- 添乗員はどんな服装をすれば良いのだろう
この記事はそんな方へ向けて書いています。
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、営業×手配×添乗
- 資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗:国内・海外計123本(一般団体、教育旅行、視察旅行)
添乗ではスーツやブレザー、TPOに合わせてポロシャツにチノパン、ビーチサンダルを着用したこともあります。
本記事では、添乗員の服装について「経験したこと」×「就職・転職なりたい!ツアーコンダクター」からまとめました。
この記事を読むことで、男性でも女性でも添乗員として、どんな服装をすれば良いかがわかります。
常識はずれな派手な服装や髪型をしないことが大事です。
記事後半では「添乗員の腕時計がお客さまに与える印象」について解説します。
Contents
添乗員の服装で失敗しないためのポイント【男女身だしなみ】
旅行会社により制服着用が決まっているところもあります。
そうでない場合にはどんな服装をすれば良いのか解説してきます。
男性添乗員の場合
出発時は、ネクタイに上下スーツかブレザーがふさわしいです。
色は黒やネイビー、グレーなどの落ち着いたオーソドックスな色が良いです。
現地ではTPOに合わせてリラックスした服装に着替えるのも良いです。
海外リゾート地の場合
グアムやサイパン、タイのパタヤに到着して、スーツにネクタイでは浮いて見えます。
現地に到着後はネクタイをはずし、ジャケットを脱ぎましょう。
恐ろしく汗をかきます。
常にビーチサンダルでは軽ぎますので、スニーカーなど履き慣れたものに取り替えましょう。
リゾート地での日中は動きやすくスポーティなものが良いです。
ネクタイをはずす時は、お客さまにあらかじめ伝えておきましょう。
添乗員がネクタイをしないことを失礼に思うお客さまもいるからです。
ネクタイをはずしたことを嫌味に言うお客さまも過去にはいらっしゃいました。
ネクタイを目印にして添乗員を覚えている人もいるかもしれません。
ネクタイをはずす時は気をつけましょう。
ただしリゾートでも夜はピシッと決めるシーンでは、率先して「ネクタイ、ジャケット、長ズボン、靴」などを揃えるのが良いです。
だらしなくならないことが肝要です。
夏の添乗の場合
決められていなければ、最初からクールビズでOKです。
ネクタイは暑苦しく感じます。
お客さまには最初の挨拶でクールビズの旨を伝えれば良いです。
ジャケットは最初だけ羽織っておくと良いです。
トレッキングツアーの場合
山に行くツアーなどは、スーツでは消耗します。
ポロシャツにチノパン、スニーカなど動きやすい服装が適しています。
女性添乗員の場合
出発時は、上下スーツやブレザー、ブラウスにスカート、パンプスにローヒールなどが良いです。
動きやすく、華美に見えないものが望ましいです。
色は黒やネイビー、グレーなどの落ち着いた色が理想です。
ズボンは、TPOと団体の性質を考えましょう。
女性添乗員でもたくさんのスーツケースを運ぶこともあります。
仕事のしやすいスラックスやキュロット・スカートなど活動的で仕事のしやすいものを選びましょう。
夕食時のために、アフタヌーンドレス的なものを一着用意しておくと役立ちます。
清楚なオシャレは見る人の目を楽しませてくれますが、あまりに華美になって、お客さまより目立つのは好ましくありません。
リゾート地や夏の添乗、トレッキングツアーについては、男性の場合と同じ対応で良いです。
ブランド品の着用について
1つ注意しておきたいのはブランド品です。
全身をブランド品で固めると、特に女性参加者からは羨望の目(あるいは白い目)で見られます。
逆に何か1点程度であれば、話題の元になったり、センスの良さを評価されることもあります。
目立つものは身につけないほうが無難です。
ブランド品の対応には注意です。
髪型や化粧、ピアスやネックレスなどの装飾品も華美にならないよう気をつけましょう。
受注型企画旅行の場合の服装について
受注型企画旅行の団体旅行の場合は、幹事のお客さまに確認すればOKです。
基本はスーツにネクタイが無難です。
視察旅行で海外リゾート地について、勝手にネクタイをはずしてしまったことがあり、お客さまから軽く注意されたこともあります。
視察旅行や教育旅行は厳しいと思っていた方が良いです。
お客さまの中には「夏は暑苦しいのでクールビズ希望」の方もいらっしゃいます。
リゾート地でスーツスタイルだと浮いて見えますので、現地に合わせてポロシャツやチノパンを希望するお客さまもいらっしゃいます。
受注型企画旅行は事前にお客さまに確認ができるのが良いです。
確認しなかったがために、現地で「ポロシャツにチノパンで良かったのに」と言われることもあります。
現地で小さな食い違いが起きないよう、事前に確認しておきましょう。
添乗員は第一印象が大切
服装がお客さまに与える印象は大きいものですので、気を使って損はありません。
第一印象でなんとなく「好き」「嫌い」を判断することもあります。
第一印象を決めるのは「見た目」です。
「見た目」といってもイケメンとか美人とかではありません。
「身だしなみ」がポイントです。
清潔感には注意です。
次のポイントに注意
- 髪の毛
- 爪
- 洋服の汚れ・しわ・ほつれ
- 靴やベルトなどの小物
髪の毛
髪の毛が目や髪にかかっていて、ボサボサだと清潔感はありません。
男性は短くサッパリした髪型が清潔感があります。
女性は髪の長い人は後ろでまとめると良いです。
茶髪は良い印象を持たないお客さまもいます。
お客さまがどう感じるかがすべてです。
爪
爪は常に短く切りそろえておきましょう。
指先は意外と目立つものです。
爪が長いと清潔感がありません。
マニキュアも定期的に塗り直すことが大事です。
洋服の汚れ・しわ・ほつれ
洋服の袖や襟元は汚れや黄ばみが残る場合があります。
シャツやズボンにはアイロンをかけて、パリッとしたものを着ましょう。
ズボンのすそのほつれ、ボタンの緩みなど意外と気づかない部分が大事です。
靴やベルトなどの小物
中谷彰宏さんの「30代どう生きるか」には「靴は、その人の価値観が最も出る」と書かれています。
いいかげんにしている人は、思いきりいいかげんで、ちゃんとしている人は思いきりちゃんとしていると。
怖い話です。
靴は1番目立つからです。
自分の顔が靴に反射するまで磨いておけばバッチリです。
ベルトやカバンはなかなか取り替えることはありませんので、念のためチェックしておきましょう。
ネクタイ、メガネのレンズの汚れも目立ちます。
お客さまを不快にさせないように、清潔感第一です。
添乗員のカバンやスーツケース
カバン
カバンは添乗員の動くデスクで、バウチャーや航空券、その他の書類がつまっています。
ひと目で自分のものとわかるように、目印を付けておくと良いです。
なおパスポートや現金などは盗難防止のために身に付けるようにします。
スーツケース
ツアーの目的地や添乗員の考え方により、持っていくものは異なります。
- お客さまのための靴磨き用の紙
- 電圧を間違えて電気製品を持ってきた人のための電圧切替用ソケット
- 洋食に飽きた人のための梅ぼしや海苔、せんべい、携帯用の日本食類(日本茶ティーバッグ、真空パックご飯)
- スーツケース修理用のガムテープや予備ベルト
- ソーイング・セット
- 生水が飲めない土地で役立つ湯沸かし器
- 現地スタッフと良いコミュニケーションになる土産品
- 常備薬(胃腸薬、痛み止め、酔い止め、ばんそうこう、ウェットティッシュなど)
なお女性添乗員はお客さまのために生理用品を余分に用意しておくと良いです。
以上のものを、いざという時にお客さまにあげると喜ばれ、添乗員の株も上がります。
添乗員の持ち物について、詳しくは「添乗員おすすめの旅行の持ち物35選【機内やホテル、その他で有用】」で解説しています。
添乗員の腕時計がお客さまに与える印象【自分の世界に入らない】
添乗員のマナーとして腕時計が与える印象を解説します。
腕時計は見ることは、悪い印象を与えます。
「時計を見ることは、自分の世界に入ること」なので注意です。
お客さまの前で腕時計を見ない
お客さまの前で腕時計を見ることはNGです。
添乗員の腕時計を見る姿は、お客さまに時間を意識させるからです。
たとえば、観光地でゆったり見学を楽しんでいるお客さまがいるとします。
誘導したり、注意事項を説明したり、添乗の仕事があります。
しばらくして、おもむろに添乗員が時計を見たらどう思うか。
お客さまが思うこと
- 「あれ、もう出発時間が近いのかな?」
- 「せかせかして、ゆっくり観光できないな」
- 「もっとのんびりした個人旅行が良かった」
添乗員は時間管理が仕事です。
ただ時間を持ち込まれると、お客さまはゆっくりできないのです。
「別に添乗員が時計を見ても、気にしない」と思う人もいるかもしれません。
気にしない人はそれでいいのです。
問題は気にする人です。
たとえば、食事中も時計をチラチラと見る人がいたらどんな気持ちになるか。
- 「次の予定があるのかな?」
- 「時間ばかり気にして、楽しんでないみたい」
- 「目の前にいる人を大事にしてない感じがする」
いらない気を遣わせてしまうのです。
お客さまの前では時計は見ないことです。
共感できる記事は「時計をしない添乗員」です。
スマホで時計確認はNG
スマホを見るのは論外です。
遊んでいるように見えるからです。
お客さまが思うことは、たとえば以下
- 遊んでないで、仕事してよ
- 誰かとLINEしているのかな
- スマホゲームをしているのかな
お客さまには遊んでいるようにしか見えないのです。
「聞かれたことをググったり、所要時間をGoogleマップで確認してるんだけど」という意見もあるかもしれません。
お客さまから見えない場所でやりましょう。
「いや、最前列の補助席に座っているから、お客さまに挟まれているんだけど」と言う人もいるかもしれません。
お客さまに一言断ってから、スマホを見ましょう。
スマホに触ることは「お客さまの放置」です。
現実世界から離れて、デジタル世界に入ることです。
目の前のお客さまが見えていれば、スマホは目に入らないはずなのです。
添乗員に腕時計は必要です
添乗業務とは「時間管理」だからです。
腕時計がないと時間の確認ができません。
バス車内には前方にデジタル時計がついていますが、観光地や旅館では時計がないところもあります。
分刻みで動いているのですから、腕時計がないと仕事になりません。
「スマホで時間は確認できるよ」という意見もあるかもしれません。
スマホで時間は確認できます。
ただ時間を確認するためにスマホを見なくてはなりません。
前述のとおり、スマホを見ることはお客さまに悪い印象を与えます。
スマホでの時間管理はNGなのです。
添乗員には腕時計が必要なのです。
腕時計を持ってこなかったバスガイド
腕時計を忘れたのではありません。
最初から持ってくるつもりがなかったのです。
バスがなかなか取れない11月の紅葉シーズンでした。
都内にある企業さまの社員旅行。
大型バス1台を手配したかったのですが、ピーク期のため都内のバス会社は全滅。
埼玉、千葉、神奈川と確認するエリアを広げ、やっと手配できたのが茨城のバス会社でした。
当日に来た大型バスは45正シート・補助席付きのJバスです。
不満はありません。
ドライバーさんはちょっと若めで少しヤンキーあがりに見えましたが、許容範囲です。
ガイドさんは30代後半、見た目は普通です。
バスが出発し、朝の挨拶をして、ガイドさんにマイクを渡しました。
まあ、喋れません。
私より喋れません。
「ガイドは初めて?」の印象です。
その辺の人をつかまえて「この人がガイドです」とムリやり連れてきた感じなのです。
ガイドさんは車内ではお客さまに質問をして「会話をしよう」という姿勢はありました。
しかし会話の内容がとんちんかん。
たとえば、お客さまはジュエリーの会社だったのですが「宝石を売り込む良い方法はあるんですか?」と聞いてしまう始末。
車内でのガイディングも続かず、早々にマイクを置いたのでホッとしました。
アクアラインのサービスエリア「海ほたる」に到着して、お客さまを誘導し終えたとき、ガイドさんが話しかけてきました。
「今、何時ですか?」
耳を疑いました。
腕時計を持ってきてないのです。
忘れたのではありません。
聞いてみると、腕時計を持っていないのです。
自分の常識は、他人の非常識。
自分の非常識は、他人の常識。
「この先どうなるんだろう?」と怖くなりました。
以来、このバス会社には仕事を頼んでいません。
腕時計を持っていないバスガイドさんもいるのです。
添乗員がおすすめする腕時計【シンプルなアナログ時計】
おすすめは、シンプルなアナログ時計です。
アナログ時計であればなんでもOK
デジタル時計よりはアナログ時計が良いです。
時計を見たときに一瞬で時間がわかるからです。
たとえば、デジタル時計の場合は一瞬でわかりません。
デジタルの数字を見たときに、いったんアナログ時計の文字盤を想像しています。
デジタルの数字 → アナログ時計の文字盤、に変換する作業が必要なのです。
アナログ時計なら面倒な変換はいりません。
文字盤を見るだけで時間がわかるからです。
お客さまに時間を聞かれたときもラク
アナログなら腕時計を見せればいいだけだからです。
デジタル時計を見せてもわかりにくいです。
サービス精神がありません。
アナログ時計がおすすめです。
私が使っている腕時計
シンプルなアナログ時計です。
もう7年近く使用しています。
電池のいらない自動巻き時計です。
パソコンの脇に置くと、一目で時間がわかり便利です(下図)。
旅のシーンに合わせた腕時計
「旅の種類」で使い分けるイメージです。
- アウトドア系の旅行:タフな腕時計
- 出張などのシーン:適度な高級感
- 都市部の旅行:ファッション性
- 長旅:使い慣れた腕時計
- 旅を便利にする:スマートウォッチ
添乗員は腕時計を見ず、お客さまを見る
添乗員が時間に縛られるのはOKです。
時間管理が仕事だからです。
添乗員が時間にルーズでは、行程は破綻します。
お客さまを時間で縛るのはNGです。
旅行が楽しめなくなるからです。
お客さまは窮屈な思いをするためにツアーに参加しているのではありません。
「楽しい旅行」に期待して参加しているのです。
添乗員はお客さまの前で腕時計を見ず、お客さまを見るだけでいいのです。
まとめ:「始めと終わり」を締めるのが、添乗員の服装
基本的に私は、スーツスタイルで通します。
宴会時もいつもスーツです。
ネクタイをはずすときは、お客さまに確認してから取るようにします。
タイのリゾートに行く時も「初日と最終日」はスーツです。
初めと終わりをきちんと締めておきたいのです。
以上です。
P.S. 礼儀正しく始まり、礼儀正しく終われます。