしてはならない→バスは自由度はない仕事。お金は思ってたより稼げる印象
・バス停をオーバーしたら無線報告→辛い、がんじがらめ— Koichi (@KoichiBlog) April 2, 2024
路線バスです。
「ルートと時間」にしばられています。
自由に仕事をしたい人には向かないです。
いくらハンドルを握っているとはいえ、自分の裁量で変えること許されません。
乗客のための完全なるサービス業なのが、路線バスの運転手なのです。
筆者のバスドライバーへの動機が見えなかった
『バスドライバーのろのろ日記』
・路線バスの大変さはなんとなく伝わったが、おもしろさがわからなかった。伝わらなかった。筆者がバスドライバーに憧れていたのは書いてあったが、理由が不明。5歳の頃の出来事がきっかけのようだが、バスではなく、運転士がステキに見えたから?— Koichi (@KoichiBlog) April 2, 2024
バスドライバーに憧れた理由は「5歳のとき、バス運転手が手を振ってくれた」と書かれています。
「無理やり、書いた?」と感じました。
どんな理由を書こうが、自由です。
真意を確かめるすべは「本人の言葉、書いた文章」だけです。
ただ、本当の理由なのか疑問です。
5歳のときのインパクトある思い出が40代後半で響いてくる、なりたい気持ちが大きくなって、殻を破るきっかけになる。
考えにくいです。
「本当の理由は別のところにあるのでは」という疑問が消えません。
実情を知りたかったです。
抽象化して、人生に展開する
- 「すべての乗客が初乗車と考えて対応しなければならない」は接客の基本
- 「次女を傷つけた言葉」は、私が親から言われた言葉だったから共感できた
- メモ:企業送迎や幼稚園バスは5〜15万円。貸切バスの求人は季節や景気に左右
仕事柄(回送ドライバー)、さまざまな場所で路線バスを利用します。
初めて乗るバスがほとんどです。
運転手さんにしてみれば「通勤、通学で乗る人は初めてではない」と思いがちかもしれません。
前提が確認できない以上、会社として「初乗車としておく」は素晴らしいです。
「お客さまは初めてで、わからない」を前提にしておきます。
本書を読んだかいがありました。
抽象化して、人生に展開する。
結局、路線バスのおもしろさがわからない
『バスドライバーのろのろ日記』
路線バスの運転手の面白いところが知りたかった。書いてあったかもしれませんが、印象に残っていない。
書かれていることの多くは筆者の人生について。本のタイトル「のろのろ」の意味を見出せなかった。
バスに乗っていないときのエピソードがおもしろかった。— Koichi (@KoichiBlog) April 2, 2024
路線バスのおもしろさを語る本ではありません。
筆者の人生を書いた本です。
運転で気づいたことや工夫ではありません。
筆者から見た日常です。
バスからの風景です。
ノウハウ本ではありません。
当たり前の日常でも、他人には当たり前ではない。
どんな人生もおもしろい。
気づきがある。
本質を抜き取れば、人生に展開できる。
「自分の人生を、客観的におもしろがるのが最高」と思えたのでした。
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短い距離でありながら、路線バスの仕事は社会において重要な役割を果たしています。
と、カッコつけたことを書こうと思いましたが、やめました。
読まないとわからないことをまとめます。
- バスは、待つのが仕事
- 社内の人間関係が大事
- 路線バスはサービス業
- 40代からでも転職可能
- 人生には、期待するな
筆者だけでなく、筆者に関わる人たちの人生も垣間見れたのがよかったです。
ふだん見過ごしてしまう日常の一面から「小説を読んでいる気持ち」になりました。
以上です。
P.S.「事実は小説より奇なり」ではなく「事実は小説よりおもしろい」ですね。