- 「添乗員のミスについて知りたい」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
この記事でわかること
- 添乗員の8つのミス
本記事の信頼性
- 経歴:新卒で旅行社に入社し19年8ヶ月、出張手配×法人営業×添乗
- 保有資格:総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
- 添乗経験:国内・海外計100本ほどで、一般団体・教育旅行・視察旅行
本記事では、添乗員のミスを公開します。
この記事を読むことで、添乗員の8つの失敗談がわかり、ミス予防に役立ちます。
Contents
【経験談】添乗員の8つのミスを公開【2度と同じ失敗は繰り返さない】
その1:スーツケースの積み残し
神奈川県・箱根高原ホテルでスーツケースの積み残しをしました。
お客さまは教育旅行の団体です。
チェックアウト最終日、お客さまごにスーツケースを廊下に出してもらう段取りでした。
スーツケース(40個くらい)は添乗員が貸切バスに積み込みますが、5個、ホテルに残したまま出発してしまったのです。
新宿に着いてからスーツケースがないことに気づきました。
冷や汗が出ましたね。
積み残しの理由は、端っこの一部屋のお客さまがスーツケースを「廊下ではなく窓の外」に置いたことです。
なぜ「窓の外に置いたのか」と言うと、バスへの距離が近かったからです。
お客さまは「バスまでの積み込みが楽だと思うから、窓の外にスーツケースを置きます」と声かけしてくださいました。
私は他のスーツケースを積み込みしながら返事をしましたが、他のスーツケースを積み込むのに必死で「窓の外」に置いてある5個のスーツケースのことは忘れてしまっていました。
死角で見えなかったことも原因です。
いつもと違うことはしないことです。
単純作業に違うことを取り入れるとミスの元です。
その2:ドライバーさんの道間違い
新潟県・月岡温泉へ向かう添乗で、貸切バスのドライバーさんが道を間違えました。
1日目、関越道を途中下車し、昼食後です。
ドライバーさんが道を間違えて、インターから高速に乗れません。
私は途中でドライバーさんの様子がおかしいことに気づきましたが、時すでに遅し。
ドライバーさんはインターの乗り口がわからず、次のインターまで一般道で行くことにしましたが、次のインターでも乗り口がわかっていないようです。
グルグルと高速道路に乗れず、一般道を徘徊する始末。
しばらくして、ようやく高速道路に乗れましたが予定より1時間ほどロス。
すべての段取りが狂いましたが、ホテルには17時に到着できました。
宴会開始18時30分には間に合い、とりあえずセーフです。
ミスの原因は、昼食場所の駐車場が手配できていなかったこと
昼食場所の蕎麦屋に到着すると、駐車場の手配ができていなかったらしく、観光バスを停める場所がありません。
我々はそのままバスを降り、問題ありませんでしたが、ドライバーさんは怒ってしまったのです。
ドライバーさんは昼食会場に姿を見せず、ガイドさんと2人で昼食を取りました。
バスに戻ってみると「駐車場が手配できていなかったから、昼食は食べない」の一点張りです。
「参ったな」と思いながら、昼食施設の人に頼んで「弁当」を作ってもらい、ドライバーさんに渡しました。
それでもドライバーさんは最後まで食べませんでした。
ドライバーさんは怒りと空腹から、道を間違える結果を引き起こしました。
お客さまには叱られはしなかったものの、1時間もの時間を奪ってしまったのは残念です。
この件があってから、駐車場の手配・確認を徹底するようになりました。
» こんなバス運転手や添乗員は困る【実体験から添乗員が告白】
その3:リポビタンDを飲んで眠れなくなる
タイの初添乗です。
緊張を要する視察添乗でした。
- タイは初めて
- 海外添乗に慣れていな
- 目上の人ばかりで気を使う
3拍子揃っており、初日から疲労困憊です。
「疲れが回復するように」と、寝る前にリポビタンDを飲んでしまいました。
結果、カフェインのせいで朝まで眠れません。
もちろん疲れも取れません。
2日目も早朝からやることがありましたので、体に応えました。
これ以降、リポビタンDは朝に飲むようになりました。
少々、疲れが残っていても踏ん張れます。
その4:グアムで自由行動中に自分がケガをする
グアム添乗の自由行動での出来事です。
先輩のサブで初めてグアムに行きました。
添乗は先輩の段取りで問題なく進行。
5時間ほどフリータイムがあり、先輩と「恋人岬」に行くことになりました。
移動手段は自転車です。
暑かったのでビーチサンダルで行くことにしました。
これが失敗でした。
途中、自転車のチェーンがはずれて、転んでしまったのです。
グアムのアスファルトは普通ではありません。
サンゴが混ざっているので、滑りやすく、転んでケガをすると変な切れ方をします。
私の足には転んだ傷が残っています。
見るたびにグアムを思い出します。
結局、恋人岬までは傷口にスカーフを巻きながら行きました。
恋人岬の売店のスタッフにオキシドールを借りて、消毒しました。
先輩に迷惑と心配をかけました。
グアムでの自転車は要注意です。
その5:京都での一方通行
初めての京都添乗。
京都は修学旅行やプライベートで行ったことがあるくらい。
協力会の旅行なので、コース作成は自分でやっています。
NAVTIMEで時間と距離を測りながら、コースを作成。
準備万端で当日を迎えましたが、想定よりもバスの移動時間がかかるのです。
理由は、一方通行でした。
京都は一方通行が多く、迂回しなくてはいけないケースが多いのです。
想定外でした。
余裕を持ったコースを作っていたので、影響はありませんでしたが反省です。
京都では一方通行を考慮して、コースを作ることです。
その6:弥彦山クライミングカーが運休
新潟県・弥彦山クライミングカーが、運休になっていたことがありました。
弥彦山はロープウェイで山頂まで上がれます。
その時の添乗では弥彦山ロープウェイを使用せず、山頂近くまでバスで移動し、クライミングカーに乗って山頂に行くショートカットの予定でした。
当日、クライミングカー乗り場に到着すると「強風で運休」とのこと。
完全に私の事前の確認不足です。
あたふたしましたが、お客さまには隣の弥彦タワーだけ上がってもらい、景色を楽しんでもらいました。
ロープウェイならまだしも、クライミングカーでも運休するのです。
その7:サンフランシスコ空港での係員の英語がわからない
海外視察添乗に行き始めたばかりの頃の話です。
ロサンゼルスとサンフランシスコの視察を終え、あとは飛行機に乗って帰るだけのところで起きた出来事。
サンフランシスコ空港に到着し、先輩添乗員が先導してゲートをくぐります。
お客さまは後について、ゲートをくぐり、最後尾にはサブ添乗の私がついています。
ちょうど私の目の前のお客さまが、ツアー中に足を骨折してしまい、松葉杖をついていました。
そのお客さまが松葉杖のままゲートをくぐろうとした時、空港係員に英語でまくしたてられたのです。
お客さまは英語はわかりません。
お客さまは困った顔で、後ろにいた私のほうを振り返り「なんて言っているの?」と尋ねました。
私も困った顔で後ろを振り返り、誰かに聞きたいくらいです。
添乗員に振り返ることは許されません。
私は松葉杖が英語で「crutch」と言うことを調べておいたので、とりあえず係員に「He needs crutch」とだけ伝えました。
係員はさらに英語で何か言い始めましたが、お客さまにも私にもわかりません。
お客さまが「どうしたらいいの?」と言いましたので、私は適当に知ったかぶりをして「行っていいみたいですよ」と答えて、ゲートを無理やり通過させました。
空港係員は怪訝そうでしたが、何も言わずにお客さまを通過させてくれました。
よくわかりませんが、通れたのです。
英語の勉強の必要性を痛感した出来事でした。
英語はヒアリングが必要です。
時にはハッタリも必要です。
その8:サイパン修学旅行で、お酒を買おうとした生徒に注意したら地獄を見た
サイパンでの修学旅行添乗の話です。
昨日のことのように覚えています。
過去で1、2を争うミスでした。
ミスというか、なんというか、やり切れない気持ちになったのです。
80人ほどの高校生を連れて、サイパンへ添乗
添乗員は私と先輩の計2名です。
2日目のサイパン終日観光の午後、現地のスーパーマーケットで買い物の時間がありました。
私はやることがないので、店内をブラブラと散策していました。
そのとき、カートを転がす女子生徒が目の前を通過。
カートの中を見ると、お酒が入っていました。
サイパンも未成年は飲酒禁止です(21歳以上)
私は「お酒は禁止だよ」と言い、カートからお酒を取り上げ、元の場所に戻したのです。
そのときは女子生徒は何も言いませんでしたが、この行為が後に尾を引くことになりました。
ホワイトボードに「消すな、バカ」の文字
その日の夜、ホテル内の見回りをして、ツアーデスクに戻ってくるとホワイトボードにマジックで「○○号室に来い」の文字が書いてありました。
私は「生徒同士の伝言掲示板に使われちゃったな」と思いながら、二重線で文字を消しました。
再度、見回りに行き、ツアーデスクに戻りました。
何気なくホワイトボードに目をやると、今度は「消すな、バカ」と書いてあります。
私は意味がわかりませんでした。
しばらくして、先輩も見回りから戻ってきましたが、先生も一緒でした。
先輩は「女子生徒があなたのことを探しているみたいだよ」と言いました。
先生は「スーパーでお酒のことを注意されたのを根に持っているみたいです」と言いました。
ホワイトボードに書いてあった言葉は、すべて私に向けられた言葉だったのです。
先生から事情を聞くと、女子生徒の要望は「謝ってほしい」とのことでした。
こちらは悪くありません。
当然の注意をしたまでです。
「旅のしおり」にも「飲酒禁止」と書いてあります。
先輩は「謝る必要はない」と言ってました。
結局、ホテルロビーに女子生徒2人、担任の先生1人、先輩と私の計4人で話し合いです。
とりあえず私は不快な思いをさせてしまった事実について謝罪しました。
それでも女子生徒は気持ちが収まらない様子で「お父さんの自殺した保険金で旅行に来たのに、こんな気持ちにされて」とか理不尽なことを言ってきます。
長い沈黙の時間もありながら、話し合いは終了。
結局、先生もその場を収めることができませんでした。
生徒の言いなりになる先生は弱く、かわいそうに見えました。
3日目、4日目は女子生徒の目を意識して、辛い添乗になったのを覚えています。
注意するのは添乗員ではなく先生なのです。
まとめ:添乗員のミスは問題発見の味方です
たくさんのミスをしています。
失敗、トラブルばかりです。
「トラブルのない旅行はない」と言いますが、添乗も同じです。
何かしら、小さなミスはあります。
添乗員の目の届かないところで起きている場合もあるのです。
ミスが見つかれば、仕組みを改善するだけ。
ミスは問題発見の味方です。
「仕組みに問題がありますよ」と教えてくれるのがミスです。
改善さえすれば、ミスなど存在しないのです。
日本添乗サービス協会の「基本忘るべからず集」は過去の自分に読ませたいです。
最後に添乗で役立った本を紹介します。
以上です。
P.S. どんどんミスして、仕組み改善しよう。
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