- 海外添乗員の実体験を知りたい
この記事はそんな方へ向けて書いています。
本記事から得られること
- 添乗の細かい業務
- やりがいを生む楽しさ
- お客さまとの交流の様子
- 長いキャリアで得た仕事の秘訣
海外添乗員を目指す人の教科書です。
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗経験:国内・海外計100本ほどで、一般団体・教育旅行・視察旅行
本記事では「ツアーコンダクターになろう」から海外添乗員の実体験(イタリア8日間)を解説します。
この記事を読むことで、海外添乗員の実体験をまとめたレポートがわかります。
なお海外添乗マニュアルについては「海外添乗マニュアル完全まとめ【出発前から帰国までの5つの流れ】」にまとめています。
Contents
海外添乗員のイタリア8日間の実体験『ツアーコンダクターになろう』
日程表「イタリア8日間」
日時 | 内容 |
1日目 | AZ便 関西11:00→イタリア・ミラノ17:10 ホテル着 |
2日目 | ミラノ観光〜ベローナ観光〜ベネツィア泊 |
3日目 | ベネツィア観光〜フィレンツェ泊 |
4日目 | フィレンツェ観光〜ピサ観光〜フィレンツェ連泊 |
5日目 | アッシジ観光〜ローマ観光〜ローマ泊 |
6日目 | 自由行動。ローマ泊 |
7日目 | 帰国。ローマ〜ミラノ乗り継ぎ〜関西空港 |
8日目 | 関西空港着 |
ツアーは「募集型企画旅行」です。
担当ツアー決定
- 出発約1ヶ月前にアサイナーから担当ツアーが伝えられる
- 事前のレクチャーを設けてくれる場合あり(ヨーロッパ方面はESGの場合あり)
初めての国はレクチャーを受けたほうが良いです。
知識や擬似体験が増えると、気持ちの余裕が違うからです。
私は旅行会社の社員なので受注型企画旅行がほとんどでしたが、添乗が決まると実際に行った先輩社員の話を聞くようにしました。
実体験は説得力です。
初めての国でも、お客さまに良い印象を与えられます。
勉強と資料づくり
- 資料づくり:図書館やインターネットで情報収集、添乗レポートも参照
- 手配内容、ホテルやエアー、レストラン、ガイド名などは、出発2〜3日前にわかる
添乗員が事前に勉強すべきこと
- ツアーパンフレットの内容
- 現地の歴史・地理・政治・文化・人口・人種
- 生活習慣・食事・お土産・服装・気温・時差・通貨・飲み水
- 観光コースの自然・美術・建築
- スリ・盗難・事故発生の危険や対日感情
- 出入国手続きの実際
- フライトや空港の情報
- 現地の祝日と観光地の休みの日や時間の確認
- 免税の仕方
- ブランド店やデパート、有名レストランの場所
- 訪れる国の料理(イタリアならパスタの歴史、名物料理、チーズ、ワインの話など)
添乗レポートも参考にします。
添乗レポートを共有するメリット
- 実体験が次に行く人に役立つ
- 添乗に行った本人の復習になる
- モデルコースを作成しやすくなる
- 不明点は誰に聞けばいいかが分かる
添乗後に添乗レポートを作成するのは大変です。
添乗中に気づきをメモしておくことが大事です。
主催旅行会社でツアーの打ち合わせポイント6つ
- 最終旅程表
- バウチャーとチケット
- ホテル
- 携行金
- 渡航手続き
- 出発当日の手順
地図での確認は必須です。
注意ポイント
イタリアでは観光バスは決められた場所でしか乗降できません。
ガイドなしでレストランにお客さまをご案内するとき、お店の場所を把握していないと迷子です。
お客さまへの電話で心がけることは4つです。
- 集合場所、時間を伝える
- 現地の気候や服装、持ち物の案内
- 遠方からのお客さまには間に合うかどうか、乗り継ぎ便などの確認
- 質問の有無
他にも想定される質問(両替場所、ホテルの客室設備など)に回答できるよう準備します。
第1日:出発当日。関西空港集合
受付開始前の業務
- 航空券の引き取り、確認
- ツアーバッジ、海外旅行傷害保険証、タッグの予備などの確認
- シートアサイン
- フライトの出発時間や搭乗ゲートの確認
- 現地通貨のレート確認
服装や言葉遣いには注意します。
受付業務の流れ
- 挨拶
- パスポートと名簿に記載されている内容を確認
- 空港で集金や返金がある場合は行う
- 再集合場所と時間の案内(集合時間より20分後が理想)
- 再集合までの時間を利用し、タッグのついたスーツケースなどを航空会社に預けてもらう
集合時間の30分前に来るお客さまもいますので、30分前からスタンバイするのがベストです。
センダーはお客さまのスーツケースに旅行会社名が明記されたタッグをつけます。
中に貴重品が含まれていないか確認し、数を数えます。
再集合時の案内事項
- 挨拶と人数確認
- パスポートの重要性
- 現地の治安、貴重品の管理
- 傘(不安定な気候のとき)
- 両替
- オプショナルツアーの参加の有無
- フライトの出発時間、到着時間、搭乗ゲート、機内の説明、時差
- 出入国カード
- 出国手続きの流れ
- 現地に到着後の流れ
添乗員はお客さまより先に飛行機から降りたほうが良いです。
先に降りることで、出口でお客さまの目印になり、先導できるからです。
入国時の流れ
- 人数確認
- 忘れ物確認
- 必要書類の案内をして、入国審査に向かう
- ターンテーブルで荷物を引き取り、税関を通過
- 出口でガイドとミートし、両替の案内
空港出発後、車中で案内する内容
- 忘れ物の確認
- アシスタントとドライバーの紹介
- 時計を現地時間に合わせてもらう
- 現地通貨と日本円換算レート
- 食事時の飲み物が各自負担であるかどうか
- 朝食のスタイルについて
- チップの案内
- 郵便ハガキの切手代と購入場所や書き方
- 飲み水
- 電圧
- 貴重品の管理と治安
ホテルチェックイン業務
- 必要書類の提出
- ホテル側のルーミングリストの確認
- バスタブ付またはシャワーのみか。ダブルルームはないか
- トリプルの部屋にエキストラベッドが用意されているか
- グループは同じ階の近い部屋になっているか
- ホテル情報(ドアの開け方、電話のかけ方、金庫、ミニバー、有料テレビの使い方)
- モーニングコールやバゲージダウン、出発時間、朝食時間を伝える
お客さまへの案内の流れ
- 部屋番号と階数を伝える
- 添乗員の部屋番号と、部屋から部屋への電話のかけ方
- 国際電話のかけ方
- ドアの開け方、閉め方、オートロックかどうか
- 金庫の場所と使い方
- 有料テレビとミニバーの利用方法
- エレベーターの表示の説明
- ハガキをフロントが扱うかどうか
- 明日の案内(モーニングコール、バゲージダウン、朝食場所・時間、出発時間
- 入室後の部屋のチェック
第2日 ミラノ観光〜ベローナ観光〜ベネツィア泊
チェックアウトのポイント
- 各自フロントに鍵を返却し、精算
- ポーターが集めてきたスーツケースを各自確認
- 鍵がすべて返却されているか、支払いが残っていないかを確認
- バスのトランクに詰め込まれた荷物の数と、車内人数確認
募集パンフレットはお客さまとの契約書
添乗員は募集パンフレットに掲載どおり、行程を進めなくてはいけません。
勝手に行程を変えることは許されないのです。
募集パンフレットは契約書のですので重要です。
レストランでの業務
- レストランの担当者に席の確認をする
- 友達やグループの方が別々の席にならないよう配慮する
- 飲み物の種類と案内
- トイレと喫煙場所の案内
- 出発予定時間と次のトイレ休憩の案内
イタリアでは、どのレストランもトイレの数が少なく、デザートの後や出発間際に全員がトイレに行くと、出発が遅れてしまいます。
事前に出発時間や次の見学先にガイドが待っていることを説明し、早めにトイレに行ってもらいます。
注意ポイント
迷子のお客さまがいれば時間のロスになり、他のお客さまにも迷惑がかかります。
行程も狂いますので、迷子になった場合の対応方を案内しておくのも大事です。
レストランでの飲み物の注文は大事です。
個人精算の場合の支払い方法
- 各自、飲み物と引き換えに支払う
- 添乗員がまとめて支払う
各自、飲み物と引き換えで支払うのがラクです。
注文を取るときは各テーブルごとに、メモを置いて確認するのが早いです。
第3日:ベネツィア観光〜フィレンツェ観光
注意ポイント
お客さまがゴンドラに乗船している時間を利用して、レストランへ場所確認を兼ねた下見をするのが良いです。
基本的にはパンフレットどおりに行程を進めるのが1番ですが、さまざまな事情で難しいときもあります。
以下を検討すると良いです。
- 観光の順番を入れ替える
- 見学方法を変える
- 見学日時を変える
臨機応変に対応してできるだけスムーズに時間のムダなく、行程を進められるよう心がけます。
第4日:フィレンツェ観光〜ピサ観光〜フィレンツェ連泊
スリ対策
- バッグは斜めがけ
- バッグは必ず体の前にする
- 冬はコートの下にバッグを隠す
- バッグのファスナーやフタに手をそえる
- バッグの開け口に鍵をつけ、簡単に開けられないようにする
買い物やホテル、レストランに入り、気が緩んだときは要注意です。
第5日:アッシジ観光〜ローマ観光〜ローマ泊
自由行動時のお客さまからの質問
- ブランド店の場所
- 営業時間と閉店時間、休業日
- おすすめレストラン
- 美術館・博物館について
- 移動手段
- おすすめの観光場所
前日のバス車中でポイントを押さえて案内します。
情報を整理した紙を配るのも方法です。
実際に行った体験談も貴重です。
第6日:自由行動。ローマ泊
初めての街であれば、次回の添乗のために下見をしておきます。
- 観光の所要時間
- ショッピング
- レストランの味、雰囲気
実際に経験して、引き出しを増やしておきます。
お客さまに説明する際に、説得力を持つからです。
第7日〜第8日:帰国。ローマ〜ミラノ乗り継ぎ〜関西空港
日本の入国の流れ
- 入国審査
- ターンテーブルでスーツケース引き取り
- 税関通過
- 出口
添乗員の必要とされる能力は下記で解説しています。
» 添乗員として求められる7つの能力【いつもお客さまのことを考える】
まとめ:海外添乗員の実体験から添乗のイメージをつかもう
実体験を読むことで添乗のイメージがつかめます。
体験談を聞くことで、自分の引き出しが増えます。
下記記事でも体験談を解説しています。
書籍から体験談の引き出しを増やすのもありです。
以上です。
P.S. 海外添乗員の実体験を学ぼう。
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