- 添乗員派遣会社の採用ポイントを知りたい
この記事はそんな方へ向けて書いています。
この記事でわかること
- 添乗員の採用のポイント
- 採用される人材とは、お客さまに好かれる人
- 添乗員3名へのインタビュー
- 添乗員を辞める人、続けていく人
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、営業×手配×添乗
- 資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗:国内・海外計123本(一般団体、教育旅行、視察旅行)
添乗の仕事をするためには、添乗員派遣会社に採用されることが先決です。
ツアーコンダクター業界は人手不足なので、ある程度のレベルに達していれば、採用の門は狭くありません。
接客業のため20代後半から社会的常識や礼儀が身についた人材が求められます。
転職組や結婚している人でも条件さえ合えば問題なし。
本記事では、添乗員を採用する人が、どんな点を重視して採用・不採用を決めるのか、『ツアーコンダクターになろう』から解説していきます。
「ツアーコンダクターになろう」では、添乗員派遣会社「株式会社アルファ・リレーション」の山地東起子社長にインタビューしています。
添乗員派遣会社の3つの採用ポイント
採用の3つのポイント
- 挨拶ができる人
- なぜ添乗員の仕事をやりたいのか語れる人
- 声や話し方、身だしなみ
1.挨拶ができる人
少し厳しいですが、ある程度の社会経験を積んだ人であれば、サッと立ち上がって挨拶するのは常識です。
挨拶ひとつで瞬発力がわかります。
気は抜けません。
接客の基本です。
挨拶できない人には、山地社長はその場で注意をするそうです。
注意をして、反省、改善できる人は、まだ見込みがあるとのこと。
注意してもらえるだけ幸運です。
面接でその人に足りないところを注意して、成長を促すことは面倒だからです。
どんな場面でも「努力→継続→改善→行動」のループが大事です。
2.なぜ添乗員の仕事をやりたいのか語れる人
志望動機は皆、同じことを言います。
他人と差がつかない志望動機は0点です。
印象に残らないからです。
私は志望動機は捨てていいと思っています。
捨てると言っても、適当に答えるのではなく無難な答え(模範解答)をすることです。
ベストの志望動機は「人を喜ばせるのが好き」です。
休職して感じたことですが、仕事をしていないと下記を感じるのが難しいです。
- 人の役に立っている
- 人に貢献する
- 人を喜ばせる
人間は人の役に立ちたい生き物です。
添乗員は人の喜んだ姿を、間近で見られる職業です。
サービスをした反応が、直接返ってくるのです。
海外添乗となれば長期間、寝食をともにします。
「人を喜ばせる」が好きな人であれば良い職業です。
お客さまと親しくなり、喜んだ反応を感じられる。
お客さまあっての添乗員という職業の特徴です。
他によくある質問
- 長所、短所
- 学生時代に得意であった学科
- 学生時代で最も印象に残っている出来事
- 好きな国・地域・都市とその理由
- 健康について
- 語学について
- 会社の志望動機
- 添乗員の仕事について知っていること
- 希望する給与の額
- 今朝のニュース
突発的な質問には「答え」より「答え方」を見られています。
臨機応変に対応です。
3.声や話し方
「添乗員に求められる5つの条件【土台にあるのは「体力+休む能力】」に書きましたが「ハッキリとわかりやすい説明や案内ができる」は大事です。
「ちょっと何言ってるか、わからない」のサンドイッチマン状態では、お客さまもストレスです。
シャレになりません。
明るい対応ではきはきと話せる人は、添乗員向きです。
「話し方」は努力と改善でいくらでも対応できます。
第一印象を左右しますので、面接では意識してハキハキ話せばOKです。
添乗員として「採用される人材」とは、お客さまに好かれる人
お客さまに好かれる人を目指せばOKです。
添乗員派遣会社のお客さまは2つです。
- ツアーのお客さま
- 仕事を依頼する旅行会社
添乗員派遣会社は旅行会社から仕事(添乗)を依頼され、添乗員が旅行会社のツアーに添乗します。
添乗員次第でツアーの良し悪し決まりますので、お客さまに好かれる添乗員が求められます。
また、添乗員は旅行会社へ出向き、打ち合わせ・精算をしますので、旅行会社の担当者からも好かれる人材であることも重要。
私が上司から教えられた好かれるポイントを3つ解説します。
好かれるポイント3つ
- 聞き上手
- 笑顔で挨拶
- 身だしなみ
最低限、この3つがあれば好印象です。
1.聞き上手
添乗員は聞き上手であることが求められます。
- お客さまの希望
- お客さまの不満
ベラベラ話さなくても、上記2つを聞いてあげるだけでいいのです。
ベラベラ話すのはガイドの役目です。
添乗員で大事なのは話すよりも「問題解決」です。
2.笑顔で挨拶
自分から挨拶できることが大事です。
先手を取れるからです。
挨拶されてから、挨拶を返すようでは好かれません。
挨拶は自分から笑顔でするものです。
添乗はハードな仕事ですが、お客さまに疲れた顔は見せられません。
いつも笑顔でいることです。
言葉にすると簡単ですが、ハードな添乗でも笑顔でいられる添乗員を尊敬します。
3.身だしなみ
高価な服を着る必要はありません。
- 姿勢
- 清潔感
2つがあれば好かれます。
姿勢は心を表します。
背筋をまっすぐに伸ばします。
清潔であることも大事です。
添乗員が不潔だと最悪です。
清潔なものを身につける、爪を切る、髪を切る、靴を磨く、など小さなことが大事です。
添乗員3名へインタビューで体験談を知る【5つのQ&A】
中堅からベテランの添乗員3名へのインタビューです。
インタビューの回答は共感できるものばかりでした。
似た経験があるからです。
他人の体験談や失敗談を「自分の添乗」に置き換えることが「失敗の予防」につながります。
質問①:ツアーコンダクターを志望した理由
- Aさんの回答:海外へ行きたかった
- Bさんの回答:英語を話すのが好きだったと海外への夢
- Cさんの回答:生活のため
添乗はタダで海外に行けますが、体力的にハードです。
「あまり苦にすることがない性格」はうらやましいです。
小さいなことをクヨクヨと考えてしまうからです。
良い意味で「いい加減」な人は、添乗員向きです。
旅行業界は「英語と海外が志望動機」という人は多いです。
面白い仕事は存在しません。
面白くなる仕事のやり方はあります。
そのひとつが「一生懸命」です。
添乗は究極のサービス業です。
法人営業18年の経験から言えること
- 添乗のスキルは営業に活かせる
- 営業のスキルは添乗に活かせる
添乗員から旅行会社の営業マンに転職できます。
添乗での知識・経験が説得力になるからです。
旅行会社の営業マンから添乗員派遣会社に転職できます。
旅行会社での営業の知識・経験が、添乗のお客さまとの信頼構築につながるからです。
お客さま、協力機関とも「人間関係」がすべてです。
質問②:どんなツアーを何日、1年間に何日添乗に出ているのか?
- Aさんの回答:アメリカ・カナダ方面、1年間の総添乗日数216日
- Bさんの回答:ヨーロッパ方面、1年間の総添乗日数168日
- Cさんの回答:TV(視察旅行)、1年間の総添乗日数188日
アメリカの定番コースです。
「担当するツアーが四半期ごとにだいたい決まる」は初耳です。
ヨーロッパは数都市周遊するとなると、期間が長くなります。
募集型ツアーに多いです。
目まぐるしく添乗に行かれている様子が伝わってきます。
私の添乗も海外の工場視察が多かったです。
ただお客さまと一緒に工場内部を視察することはありませんでした。
医学学会ツアーにも参加しましたが、お客さまが学会に参加している日中は比較的、自由な時間が多かったです。
質問③:ツアー参加者に、添乗員として日ごろ思っていること
- Aさんの回答:男性客のマナーの悪さに辟易
- Bさんの回答:ハネムーナーの「女性主導型」について
- Cさんの回答:旅行会社の営業担当とオーガナイザーの関係について
Aさんは「中高年女性は私にいわせれば可愛いもの」とのこと。
クレーマーに比べれば「元気あふれる中高年女性」は問題ありません。
ごくたまに陰湿な人もいますが、自分から近づいてコミュニケーションを取っていけば解決です。
»添乗員が告白する嫌なお客さま25選【困ったお客さまの対処法3つ】
Bさんは「海外に不慣れな男性が、新婦まかせはどうなの」とのことです。
チップを渡したり、何かを伝えるのは男性が堂々とやってほしいですが。
Cさんの気持ちはわかります。
私は旅行会社の営業マンだったので、添乗はすべてオーガーナイザーものだからです。
やっとの思いで取ってきた仕事で添乗で、現地で弱みにつけ込んでガンガン、クレームを言ってくるお客さまもいました。
耐えるしかないわけですが、振り返ってみると「そんなお客さまは切っても良い」です。
ガマンしてツアーを継続しても、良いことはないからです。
オーガナイザーもののツアーを担当している方は、クレーマーを担当してしまったら速やかに切りましょう。
添乗員を辞めたいと思った話は「添乗員を辞めたいと思ったことは何度もある話【下見で解決できる】」にまとめました。
質問④:新人ツアーコンダクターの問題点と望ましいツアーコンダクターとは
- Aさんの回答:「サービス業」という言葉をはき違えている
- Bさんの回答:お客さまとの関係を引きづらない人が向いている
- Cさんの回答:添乗員である前に常識人であれ。話のはしばしで相手の意図をくんであげられる人
親しき仲にも礼儀あり
お客さまと仲良くなっても、言葉遣いは注意です。
すべてのお客さまに公平に接することも大事です。
協力機関に横柄な態度はいけません。
バス、航空会社、ホテル、観光地、レストランなどすべての協力があってこそツアーは成り立ちます。
添乗員ひとりでは何もできないのです。
添乗の根本は「人と人との関係」
添乗員は「人間関係を学んで、人間関係に強くなれる人」が良いです。
自分に厳しくしないことも大切です。
添乗を続けられた理由は切り替え
「失敗を引きずらない」という意味では、切り替えは大事です。
オーガーナイザーもののツアーだと、成田空港に到着してもお客さまとは他人には戻りません。
引き続き大切なお客さまとして、関係が続きます。
クレーマーにあたると悲惨です。
質問⑤:誇りにしていること、おもしろいエピソード
- Aさんの回答:お客さまの名前が覚えられない(私には1対200)
- Bさんの回答:文化・習慣の違いからくるすれ違い
- Cさんの回答:トラブル処理
Aさんの回答:お客さまの名前が覚えられない(私には1対200)
200人の名前はなかなか覚えられません。
お客さまの名前を覚えるコツは、お客さまの名前を呼ぶことです。
お客さまの名前を覚えればツアーの半分は成功です。
Bさんの回答:文化・習慣の違いからくるすれ違い
料理を出す順番を最後まで「添乗員から」にした態度を変えない、おもしろいウェイターです。
私も態度を変えないレストランスタッフに辟易した経験があります。
詳しくは「海外添乗アクシデント:パタヤで貸切レストランが手配できてない地獄」で解説しています。
オーガナイザーものの視察ツアーは、団長様、幹事様はおさえておくべきポイントなので辛い場面です。
添乗員としては困ったシーンです。
Cさんの回答:トラブル処理
- 事前にわかっているトラブル
- 事前にわからないトラブル
ツアーは事前の段取りで8割が決まります。
事前にトラブルが解決しないまま出発するツアーは辛いです。
不安な気持ちのまま添乗しなくてはならないからです。
上記募集型ツアーは手配サイドが完璧でないまま時間切れになり、そのまま添乗員に行ってもらわなければならないケースがあります。
事前にわからないトラブル対処には、労力と時間が必要です。
予防と確認で、大半は防げます。
Cさんは「手配不備も50%以上は、添乗員で解消できる」といいます。
具体的な失敗談は「添乗員の失敗談:お客さまの積み残し3回【8つのミスも公開します】」にまとめています。
添乗員を辞める人、続けていく人
「長く添乗員を続けている人に共通する資質」と「添乗員の仕事の面白さ」を解説していきます。
添乗員を続けている人の共通資質2つ
- 人を喜ばせたいというサービス精神を持っている人
- イヤなことをポジティブに処理できる人
人を喜ばせたいというサービス精神を持っている人
こんな気持ちを持っている添乗員は長続きします。
どんな嫌なことあっても、次のことを考えているからです。
- 喜ばせたい
- 笑わせたい
- ハッピーにさせたい
難しいお客さまでも笑わせる、喜ばせる。
一度、この快感を知ってしまうと病みつきです。
サービス精神は他のサービス業でも役立ちます。
お客さまからの「最後のお礼の言葉」は、ご褒美です。
他には何もいりません。
イヤなことをポジティブに処理できる人
「お客さまに何か言われても、引きずらない」が大事です。
お客さまの中には、心無い言葉やイヤミを言うお客さまはいらっしゃるからです。
いちいち気にしていたら、キリがありません。
細かいところを突いてくるお客さまはいるものです。
どんなお客さまも反面教師に変えてしまいましょう。
私は苦手なお客さまに当たった時は「会う人、みんな神さま」と思って、乗り切ったときもありました。
すぐクレームを言うお客さまは嫌われているかわいそうな人です。
かわいそうなお客さまの相手を積極的にして、味方にしてしまう添乗員もいるのです。
現役添乗員の辞めたいと思う2つの理由
- 精神的な理由:
・自分には非がないのに、アンケートや電話でクレームをつけられたとき
・旅行先では楽しく話していたお客さまに、旅行後のアンケートで文句を書かれ、人間を信じられなくなったとき - 体力的な理由:
・体調が悪かったり、疲れがたまっていたりするとき
・星空のもと、家を出なければならないとき
思いやりの気持ちが強く、誠心誠意を持ってお客さまに接すればするほど、クレームを受けたときは傷つきます。
生真面目で神経が細やかな人はなおさらです。
たった一言で立ち直れなくなることもあります。
添乗が始まれば勤務時間もあってないようなもの。
遅寝早起きの場合もあり、寝不足で疲れがたまることもあります。
添乗員の仕事の面白さ2つ
- いろんな場所に行ける
- いろんな人に会える
いろんな場所に行ける
この仕事の特権です。
無料でいろんな場所に行けます。
プライベートでは行かない場所に行くこともあります。
いろんな人に会える
人生の先輩方と旅行する機会です。
役職や年代、性別も様々な人たちと旅行をして、揉まれるのです。
自分で考えたサービスが喜んでもらえたら嬉しいです。
反面、クレームを言われたり、理不尽な言葉を言われたり、良いことばかりではありません。
気難しいお客さまやうるさい人と長期間一緒にいるのが添乗員です。
- 忍耐力
- 対応力
2つの力が伸びていきます。
添乗員は自分を成長させる接客業なのです。
最後に添乗で役立った3冊を紹介します。
以上です。
P.S. 添乗員の採用ポイントを理解しよう。
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